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米価が再び下落 値上げラッシュが続く食品の優等生に

 日本人のコメ離れが言われて久しい。コロナ禍から資源高、ロシアのウクライナ侵攻と、予期せぬ事態が相次ぎ、多くの食品を輸入に依存する日本は食品の値上げが連日マスコミを賑わせている。
 6月17日に農林水産省が発表した「令和3年産米の相対取引価格」によると、5月の玄米60kgの平均価格は1万2,702円で前月から95円値下がりした。在庫が豊富なコメが今後も安値圏が続くのか、食品の優等生となった米価に注目が集まっていた。


 コメは若者の米離れやコロナ禍での外食不振のあおりを受け、需要低迷が続いた。ところが、2022年4月の米価が前年1月以来、15カ月ぶりに上昇に転じたことが話題になった。前月から20円の値上がりと小幅だが、外食需要の回復や農水省の需給改善対策に加え、前年より取引が前倒しで行われたことなどが背景にあるとみられる。
注目された5月の米価だったが、1万2,702円と2カ月ぶりに値下がり、2019年産の2020年5月の1万5777円と比較すると3,075円も安い。古米を含むコメの在庫は豊富で、値上げが続く他の食品に比べ、価格急騰のリスクは低い。電気やガス、食品、木材、鉄など、あらゆる物価が上昇するなか、家計に優しいコメに消費者の目を向けるチャンスが訪れている。

米の相対取引価格


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