• TSRデータインサイト

事業再構築、「既存債務が取り組みに悪影響」が約4割=第21回コロナアンケート

 新型コロナウイルスの新規感染が高止まりするなか、企業活動への影響が「継続している」は70.0%だった。前回調査(2月)の74.2%より4ポイント以上改善したものの、依然として多くの企業がコロナ禍の影響を受けていることが改めて浮き彫りとなった。
 ウィズコロナ、ポストコロナを見据えて、政府が取り組みを支援する「事業再構築」について、「既に行っている」は14.0%だった。同一設問を設定した第15回調査(2021年4月)の10.8%から3.2ポイント増加した。支援を受けながら、激変する外部環境へ対応しようとしている企業が出始めていることがわかった。一方、事業再構築に既に取り組んだり、これから取り組もうとしている企業に、既存債務が取り組みに悪影響を及ぼしているか聞いたところ、「大きく影響」は9.0%、「ある程度影響」は29.1%だった。合計4割近い企業が、既存債務が事業再構築の足かせと回答している。
 借入金の返済について、中小企業の20.1%が「懸念あり」と答えた。金融機関の担当者からは、返済に苦しむ企業からの事業再構築に向けた新規融資の要請に苦慮する声も聞かれる。さらなる債務の増大と事業価値の向上は、コロナ禍の影響を受ける企業だけでなく、伴走支援者を含めて、関係者に難しい問いを投げかけている。

  • 本調査は4月1日~11日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答6,167社を集計、分析した。
    前回(第20回)調査は、2022年2月25日公表(調査期間:2022年2月1日~9日)。
    資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。

本調査結果の詳細はPDFファイルをご覧ください。

第21回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査[PDF:1.08MB]

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ