• TSRデータインサイト

上場廃止数がリーマン・ショック超え、企業再編が活発に

 上場廃止が急増している。2021年の東京証券取引所の上場廃止(年内に廃止予定を含む)は、12月10日までで86社に達した。コロナ前(2019年)の42社から倍増し、2007年以降では最多を記録した。
 リーマン・ショック時の2008年に倒産した上場企業は33社で、同年の上場廃止は2007年以降で最多の79件だった。2021年は11月末までに上場企業の倒産はなく、倒産以外の上場廃止が増加。廃止理由は「完全子会社化」が目立ち、コロナ禍が「企業再編」を促している格好だ。

相次ぐ「企業再編」

 2021年はニトリHDが島忠(上場廃止日3月24日)、三井不動産が東京ドーム(同4月23日)、ヤマダHDが大塚家具(同8月30日)をそれぞれ子会社化した。こうした大型買収が話題となったのが今年の特徴だ。
 債務超過や内部管理体制等の改善が見通せず、上場廃止基準に抵触したのは、株式を併合したワタベウェディングを除き、オンキヨーホームエンターテイメントと五洋インテックスの2社にとどまる。
 上場企業の倒産は、2020年9月のNuts(JASDAQ)以来、発生がない。このまま推移すると、2021年は2016年以来、5年ぶりに上場企業の倒産がゼロとなる可能性が出てきた。
 取引所には上場廃止基準がある。東証1部などでは、株式の時価総額のほか、債務超過や虚偽記載、不適正意見、そして破産や銀行取引停止などの「倒産」だ。
 東京商工リサーチ(TSR)調べでは、リーマン・ショック時の2008年、上場企業の倒産は不動産業を中心に33社に達した。2007年以降で上場廃止は、2008年の79社が最多だった。その後、市場が落ち着き、倒産による上場廃止は激減。最近の上場廃止は「完全子会社化」や「株式併合」などが大半で、年間50件前後で推移している。

上場廃止

2021年は上場廃止が急増

日本取引所グループによると、12月10日現在、上場廃止数は86社(予定含む)に達する。86社のうち、東証1部が41社(構成比47.7%)と約半数を占め、JASDAQが27社(同31.4%)、2部13社(同15.1%)、マザーズ5社(同5.8%)と続く。
廃止理由は、完全子会社化が44社(構成比51.2%)、株式併合が26社(同30.2%)、株式等売渡請求による取得が11社(同12.8%)、合併が3社(同3.5%)、その他が2社(同2.3%)で、9割以上が企業再編に伴う上場廃止だ。


 堅調な株価を反映し、2021年の新規上場は約140社を数えるほか、2022年4月には新しい市場区分も始まる。ただ、コロナ禍で財務内容が悪化した上場企業も多く、再編加速で上場廃止がさらに増える事態も予想される。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年12月14日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

コロナ破たんが3カ月ぶり150件超え 累計1万3,877件に

3月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が162件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万3,877件に達した。

2

  • TSRデータインサイト

「塗装工事業」の倒産143件 23年ぶり高水準 イラン情勢で塗料価格が急騰、価格転嫁に注目

塗料などの資材高騰に加えて、慢性的な人手不足、顧客の争奪戦などが長引き、塗装工事業者の倒産が急増している。2025年度は143件(前年度比22.2%増)で、過去20年で最多だった。統計を開始した1989年度以降では、2002年度の162件以来、23年ぶりに140件を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

退職代行「モームリ」、運営会社の代表変更

退職代行「モームリ」を運営する(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市)は、公式ホームページの代表取締役を変更した。

4

  • TSRデータインサイト

「イタメシ」「韓国料理」など専門料理店の倒産最多 ~ インバウンドの取りこぼしと輸入食材の高騰 ~

イタメシ、韓国料理、フレンチ、タイ料理など専門料理店の倒産が急増している。2025年度(4-3月)の倒産は2月までにバブル期の1988年度以降、最多の85件に達した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度「円安」倒産70件、前年度に次ぐ高水準 卸売業、小売業を中心に、45カ月連続で発生

2025年度(4-3月)の「円安」倒産は、70件(前年度比16.6%減)だった。2022年度以降の円安局面では初めて前年度(84件)を下回ったものの、2022年(36件)の約2倍と高水準が続いている。

TOPへ