• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「コロナ特例リスケ」、4月1日付で一部改訂

 

 中小企業庁は、コロナ禍での中小企業向け資金繰り支援策の一つである「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール」(特例リスケ)を4月1日付で一部改訂する。
既存の金融債務の返済猶予の調整に加え、「ウィズ・ポストコロナ」を見据えて、事業再構築に向けた取り組みも後押しする。

◇4月1日付で一部改訂
制度を所管する中小企業庁は、昨年末からコロナ禍の長期化を見据えて枠組みの再検討を進めていた。すでに中企庁は支援窓口である中小企業再生支援協議会(支援協)に意向を伝えており、4月1日付で正式に改定される。
新制度の名称は「改訂版新型コロナ特例リスケジュール支援」(以下、改訂版特例リスケ)。現行の特例リスケは、コロナ禍で業況が悪化した企業の資金繰り維持に重きを置いていたが、改定版特例リスケでは、事業の維持や改善に向けた企業の取り組み支援を強化する。具体的には、事業の現状認識や今後の計画などを記載する「事業継続アクションプラン」の策定を支援協が支援し、モニタリングする。アクションプランの策定は任意。
これまで支援協は、企業と金融機関との間の調整を支援の軸にしてきたが、改訂版特例リスケでは事業面の助言にも踏み込む。
改定版特例リスケは、企業と金融機関の対話の円滑化に繋がり、金融機関の持ち込みによる一次対応の増加も期待される。一方、アクションプラン策定や対話による事業価値毀損の「気付き」が、再チャレンジや廃業も含め、存続以外の選択に繋がることも予想される。今後はこうした企業へのサポートが必要になる可能性もある。

◇窓口相談、過去最多を突破
現行の特例リスケは、新型コロナによる緊急事態宣言や移動制限などを受け、資金繰りが急速に悪化した企業への支援が目的で、2020年4月1日から運用が始まった。コロナ禍で外部環境が大きく変動したことを踏まえ、事業改善の可能性を支援決定の判断材料としていないことが特徴だ。
支援協には、20年4月の運用開始から21年2月末までに4,262件の窓口相談(特例リスケのみ)が寄せられている。全ての窓口相談の総数は5,197件にのぼり、03年に支援協が設置されて以降、最多だった13年度の4,128件をすでに突破している。

◇「ゾンビ企業」批判も念頭に
リスケ支援を巡っては、リーマン・ショック後の2009年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」が企業倒産の抑制に大きく繋がった。
特例リスケを含め、政府や自治体、金融機関の手厚い資金繰り支援が奏功し、2020年4月-21年2月の倒産件数は6529件(前年同時期比17.2%減)にとどまっている。年度(4-3月)でも1990年度(7157件)以来、30年ぶりに8000件を下回る公算だ。
金融円滑化法は、事業が改善せずリスケを繰り返す「ゾンビ企業」を生み出したとの指摘もある。改訂版特例リスケはこうした批判も念頭に、事業改善へのサポートを強化する。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

賃金上昇、従業員退職による倒産が過去最多 8月の「人手不足」倒産 8月では最多の32件

2026年8月の「人手不足」倒産は、32件(前年同月比39.1%増)だった。8月としては、前年の23件を大幅に上回り、最多を更新した。1-8月は333件(前年同期比38.7%増)で、年間最多ペースが続く。

2

  • TSRデータインサイト

出版業の倒産急増、利益も悪化傾向 ~ 存続に向けた書店との直取引、目指す姿と課題 ~

電子書籍が普及するなか、紙の書籍を主体に手掛ける老舗出版社を中心に、「出版業」の倒産(負債1,000万円以上)が急増している。 2026年1-7月の「出版業」の倒産は21件(前年同期比90.9%増)で、2019年同期の21件以来7年ぶりに20件を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

「フィットネスクラブ」の倒産が過去最多を更新へ 1-8月は26件、市場拡大もレッドオーシャンの兆し

拡大するフィットネス市場で、「フィットネスクラブ」の倒産が急増している。2026年1-8月は26件(前年同期比160.0%増)と前年同期の2.6倍に達し、2023年同期の16件を抜いて過去最多を更新した。 現在のペースで推移すると、2026年は年間最多の2023年の27件を上回り、40件台も視野に入ってきた。

4

  • TSRデータインサイト

泥臭い再生支援と粉飾決算、銀行員の「違和感」~ 「実務家座談会」を開催(後編)~

(後編)事業再生に携わる金融機関は企業にどう向き合うのか。東京商工リサーチ(TSR)は、事業再生に携わる金融機関の担当者に、取り組みの現状や事例、特色、留意点などを聞いた。

5

  • TSRデータインサイト

「半導体関連メーカー」生成AI普及で業績好調 売上トップはキオクシア、TSMC日本子会社は売上高約143倍

生成AIの普及やデータセンター向け需要拡大で、国内の主要半導体関連メーカーの業績が好調だ。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から、全国の主な半導体関連メーカー154社の2025年度業績を分析した。

TOPへ