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「コロナ禍における建設業のアンケート」調査

 1年間の新型コロナウイルスに関するアンケート調査で、建設業の置かれた環境が見えてきた。2020年2月から2021年3月まで毎月(計14回)実施したアンケート調査を分析すると、2020年2月の建設業へのコロナ禍の影響は「すでに影響が出ている」が、5.8%だった。だが、感染拡大に伴い資材調達や工期遅れ、着工計画見直しなどが出始め、2021年3月は「影響が継続している」が47.1%に広がり、ほぼ半数の建設業者が影響を受けていることがわかった。
 前年の同じ月と比べて売上高が減少した「減収企業率」は、緊急事態宣言下の昨年5月が最も深刻で84.6%の建設業者が減収で、半減以上は33.0%に達した。直近の2021年2月の「減収企業率」は73.8%で、まだ7割以上の企業が前年を割り込んでいる。
 先行き不透明ななか、建設業の「廃業検討率」は増減を繰り返しながら2021年3月は4.9%と、20社に1社が廃業を検討している。また、建設業の3月のコロナ支援策の利用率は57.9%と、6割近くに達し、支援策の副作用ともいえる過剰債務が廃業検討の要因になっている可能性もある。
 2020年の建設業の「休廃業・解散」は8,211社(前年比16.8%増)と、急増した。コロナ関連破たんも増加傾向をたどり、累計104件(3月29日現在)に達している。新型コロナの影響の長期化で、経営体力を消耗している企業が増えており、建設業者の休廃業や倒産の流れはさらに強まることも危惧される。

  • 2020年2月~2021年3月まで毎月1回実施してきたインターネットによるアンケート調査の全14回分を分析した。

Q1.新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答)
2020年2月、5.8%だった「影響が出ている(継続している)」は、1年後に47.1%へ

 新型コロナの影響が広がり始めた2020年2月の第1回調査では、建設業で「すでに影響が出ている」との回答はわずか5.8%(87社)だった。また、約6割(62.3%、932社)の企業は「影響はない」と回答していた。建設業を含む全業種では、第1回調査の「すでに影響が出ている」は22.7%(1万2,348社中、2,806社)で、当初は建設業への影響は軽微だったことがわかる。
 だが、1年後の2021年3月の第14回調査では、「影響が継続している」は47.1%(559社)を占め、「影響が出たがすでに収束した」は8.9%(106社)にとどまった。今でも約半数がコロナ禍の影響を受け続けている。
 一方、同じ3月の調査で、「影響はない」「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」はそれぞれ7.3%(87社)、36.5%(433社)だった。これまで影響を受けていない企業も4割以上(構成比43.8%)あり、業界内で二極化している。

Q2.貴社の前月の売上高は、前年同月を「100」とすると、どの程度でしたか?(第2回~)
2020年5月は8割が減収、2021年2月も7割以上の企業が減収に 

 コロナの影響を受けた企業の売上高を分析した。2020年2月の増減収は拮抗し、売上高が半減した企業は3.4%(344社中、12社)にとどまっていた。だが、翌3月は減収企業が65.0%(518社中、337社)に達し、緊急事態宣言が発令された4月にさらに79.3%(981社中、778社)、5月は84.6%(756社中、640社)に達した。5月は売上高が半減した企業が3割(33.0%、250社)を占め、緊急事態宣言によるサプライチェーンの分断も業績悪化に拍車をかけた格好だ。
 緊急事態宣言が解除された6月以降、減収企業は徐々に減少し、8月からは7割前後で推移した。2回目の緊急事態宣言が発令された2021年1月は72.0%(544社中、392社)、2月73.8%(474社中、350社)と1回目の緊急事態宣言下のような減収企業の急増はみられなかったが、約7割の建設業者の売上減が1年続いており、経営体力の疲弊が懸念される。

建設業売上高推移

業種別 内装や鉄骨工事など職別工事業の影響が最も重い

 建設業を細分化した。ゼネコンや土木・建築工事など規模の大きい「総合工事業」、内装工事や鉄骨工事などの「職別工事業」、管工事や電気工事などの「設備工事業」を分析した。
 「総合工事業」の減収企業率は、2020年2月が50.9%(163社中、83社)だったが、5月には82.4%(285社中、235社)と8割を超えた。10月は63.4%(178社中、113社)に減少したが、2021年2月には73.1%(164社中、120社)と再び右肩上がりで推移している。
 「職別工事業」は、2020年3月に76.4%(119社中、91社)に達した。資材の納入遅れや顧客の計画見直しが真っ先に影響したとみられ、他の2業種より減収企業率が高かった。
 「設備工事業」は、2020年2月に50.0%(110社中、55社) 、3月に53.8%(169社中、91社)と減収企業率は低かったが、4月に78.8%(270社中、213社)と急増。その後、他の2業種と同様に減少したが、11月に再び増加するなど不安定な状況が続いている。

Q3.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や「セーフティネット貸付・保証」、「民間金融機関の各種融資」、「国の各種給付金」などの支援策は利用しましたか?(第3回~)
建設業 5 %が廃業を検討

 新型コロナ関連の支援策の利用率を分析した。支援策を「利用した」と回答したのは4月3.2%(2,005社中、65社)、5月8.6%(2,617社中、227社)は1割未満にとどまっていた。
 だが、6月に22.0%(2,050社中、451社)、7月に40.2%(1,631社、657社)と最初の緊急事態宣言が解除された後、支援策の利用企業が急増した。
 その後も増加をたどり、2021年3月は57.9%(1,185社中、687社)と約6割に達した。

Q4.コロナ禍の収束が長引いた場合、「廃業」(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性はありますか?(第7回~)
建設業 5%が廃業を検討

 2020年8月から廃業検討率をアンケートの設問に加えた。建設業で8月に廃業を検討する可能性が「ある」と回答したのは6.2%(1,316社中、82社)。10月は最も高い6.6%(1,319社中、87社)を記録した。
 2021年1月以降は3カ月連続で減少したが、3月に「ある」と回答したのは4.9%(1,103社中、55社)で、まだ約5%が廃業を検討している。
 全産業と比べ、建設業の廃業検討率は低いが、社数の多い建設業は地域のサプライチェーンを形成しており、廃業動向は地域経済への影響も大きい。

 コロナ関連破たんは、飲食業や宿泊業、アパレル関連などが目立つが、建設業も2020年12月に19件発生し、2021年も月間10件を上回るペースで推移している。これまでの累計件数は104件(2021年3月29日時点、負債1,000万円以上)に達する。
 2021年3月のアンケート調査では、2回目の緊急事態宣言で投資意欲の減退、民間工事の計画見直しの影響を懸念する一方、公共工事の発注は変わらず影響はないとする声もある。これは景気対策の公共工事依存の裏返しとも言えるが、同調査では約7割が減収で、約3割は横ばい、もしくは増収でコロナ禍で格差が広がっている。
 コロナの影響はあらゆる業種に広がるが、当初影響が少なかった建設業も例外ではなく、その窮状が次第に顕在化してきた。回復の兆しが不透明ななか、コロナ禍で経営基盤が毀損した企業の休廃業・解散、倒産も現実味を帯びており、地域や雇用などの影響が懸念される。

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