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2020年「全国社長の出身大学」調査

 2020年の全国社長の出身大学は、社長数2万1,253人の日本大学が、調査開始から10年連続でトップを守った。
 2位は慶應義塾大学の1万656人、3位は早稲田大学が1万382人で、僅差のライバル関係が続く。
 上位20位までに国立大学は10位の東京大学、20位の京都大学の2大学のみで、社長数では私学優位が続いている。
 東日本は21都道県のうち、17都県で日本大学が首位を占め(首位タイ含む)、日大一強の感が強い。一方、西日本は地元や域内の私立大学と国立大学が鎬(しのぎ)を削り、東日本の「中央」志向に対し、西日本は「地元」優位の違いが際立った。
 社長数が上位100校で、出身社長の企業(医科歯科系を除く)の業績は、増収や増益など好業績は東京大学、京都大学、大阪大学など、旧帝大を中心にした国立大が目立った。私大は、金沢工業大学、大阪工業大学、芝浦工業大学など、工業系大学が上位にランクインした。

  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース約390万社の代表者データ(個人企業を含む)から、公開された出身大学を抽出、集計した。同一人物が複数の企業で社長を務める場合、売上高の上位1社に絞り込み、社長を兼務する重複企業は集計対象外とした。集計対象外の企業は28万2,385社。
    出身大学が名称変更、統合した場合、存続大学名で集計した。本調査は2010年から始め、今回が10回目。

日本大学が10年連続トップ

 社長の出身大学トップは、日本大学が2万1,253人で他を圧倒した。卒業生が多く、唯一の2万人超えとなった。2位は慶応義塾大学1万656人、3位は早稲田大学1万382人で、2015年に順位が入れ替わったが、慶応義塾大学と早稲田大学のマッチレースが続いている。
 以下、4位に明治大学8,413人、5位に中央大学7,702人、6位に法政大学6,212人と、東京の大規模私大が続く。関東以外では7位に近畿大学、9位に同志社大学の関西勢2校がトップ10に入った。

東京大学が国公立大学で唯一、2年連続トップ10入り

 昨年10位に東京大学(前回11位)が入り、調査を開始以来、初の国公立大学トップ10となった。今回も東京大学は4,056人で10位を守り、京都大学が2,487人で前回21位から20位に入った。
 国公立大学で上位50位内は、東京大学、京都大学のほか、22位大阪大学2,369人、24位北海道大学2,192人、27位九州大学2,005人、29位東北大学1,932人と旧帝大が続く。次いで、31位神戸大学、34位広島大学、42位千葉大学、44位名古屋大学、の合計10校がランクインした。

社長出身大学1

都道府県別 20都県で日本大学がトップ

 都道府県別では、日本大学が20都県(前年20都県)でトップと強い。
 東日本の21都道県では、北海道、宮城県、愛知県、三重県を除く、17都県(構成比80.9%)でトップを守った(新潟県では日本大学と新潟大学がトップタイ)。
 日本大学出身の社長数が地元大学を上回る背景には、卒業生が約120万人(出典:日本大学ホームページ)という多さに加え、全国の付属・系列校から地方の企業経営者の子息、子女が大学へ進学し、卒業後に事業を継承することも多いとみられる。
 一方で、北海道は北海道大学、宮城県は東北学院大学、愛知県は愛知学院大学、三重県は三重大学の地元大学がトップを守り、健闘している。

社長出身大学2

西日本は地元大学が目立つ

 西日本の26府県では、東日本と好対照に地元大学が健闘している。日本大学がトップは、香川県、高知県、宮崎県の3県(構成比11.5%)にとどまる。
 3県以外では、ほとんど県内、あるいは同じ域内の大学がトップに入った。
 西日本の各県トップは、地元の国立大学が目立った。東日本で国立大学がトップ(トップタイ含む)に立ったのは、21都道県のうち、北海道と新潟県と三重県の3道県(同14.2%)だったが、西日本は26府県のうち、12県(同46.1%)と約半数で国立大学がトップだった。
 特に、中国は5県すべて地元の国立大学がトップだった。近畿は、近畿大学が大阪府、奈良県、和歌山県でトップに入ったほか、2府4県すべてで私立大学がトップを占めた。京都府は同志社大学、滋賀県は立命館大学、兵庫県は甲南大学がトップだった。
 四国は香川県と高知県で日本大学がトップに入ったが、徳島大学、松山大学も健闘している。九州は、地元国立大学が強いが、福岡県と佐賀県で福岡大学がトップを占めた。

社長出身大学3

業績別 好調な業績は旧帝大・国立大が目立つ

 社長数の上位100校で、出身社長が経営する企業の直近2期の売上高と当期利益を比較した。
 医科歯科系大学を除くランキングのトップは、増収率は九州大学、増益率は筑波大学、増収増益率は筑波大学だった。
 各ランキングの上位20校は、増収率では国立大16大学、公立大1大学、私立大3大学と、国立大が強い。また、増益率は国立大13大学、私立大7大学、増収増益率は国立大11大学、私立大9大学と、いずれも国立大がリードしている。
 これは東証1部上場などの大手企業は、伝統的に旧帝大出身社長が多いことが一因とみられるが、理科系私大の社長も手堅い業績をあげている。

  • 2019年1月期以降を最新期決算とする企業のうち、2期連続で12カ月決算で売上高、当期利益が判明した企業を対象として算出した。

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