• TSRデータインサイト

「東日本大震災」関連倒産(10月度速報値)

 2020年10月の「東日本大震災」関連倒産は2件(速報値:10月30日現在)で、5月以来、5カ月ぶりに前年同月(7件)を下回った。
 なお、2020年1-10月累計の倒産件数は29件(前年同期比17.1%減、前年同期35件)で、このままのペースで推移すると、2020年通期の倒産件数は2年ぶりに前年を下回る可能性が高い。
 震災被害から回復してきたところに、「新型コロナウイルス」禍が追い打ちをかけて倒産するケースが発生しており、今後の動向が注目される。

震災1

10月の倒産事例

 (有)近藤畜産(TSR企業コード:150134541、法人番号:9380002021221、福島県石川郡浅川町)は、黒毛和種の肉用牛肥育を手掛けていた。常時約200頭と大規模生産を行い、福島牛として地元や東京などの市場へ出荷し、相応の営業基盤を築いていた。
 しかし、2011年3月の東日本大震災で発生した東京電力福島第一原発事故により、飼料として与えていた稲わらが放射能で汚染されていたことが発覚。出荷した肉用牛から放射性セシウムが検出される事態となり、一時出荷を停止するなど大きな打撃を受けた。福島県による全頭検査実施により出荷が再開したものの、風評被害の払拭には至らず1頭当たりの価格が震災前と比べ低下、採算的には厳しい状況が続いていた。
 こうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大により牛肉の消費需要が落ち込んだことで価格がさらに低迷。資金繰りも限界に達し、事業継続を断念した。負債総額は約7,900万円。

震災2

 累計件数1,969件のうち、都道府県別で最も多かったのは東京の575件。次いで、宮城196件、福島87件、北海道と岩手が各85件、神奈川80件、茨城79件、千葉77件、福岡71件、栃木62件、群馬61件、静岡50件、山形と大阪が各48件、埼玉46件と続く。東北6県の倒産件数は473件(構成比24.0%)だった。
 産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の525件(構成比26.
6%)。次いで、製造業459件(同23.3%)、卸売業359件(同18.2%)、建設業224件(同11.3%)、小売業186件(同9.4%)、運輸業82件、情報通信業65件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1,733件(構成比88.0%)に対して、「直接型」が236件(同11.9%)だった。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の秀和グループ、9億円の債務超過

6月17日に東京地裁から破産開始決定を受けた(株)秀和グループ(TSRコード:027747050、江東区)の財務内容が一部判明した。

2

  • TSRデータインサイト

止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く ~ 施工力が「希少資源」、動き始めた内製化 ~

2025年の建設業の倒産は、2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年(2,421件)以来、12年ぶりに2,000件を超えた。 コロナ禍の2021年に1,065件と2000年以降では最少を記録。その後は増勢に転じ、わずか4年で約2倍に増加した。

3

  • TSRデータインサイト

倒産データからみる「倒産が多い住所」 ~ 一等地のイメージと与信リスク ~

「倒産が多発する住所」は、現代のビジネスモデルの結果だ。ネット全盛期のいま、企業の実体が見えにくいのは普通なのかも知れない。だが、そんな風潮のなか、登記上住所の一等地に惑わされず経営実体をいかに見極めるか。ここでもまた、外形に惑わされない“目利き力”が問われている

4

  • TSRデータインサイト

【2026年3月期決算】役員報酬額1億円以上の開示 過去最多の934人に 社数も387社で最多を更新 上位5人中、外国人4人

2026年3月期決算の上場企業2,198社のうち6月26日12時までに有価証券報告書の提出を確認できたのは9割(90.7%)の1,995社だった。例年と異なり株主総会前に有価証券報告書を提出する上場企業が増えた。報酬額1億円以上の役員を開示した企業は387社、人数は934人で前年の364社・887人を上回った

5

  • TSRデータインサイト

環境経営総合研究所の「粉飾の手口」

(株)環境経営総合研究所(TSRコード: 294046615、渋谷区、以下ERI)が3月26日、東京地裁から破産開始決定を受けた。東京商工リサーチ(TSR)が独自入手した資料や関係者が「実際の売上は100分の1程度」と語る粉飾の実態がみえてきた。

TOPへ