• TSRデータインサイト

2020年上場企業 「早期・希望退職」募集 1万人を超える

 2020年の上場企業の早期・希望退職者募集が9月14日、1万100人と1万人を突破した。年間で募集人数が1万人を超えるのは2019年から2年連続。1万人超は前年10月9日から約1カ月ほど早く、ハイペースで推移している。募集企業数は前年(1月‐12月)の1.7倍増の60社に達し、2012年の63社を抜くことは確実で、2010年の85社に迫る勢い。

  • 本調査は、希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出した。実施が翌年以降の企業は除く。原則、『会社情報に関する適時開示資料』(2020年9月14日公表分まで)に基づく。募集形態は「早期・希望退職」に加え、退職時に加算金を盛り込む退職勧奨も含める。

半数以上が赤字企業 新型コロナの影響も顕在化

 募集が判明した60社のうち、新型コロナの影響を要因(間接的含む)に挙げたのは21社で、全体の3分の1超まで増加した。60社のうち、半数の31社(構成比51.6%)が最終赤字で、直近四半期を含む赤字企業は41社(同68.3%)と約7割に達した。
 早期・希望退職者募集を開示した60社の業種別は、アパレル・繊維製品が9社で最多。次いで、新型コロナや米中貿易摩擦が響いた電機機器が8社、自動車などの輸送用機器が6社と続く。外食は6月以降、急速に開示企業数が増え、3カ月で5社が募集を開示した。外出や会合の自粛、長引く営業時間の短縮に加え、需要回復まで先の見えない業界の停滞感を反映している。

募集人数、最多はレオパレス21の1,000人 業績不振の企業で小規模募集に拍車

 募集人数は、最多がレオパレス21の1,000人。次いで、ファミリーマート800人(応募1,025人)、複数の子会社で実施するシチズン時計が750人、ノーリツ600人(同789人)の順。
 2019年通年で1,000人以上の大型募集は4社だったが、2020年は9月14日までに1社にとどまる。
 一方、募集人数は300人以下が45社(構成比75.0%)で7割以上を占めた。このうち、100人以下の募集は28社(同46.6%)で、全体の約半数にのぼる。これはコロナ禍による急激な市場環境の悪化や業績低迷を受け、アツギ、日本ケミファなど、急場の対応として限定された部門での職種単位、事業所単位での募集実施が増えたことも背景にある。

実施企業、半数以上が直近通期で赤字計上

 業績別では、募集企業の31社が本決算で赤字を計上した。直近四半期まで含めると、赤字企業は41社(構成比68.3%)と約7割が赤字だった。早期・希望退職者の募集は、例年、本決算の発表後に集中する傾向があり、2020年も7月からの2カ月半で20社が開示している。
 新型コロナによる業績の影響は、国内外の消費回復の遅れなどで長期化の気配も強く、企業の人員削減の加速も招いている。さらに、外食や、アパレル小売など労働集約型の企業では、雇用調整助成金の終了も見え、年末から来年にかけ募集に拍車がかかることも懸念される。

早期・希望退職者

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

退職代行「モームリ」、運営会社の代表変更

退職代行「モームリ」を運営する(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市)は、公式ホームページの代表取締役を変更した。

2

  • TSRデータインサイト

バイオベンチャーのSpiber、事業譲渡後に特別清算 ~ ユニコーン企業、2025年12月期は438億円の最終赤字 ~

バイオベンチャーとして注目されたSpiber(株)(TSRコード:363798706、山形県鶴岡市)が約300億円の債務超過を解消できず、新会社に事業を譲渡後、特別清算を申請する方針を固めた。

3

  • TSRデータインサイト

家事代行の倒産が過去最多 ~ 老舗・大手がひしめくなか、参入も急増 ~

共働きや独身世帯の増加で、掃除や料理、洗濯、ベビーシッターなど、家事代行(家事サービス)のニーズは高い。子育てだけでなく介護も加わり、市場は広がる。 一方、家事代行業者の倒産が急増している。2025年度は4-2月で11件に達し、すでに過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「イタメシ」「韓国料理」など専門料理店の倒産最多 ~ インバウンドの取りこぼしと輸入食材の高騰 ~

イタメシ、韓国料理、フレンチ、タイ料理など専門料理店の倒産が急増している。2025年度(4-3月)の倒産は2月までにバブル期の1988年度以降、最多の85件に達した。

5

  • TSRデータインサイト

メインバンク取引社数 国内10位の金融Gに しずおかFGと名古屋銀が統合へ、2万8,121社

メインバンクの取引社数が全国16位のしずおかFGの静岡銀行(1万8,762社)と、名古屋銀行(9,359社)が、経営統合に基本合意したことを発表した。両行のメイン取引社数は合計2万8,121社で、国内金融グループで10位の地銀グループが誕生する。

TOPへ