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「想定為替レート」調査(2021年3月期決算)

 東証1部、2部上場の主要メーカー129社のうち、約7割の89社(構成比68.9%)が2021年3月期決算の期初想定為替レートを開示していないことがわかった。
89社は新型コロナウイルスの見極めが困難で業績見通しが立たず、2020年3月期決算発表時点で次期の業績予想を「未定」として開示していない。一方、想定為替レートを開示した40社では、「1ドル=105円」に設定した企業が21社で、半数を占めた。
1年前の2020年3月期決算の期初の想定為替レートは、「1ドル=110円」に設定した企業が全体の58.1%と約6割を占め、最も多かった。2020年3月期の円相場は1ドル=110円前後でスタートし、2019年内は比較的小幅な変動幅で推移した。ところが、2020年に入り世界的な新型コロナの感染拡大を背景に、リスク回避の円買いが加速、3月に一時1ドル=101円台まで円高ドル安が進行した。その後は反落し、期末は107円前後で推移した。このため、2021年3月期の期初設定レートを「1ドル=105円」にしたメーカーが目立った。

  • 東京証券取引所1部、2部に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機器メーカー(3月本決算企業)129社の2020年3月期と2021年3月期の想定為替レートを決算短信などをもとに集計し、比較した。

想定為替レート開示は40社、最多は1ドル=105円

 東京証券取引所1部、2部に上場する主要メーカー129社のうち、89社が2021年3月期決算(本決算)の業績見通しを「未定」とし、期初の対ドル想定レートを開示していない。
開示した40社では、最多が1ドル=105円で21社(構成比52.5%)だった。次いで、108円が7社(同17.5%)、107円が5社(同12.5%)と続く。想定レートの対ドル最高値は100円(1社)、最安値は110円(3社)で、40社の平均は106.1円だった。

1年前とのレート比較 円安設定は1社のみ

 期初想定為替レートを開示した40社のうち、1年前との比較では「105円→105円」と、レートを変更せず、据え置いた企業が11社(構成比27.5%)で最も多かった。
次いで、「110円→105円」が7社(同17.5%)、「110円→107円」が5社(同12.5%)、「110円→108円」が4社(同10.0%)と、前年度より円高にシフトした。
1年前より「円高」は21社(構成比52.5%)で、ほぼ半数に達した。次いで、「変更なし」が18社(同45.0%)、「円安」は1社(同2.5%)のみだった。

対ユーロ想定為替レート、開示は28社、1ユーロ=120円が最多

 前年度に期初のユーロの想定為替レートを開示したのは83社だった。だが、このうち、55社(構成比66.2%)は2021年3月期決算の期初想定レートを開示していない。開示した28社では、1ユーロ=120円が11社で最多。次いで115円が9社、117円が4社と続く。想定レートの対ユーロ最高値は115円、最安値は130円だった。

 新型コロナによる世界経済への影響は不透明さを増している。国内の主要上場メーカーも約7割が業績見通しを「未定」としており、異常事態ともいえる。  2020年3月には円=ドル為替相場が一時的に乱高下し、注目された。世界経済の減速感がさらに強まると、再び「円高シフト」が進み、輸出産業の業績下振れ要因になる可能性も出ている。  新型コロナの終息見通しと同様に、為替相場も当面は流動的な状況が続くとみられ、企業業績への影響を注視していく必要がある。

想定為替レート21年3月期

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