• TSRデータインサイト

4月の「手形・小切手の不渡・取停猶予」は92枚

 5月19日、全国銀行協会(以下、全銀協)が「新型コロナウイルス」の影響で、「不渡報告への掲載・取引停止処分が猶予された」手形・小切手の2020年4月実績を公表した。
 4月に記載が猶予された枚数は92枚、金額は1億7,357万円だった。

 2011年3月の東日本大震災でも同様の対応が実施され、同年3月の青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県の5県の枚数は931枚(金額7億7,130万円)だった。これに比べると、新型コロナによる不渡・取引停止処分の猶予枚数は僅少にとどまっている。
 不渡・取引停止処分猶予は、新型コロナの感染拡大に伴う資金繰り支援策として、金融庁と日本銀行が全銀協に要請していた。これを受け、全銀協は4月16日に「手形交換所における手形交換に関する特別措置の実施」を全国の手形交換所に通知していた。


 2020年の手形交換高は、1月、2月とも前年同月を下回ったが、新型コロナの影響が深刻になった3月は420万9,000枚(前年同月346万6,000枚)と、前年同月より21.4%増加した。ただ、手形・小切手の不渡は1,560枚(同726枚)と2倍増したが、取引停止処分は157枚(同178枚)と、減少に転じている。
 また、同日、(株)全銀電子債権ネットワークも、でんさい(電子債権)の「新型コロナウイルス感染症の影響による支払不能処分の猶予状況」(2020年4月実績)を公表したが、件数はゼロだった。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年5月21日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

1-3月「手形交換高・不渡手形・取引停止処分」状況

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ