• TSRデータインサイト

元禄元年に創業した「鎌先温泉」(宮城県)の老舗旅館、「新型コロナ」による客足減少で廃業

 1688(元禄元)年創業の温泉旅館、(株)木村屋旅館(TSR企業コード:140055142、宮城県白石市、設立1964(昭和39)年4月)が3月23日付で廃業した。関係者が東京商工リサーチの取材に明らかにした。

 鎌先温泉の老舗旅館「にごり湯の宿 湯守 木村屋」を経営していた。鎌先温泉では唯一2本の本流温泉源泉を有し、源泉掛け流しの濁り湯の露天風呂をはじめ、7つの多彩な浴場を備えていた。当地区での知名度は高く、1990年代前半には年間売上高約4億5,000万円を計上していた。しかし、2007年7月期には市況の低迷から売上高約2億9,000万円にとどまり、経費削減に努めるなど経営合理化を図ってきたが、2008年8月に約10億5,200万円の負債を抱え、仙台地裁へ民事再生法の適用を申請した。
 2012年9月に民事再生手続が終結し、以降は東日本大震災後の被災地支援による特需から客足は堅調で、年間売上高は2億円台の半ば前後での推移が続いていた。
 しかし、近年は震災特需の剥げ落ちなどで業績は低迷。また、「新型コロナウイルス」感染拡大を受け、外出自粛による宿泊客の著しい減少や先行きの見通し難から、事業継続を断念した。関係筋によると、事後について弁護士と協議中だが債務処理に関する正式な委任はなされていない。

 東北6県では、3月6日に(有)田村屋旅館(TSR企業コード:152024158、福島県猪苗代町)が新型コロナウイルスの影響による宿泊キャンセルなどで、民事再生法の適用を申請している。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ