• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2019年「理容業・美容業倒産動向」調査

 2019年(1-12月、速報ベース)の「理容業・美容業」倒産は、バブル末期の1989年以降の30年間で最多の119件に達した。これまで過去最多だった2011年の118件を8年ぶりに上回った。件数は2016年の82件から4年連続で増加し、増勢が強まっている。
 2019年の理容業の倒産は14件(前年比6.6%減)で前年から1件減少したが、美容業は105件(同10.5%増)と大幅に増加し、明暗を分けた。
 理・美容業は、大都市を中心に店舗が乱立し、過当競争が続く。人口減少や顧客の高齢化などで顧客囲い込みが激しさを増すなか、1000円カットなど低価格チェーンも台頭し競争が過熱化している。小資本でも独立できる業界なため、参入障壁も低く、既存店舗と相次ぐ新規参入組との間で熾烈な競争が繰り広げられている。
 生き残り競争には、新規顧客の獲得に向けたPRやクーポンなどのアイデアだけでなく、技術や価格競争力も必要になっている。また、予約システム、顧客のヘアーデザインのデータ化など、顧客獲得にはIT化と利便性も求められる時代を迎えている。
 倒産ではないが、事業停止した休廃業・解散も2018年は317件(前年264件)と増加した。1社で複数店舗を経営しているケースも多く、店舗数ではかなりの数が休廃業・解散で閉店し、一般的な閉店も含めると数千店舗に達する可能性もある。
 経営者の高齢化や人材確保などの問題もあり、理・美容業は小・零細規模を中心に淘汰を余儀なくされている。「理容業・美容業」の倒産は、今後も増加する可能性が高まっている。

  • ※本調査は、日本産業分類(小分類)の「理容業」「美容業」の倒産を集計、分析した。
  • ※2019年は速報値。

「理・美容業」の倒産は今後も増加の可能性

 2019年の「理容業・美容業」の倒産は119件(前年比8.1%増)に達し、1989年以降では東日本大震災が発生した2011年の118件を上回り、最多記録を更新した。また、2016年以降、4年連続で増加している。
 このうち、「理容業」は14件(同6.6%減)と、8年連続10件台で落ち着いて推移している。一方、「美容業」は105件(同10.5%増)で、過去最多だった2018年の95件を上回り、最多記録を塗り替えた。最近は男性客も多い「美容業」は新規参入が多く、淘汰の波はしばらく続くとみられる。

理容業・美容業の倒産 年次推移

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ