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「西武信金 取引企業」調査、9783社と取引実績、不動産業は全体の13.2%

 5月24日、西武信用金庫(TSR企業コード:299013413、東京都、以下西武信金)は、反社会的勢力との関係が疑われる人物へ不適切な融資をしたとして、金融庁から業務改善命令を受けた。
東京商工リサーチは保有する国内最大級の企業データベースを活用し、西武信金と取引実績のある企業を調査した。
西武信金と取引実績のある企業は、全国で9783社にのぼる。このうち、東京都に実質的本社を構える企業は9174社(構成比93.7%)だった。取引先の従業員数は、10名未満が6567社(同67.1%)と最も多かった。取引先の産業では、不動産業が1294社(同13.2%)だった。西武信金は不動産投資向け融資を巡り、金融庁の検査で融資資料のチェック体制が十分に機能していないなどの不備を指摘されている。
メインバンクランキング(2018年8月7日、東京商工リサーチ発表)では、西武信金は全信金のうち18位にランクする大手。2018年3月末の貸出金残高は1兆6618億円におよぶ。取引先は中小・零細企業が中心で、西武信金の態勢強化や経営陣の変更による方針の変更が、取引企業の資金繰りに影響が出ないよう配慮が求められる。

  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象345万社)から、西武信金と取引実績のある企業を集計、分析した。与信取引があるとは限らない。また、過去の取引実績先も含む。

産業別 不動産業が全体の13.2%

西武信金の取引企業を産業別でみると、最多は建設業の2605社(構成比26.6%)。次いで、不動産業の1294社(同13.2%)、製造業の1102社(同11.2%)と続く。


産業別西武信金取引企業


従業員別 10名未満が約7割

従業員別では、最多が10名未満の6567社(同67.1%)だった。次いで、10名以上100名未満の2773社(同28.3%)、100名以上500名未満の207社(同2.1%)と続く。100名未満が9340社(同95.4%)に及び、500名以上の大企業との取引はわずか21社(同0.2%)にとどまる。

従業員別西武信金取引企業


都道府県別 東京都が大半を占める

都道府県別は、本店を構える東京都が9174社(同93.7%)で大半を占めた。ただ、埼玉県や神奈川県など近隣県に実質上本社を構える企業との取引も少なくない。

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