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日産自動車が過年度の有価証券報告書の訂正を提出

 5月14日、日産自動車(株)が過年度の有価証券報告書の訂正を提出した。
 カルロス・ゴーン元会長らが2018年11月19日、東京地検特捜部から役員報酬の過少申告の疑い(金融商品取引法違反)で任意同行を求められ、逮捕されている。
 その後、外部弁護士による報酬の調査が行われ、その結果を考慮して、2014年3月期から2018年3月期の役員報酬等の開示に係る有価証券報告書の訂正報告書を提出した。

カルロス・ゴーン元会長の訂正報酬額は以下の通り

2014年3月期は9億9500万円(歴代39位)から、訂正後23億1300万円(歴代11位)。
 2015年3月期は10億3500万円(歴代35位)から、同22億1300万円(歴代13位)。
 2016年3月期は10億7100万円(歴代33位)から、同28億9400万円(歴代6位)。
 2017年3月期は10億9800万円(歴代31位)から、同37億4000万円(歴代5位)。
 2018年3月期は7億3500万円(歴代86位) から、同28億6900万円(歴代7位)。

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2016年3月期以降の報酬額が歴代トップ10に入る

今回、有価証券報告書の訂正は、2014年3月期以降、5年間で行われた。毎年、高額報酬が話題となっていたカルロス・ゴーン元会長は、株価連動型インセンティブ受領権などで増額され、開示金額は総額140億2900万円と、当初開示した報酬総額(49億3400万円)の2.8倍に膨らんだ。

開示人数

有価証券報告書の訂正に伴い、カルロス・ゴーン元会長以外にも役員報酬額の訂正があり、また、当時は1億円以上の役員報酬を受け取った役員として開示されていなかった役員も新たに開示されるなど、開示人数の変更もあった。  2014年3月期は、カルロス・ゴーン元会長ら5名の開示であったが、訂正後は、グレッグ・ケリー氏とカルロス・タバレス氏が新たに開示され7名の開示となった。
 2015年3月期は、カルロス・ゴーン元会長と西川廣人社長の2名であったが、訂正後は、志賀俊之氏、グレッグ・ケリー氏、山下光彦氏、今津英敏氏が新たに開示され6名に増加。
 2016年3月期は、カルロス・ゴーン元会長と西川廣人社長の2名であったが、訂正後は、グレッグ・ケリー氏、山下光彦氏、コリン ドッジ氏が新たに開示され5名に増加。
 2017年3月期は、カルロス・ゴーン元会長と西川廣人社長ら4名であったが、訂正後は、グレッグ・ケリー氏が新たに開示され5名に増加。
 2018年3月期は、カルロス ゴーン元会長と西川廣人社長の2名で、開示人数の訂正はなかった。



※役員報酬1億円以上の開示は、「改正企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づき、2010年3月期決算より報酬等の総額、報酬等の種類別(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金等の区分)の総額を有価証券報告書に記載することが義務付けられた。

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