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2019年「主な上場企業の希望・早期退職者募集状況」調査

 2019年に希望・早期退職者を募った上場企業は16社に達し、5カ月余りで前年1年間(12社)を上回った。業種別では、薬価引き下げや新薬の開発費用上昇を背景にした医薬品メーカーの募集が目立つ。また、年齢条件付きの募集では、45歳を適用開始とする企業が10社で最も多かった。
中小企業では人手不足が深刻化しているが、上場企業は将来を見越したビジネスモデルの構築に向けて、希望・早期退職者の募集に踏み出すケースが広がりをみせている。

  • 本調査は、2019年に希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出した。希望・早期退職者の募集予定を発表したが、まだ実施に至っていない企業、および上場企業の子会社(未上場)は対象から除いた。資料は原則として『会社情報に関する適時開示資料』(2019年5月13日公表分まで)に基づく。

16社が募集実施、社数が前年1年間の12社を上回る

 5月13日現在で、2019年に希望・早期退職者の募集実施を公表した主な上場企業は16社を数え、前年1年間の12社を上回った。希望・早期退職者募集を実施した上場企業は、リーマン・ショック直後の2009年には191社にのぼった。その後は、円安進行で輸出産業を中心に大手企業の業績が好転した2013年から減少をたどり、2018年は調査開始の2000年以降で最少の12社にとどまった。だが、2019年は半年を経過していない時点で、前年の実施社数を上回った。

主な上場企業 希望・早期退職者募集状況

募集人数は6,697人、3年ぶりの5,000人超え

 2019年の希望・早期退職者の募集または応募人数は、最多が富士通(グループ会社を含む)の応募2,850人だった。成長領域のITサービス等を強化し、間接部門の効率化を目指した「成長に向けたリソースシフト」の一環として実施した。次いで、収益力強化に向けた構造改革計画の一環で実施した東芝(グループ会社を含む)の募集約1,060人(応募823人)。物流費等の上昇に人件費圧縮で経営効率化を目指すコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(グループ会社を含む)の募集700人(応募950人)。経営計画に沿って国内事業の再編を進めるアステラス製薬(グループ会社を含む)の応募約700人と続く。100人以上は9社(前年6社)になった。
募集人数(募集枠がない場合は応募人数)の合計は6,697人に達し、現時点で3年ぶりに5,000人を上回った。今後の状況次第では、2013年(1万782人)以来の1万人超えになる可能性が出てきた。

 全国的に「人手不足」が深刻な経営課題になっているが、こうしたなか2019年の上場企業の希望・早期退職者募集は、既に前年の実施社数を上回った。業種別では、医薬品と電気機器が各4社で最も多く、特に医薬品では過去最高の売上収益・営業利益を達成した中外製薬など、業績好調な企業でも希望退職者募集や配置転換など人員構成の見直しに動き出している。
製薬業界は国の医療費抑制を背景に、2年に1度の薬価改定が2021年度から毎年改定に変わり、薬価引き下げによる業績低下の可能性が影響している。さらに、技術高度化に伴う新薬開発費の上昇に加え、グローバルマーケットでのメガファーマ(巨大製薬企業)化の動きなど、事業環境が急速に厳しさを増していることも要因にあげられる。
上場企業の希望・早期退職者募集は、これまでの経営不振を原因とする「リストラ」型中心から業績好調な企業が成長分野への事業展開を図るため、余裕のあるうちに人員適正化を進める「先行実施」型が増えていくとみられる。
また、2019年の年齢条件付き募集では、募集適用の開始年齢を45歳からとする企業が10社で最も多かった。今後は一段と対象年齢を引き下げる動きが強まる可能性がある。

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