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社名に「令和」を含む企業は全国29都道府県で73社

 4月1日に次の元号が「令和」と発表されてから1カ月間で、社名に漢字「令和」を含む企業(以下、「令和」企業)は全国29都道府県に、73社が誕生したことがわかった。
 新元号が発表された4月1日、東京商工リサーチが保有する企業データベース(317万社)では「令和」企業はゼロだった。
 4月3日に「令和」企業第一号が設立され、法人登記で令和(株)(TSR企業コード:130345326、長崎市)が確認された。その後も「令和」企業の新設、社名変更が続き「令和」企業は4月26日正午現在、全国29都道府県で73社にのぼった。


「令和」企業 新設法人は44社、社名変更は29社

 「令和」企業73社のうち、新設法人は44社、従来の社名を「令和」に変更したのは29社だった。このうち、4月1日付で新設されたのは8社、社名変更が19社、合計27社(構成比36.9%)あった。
 社名を変更した企業のうち、売上高トップは茨城県を地盤とする総合建設業の令和建設(株)(TSR企業コード:280056575、旧:松丸工業(株)、本社・守谷市)。1963(昭和38)年設立で、4月1日の新元号発表にあわせて社名を変更した。また、令和書籍(株)(TSR企業コード:027950832、東京都港区、竹田恒泰社長)は、2018(平成30)年4月に「平成書籍(株)」として設立、そして4月1日付けで「令和書籍」に変更した。

地区別 関東が32社で約4割 都道府県別では東京都が最多

 「令和」企業73社の地区別は、関東が32社(構成比43.8%)でトップ。次いで、九州13社(同17.8%)、近畿12社(同16.4%)、中部7社(同9.5%)、中国4社、北海道3社、東北と四国は1社、北陸はゼロだった。
 都道府県別では、トップは東京都で12社(同16.4%)。次いで、福岡県が7社(同9.5%)、埼玉県・神奈川県・大阪府が各5社(同6.8%)と続き、全国では29都道府県で1社以上の「令和」企業が誕生した。

地区別「令和」企業数

サービス業他が最多で31社、合同会社も13社

 「令和」企業73社のうち、産業別のトップはサービス業他の31社(構成比42.4%)で、約4割を占めた。このうち経営コンサルタント業が7社と突出した。新設法人は4社で、コンサルタント業は代表の事業経験などをもとに小・零細規模の独立が多く、話題性や知名度アップを狙ったと思われる。次いで、不動産業13社(新設8社、同17.8%)、建設業9社(同4社、同12.3%)の順。
 「験(げん)を担ぐ」傾向のある不動産業、建設業が多く、新しい時代の幕開けとして縁起の良い「令和」を社名に採り入れた企業が多かったようだ。
※ 産業・業種は商業登記簿の目的欄を採用した。

 法人格別では株式会社が49社(構成比67.1%)と約7割を占め、最も多かった。次いで合同会社が13社(同17.8%)だった。合同会社は設立の手続きが容易で設立費用も安い。経営の自由度も高く、近年設立数が増加傾向だが、「令和」企業でも合同会社を選択するケースが目立った。

産業別「令和」企業数

社名別「令和」のみが最多の16社

 「令和」企業73社の社名別では「令和」のみが最多で16社(構成比21.9%)だった。以下、「令和不動産」4社(同5.4%)、「令和建設」と「令和コーポレーション」が3社(同4.1%)と続き、6つの社名が重複した。


 東京商工リサーチの企業データベースでは、全国で社名に「平成」を冠する企業は1,270社ある。このうち、「平成」が始まった1カ月(平成元年1月)で、新設や社名変更で誕生した「平成」企業は67社(新設51社、社名変更16社)だった。
 これに対し、新元号が「令和」と発表されてから1カ月間で、「令和」企業は「平成」企業を上回る73社に達した。「平成」は昭和天皇の崩御に伴う哀悼ムード下での改元だったのに対し、「令和」は生前退位に伴う祝賀ムードということも影響しているようだ。
 このため、5月1日以降も社名に「令和」を冠する動きはしばらく続くとみられる。参考までにひらがな「れいわ」は1社、カタカナ「レイワ」は3社、ローマ字「REIWA」は4社、全国に存在する。
 一方、社名に「令和」を含むか含まないかに関わらず、「改元に合わせて法人を設立したいという相談が多く寄せられている」(東京法務局)という。5月1日は「即位の日」で祝日のため法務局は業務を取り扱わず、改元日を会社の設立日とすることは事実上不可能(ただし、社名変更は5月1日を変更日として、後日に登記申請すれば可能)。
 国内景気の先行きが不透明さを増すなか、「令和」への改元を契機に、「令和」にちなんだ商品やサービスが需要を喚起し、起業を促す起爆剤となることが期待されている。

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