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2018年「業歴30年以上の『老舗』企業倒産」調査

 2018年に倒産した企業の平均寿命は23.9年で、前年より0.4年伸びた。産業別の格差は拡大し、最も平均寿命が長かったのは製造業の33.9年(前年32.9年)。一方、短命だったのは金融・保険業の11.7年(同16.4年)と、平均で22.2年の開きがあった。
2018年の倒産企業で、業歴30年以上の老舗企業の構成比は32.7%(前年比1.5ポイント上昇)と老舗企業の構成比がアップした。一方、業歴10年未満の新興企業は同24.8%(同0.3ポイント上昇)だった。10産業のうち構成比が前年を上回ったのは、老舗企業が農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、情報通信業、サービス業他の6産業。新興企業は製造業、小売業、金融・保険業、不動産業、情報通信業、サービス業他の6産業だった。
都道府県別に老舗企業の構成比をみると、最高は岩手県の65.5%(同16.6ポイント上昇)で、9年ぶりにトップになった。構成比の上位は地方が目立った。
業況改善が進まないなか、老舗企業は過去の成功体験や経験則で生き残るのは難しく、自社の強みや弱みの把握が必要だ。新興企業は一時的なブームに頼らない基盤の構築が問われている。

  • 本調査は、2018年(1-12月)に全国で倒産した8,235件(負債1,000万円以上)のうち、創業年月が不明の1,226件を除く、7,009件を対象に分析した。
  • 業歴30年以上を『老舗企業』、同10年未満を『新興企業』と定義し、業歴は法人企業が設立年月、個人企業は創業年月からの起算とした。

老舗企業の倒産構成比32.7%

 2018年に倒産した8,235件では、業歴が判明したのは7,009件だった。このうち、業歴30年以上の老舗企業は2,292件(構成比32.7%)だった。構成比は前年より1.5ポイント上昇し、ここ15年間で最高を記録した。
倒産企業に占める老舗企業の構成比は2011年以降、8年連続で30%以上を持続している。老舗企業は、長年にわたる実績を背景に、不動産や内部留保などの資産が厚く、金融機関や取引先などの信用を得ている。ただ、近年の金融機関は単なる財務内容や業績だけでなく、将来性を優先して判断する「事業性評価」が徐々に浸透している。
過去の成功体験から抜け出せず新たな投資や取り組み遅れは致命傷になりかねない。また、代表者の高齢化が進み、事業承継や後継がスムーズに進まないと倒産に至るケースも少なくない。
一方、業歴10年未満の新興企業の倒産は1,745件(構成比24.8%)で、前年より0.3ポイント上昇した。国や自治体が積極的に創業支援を促しているが、計画の甘い経営も指摘されており、構成比は老舗同様にここ15年間で最高となった。

業歴別 企業倒産件数構成比推移

3年ぶりに平均寿命が上昇

 2018年の倒産企業の平均寿命は23.9年で、前年の23.5年から0.4年上昇した。前年を上回ったのは、2015年以来、3年ぶり。
2009年12月に中小企業等金融円滑化法が施行され、業績不振の中小企業は金融機関へ借入金の返済条件を変更(リスケ)し、資金繰りが一時的に緩和した。同法は2013年3月末に終了したが、金融機関はその後もリスケ対応を継続、延命した企業が平均寿命を押し上げた。
2017年は参入障壁が低い飲食業、高齢化で市場拡大を見越した老人福祉・介護業など、業歴の浅いサービス業他の倒産増が平均寿命を縮めた。2018年は金融機関による取引企業の『事業性評価』に基づく与信判断が動き始め、中小企業の再生支援などで平均寿命が上昇した。
産業別の倒産企業の平均寿命は、10産業のうち、農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、情報通信業、サービス業他の6産業で前年より伸びた。一方、平均寿命が短縮したのは、小売業、金融・保険業、不動産業、運輸業の4産業。
平均寿命が最も長かったのは、製造業の33.9年で前年の32.9年より1.0年上昇。2011年の27.9年から8年連続で前年を上回った。次いで、卸売業27.1年(前年26.1年)、運輸業25.9年(同27.0年)、農・林・漁・鉱業25.1年(同20.0年)、建設業と小売業が24.2年の順。
平均寿命が最も短いのは、投資業などを含む金融・保険業の11.7年(同16.4年)だった。

主な産業別 倒産企業の平均寿命推移

産業別 製造業は老舗企業が5割、金融・保険業は新興企業が7割

 2018年に倒産した企業で、老舗企業の構成比を産業別にみると、最高は製造業の57.1%(前年52.9%)で唯一、半数を占めた。次いで、卸売業38.6%(同36.5%)、農・林・漁・鉱業37.9%(同25.8%)、運輸業36.2%(同40.9%)、不動産業33.8%(同36.9%)の順で、10産業のうち、6産業が前年を上回った。
製造業は、輸出企業を中心に大手企業が好業績をあげている。一方、倒産に追い込まれたのは小・零細企業が中心だった。小・零細企業は資金繰りに余力が乏しく、人手不足、経営者の高齢化、後継者問題などの経営課題が山積、対応できない企業の行き詰まりが目立った。
業歴10年未満の構成比は、最高が金融・保険業73.3%(前年44.7%)。次いで、サービス業他38.1%(同37.6%)、情報通信業28.0%(同27.1%)の順。老舗企業で構成比トップの製造業は10.1%(同8.7%)と、低率ながら3年ぶりに10%を上回った。
業歴10年未満で構成比トップの金融・保険業は、保険代理店のほか、低金利が続くなか高配当を謳い資金を集めた投資業などが散見された。

地区別 老舗企業は四国が5年連続トップ

 2018年の老舗企業倒産の地区別の構成比では、四国が51.8%(前年43.7%)で最も高かった。前年より8.1ポイント上昇し、5年連続でトップとなった。次いで、東北40.3%(同38.7%)、北陸40.0%(同39.0%)、中国38.9%(同42.4%)、中部38.2%(同35.2%)の順。構成比が最も低かった九州は27.8%(同24.4%)と前年より3.4ポイント上昇した。
老舗企業の構成比が最も高かった四国は、都道府県別で香川県(構成比47.2%→65.3%)が2位、徳島県(同44.1%→57.5%)が3位に入った。また、高知県(同44.4%→42.1%)が15位、愛媛県(同40.0%→40.9%)が18位だった。2017年の社長平均年齢は、高知県が63.5歳と全国で最も高く、徳島県、香川県も全国平均(61.4歳)を上回るなど後継者や事業承継などの問題も垣間見える。
一方、老舗企業の構成比が最低だった九州は、47位に沖縄県(構成比9.3%)、46位に福岡県(同22.9%)、44位に宮崎県(同25.0%)が名を連ねた。

都道府県別 老舗企業の構成比は岩手県が9年ぶりトップ

 2018年の老舗企業倒産の都道府県別の構成比は、岩手県が65.5%(前年48.9%、4位)と最も高く、2009年(構成比48.4%)以来、9年ぶりにトップとなった。以下、香川県65.3%(前年47.2%、5位)、徳島県57.5%(同44.1%、11位)と続く。全国平均の32.7%以上は36道県(前年全国平均31.2%、34道府県)だった。
一方、沖縄県は老舗企業の構成比9.3%で19年連続で最低だが、新興企業の構成比が48.8%と最も高く、倒産企業の2件に1件は新興企業と、事業の継続性という課題を浮き彫りにしている。
老舗企業の構成比が前年より上昇したのは27都県(前年17道府県)。最高は長崎県の前年比20.9ポイント上昇。以下、島根県が同19.7ポイント上昇、香川県が同18.1ポイント上昇の順で、人口減少率が大きく新設法人の割合が低い地域が上位にくる傾向がある。

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