• TSRデータインサイト

パイオニアに初めてGC注記、資本・業務提携交渉の行方に注目集まる

 カーエレクトロニクス大手のパイオニア(株)(TSR企業コード:291061753、文京区)は8月6日、2019年3月期決算第1四半期決算を発表した。売上高は連結ベースで838億1,100億円(前年同期比0.6%増)だったが、営業赤字15億7,500万円(前年同期2億4,300万円の赤字)を計上した。特許訴訟関連損失の引当てなどで特別損失がかさみ、当期純損失は66億6,300万円(同20億3,500万円の赤字)に拡大。2019年3月期通期も営業赤字50億円を予想している。
 同日発表した第1四半期決算短信に、「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイング・コンサーン注記、GC)が初めて記載された。前年度に当期純損失71億円を計上、営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュフローは172億円のマイナス。さらに当年度も営業赤字を見込み、2018年9月に返済期限が到来する借入金(133億円)について現時点で取引銀行から借り換えの合意が得られていないことを理由にあげた。パイオニアは東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「金融機関との具体的な協議内容については公表を差し控える」とコメントした。
 業績改善策について、業績悪化の主因であるOEM事業をビジネスパートナーとの事業提携や取引条件の見直しを進め、資金確保に向けた取引銀行との協議、海外子会社が所有する生産設備の売却など選択と集中を進めるとしている。
 こうしたなか、自動車部品メーカーのカルソニックカンセイ(株)(TSR企業コード:291139833、さいたま市)に、パイオニアが業務・資本提携を含めた支援を要請したとの報道が注目を集めた。8月9日9時30分、「カルソニックカンセイを含め複数の企業と提携について協議をしていますが、決定した事実は何もありません」とリリースした。
 カーエレクトロニクス分野に事業集中を進めてきたパイオニアだが、自動車関連メーカーとの親和性は高い。深刻な業績悪化に沈む名門企業の浮上には、資本提携など踏み込んだ提携関係も選択肢の一つで、今後の協議の行方が注目される。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年8月10日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

 TSR情報とは

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ