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業績を嘘で塗り固めた「はれのひ」

 はれのひ(株)(TSR企業コード:872372723、篠崎洋一郎社長)の過去の決算内容が判明した。はれのひは、求人サイトなどで2016年9月期の売上高を4億8,000万円と公表していたが、東京商工リサーチの取材で実際は3億8,000万円だったことがわかっている。また、対外的には利益を非公開だったが、同期の最終利益は3億6,000万円の赤字だった。
 求人サイトでは、2012年9月期の売上高を8,500万円、2013年9月期は1億1,000万円と順調な成長ぶりをみせていたが、実際は2012年9月期が2,700万円、2013年9月期が5,600万円にとどまり、この段階で実際の2倍以上の数字でごまかしていた。

 また、資産・負債内容の概要は、2016年9月期の総資産は2億9,500万円、このうち流動資産は1億5,500万円、固定資産は1億4,000万円だった。流動資産のうち、現預金は3,000万円に満たず、商品在庫は1億円近く計上されていた。固定資産は、保証金が3,500万円計上され出店が重荷になっていたことがわかる。この他にも、大きな固定資産が計上されている。
 これに対して負債は、流動負債が約2億円、固定負債が約4億。負債合計は6億1,400万円に膨らみ、債務超過額は3億1,900万円だった。

 2017年9月期決算は公表されていない。法人税の申告は原則、事業年度の最終日から2カ月後で、株主総会の開催期限である3カ月後までに決算を確定しなければならない。このため、はれのひは2017年9月期決算を同年12月末までに確定することになるが、関係筋では「(その日までに)決算の確定作業はできていないだろう」と話している。

「はれのひ」の決算データ

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