• TSRデータインサイト

2017年3月期「役員報酬1億円以上開示企業」調査(最終まとめ)

 2017年3月期決算で役員報酬1億円以上を開示した上場企業は221社、人数は457人だった。社数は前年同期の211社を10社上回り、2015年3月期の212社を抜いて最多記録を更新した。
また、開示人数も前年同期(414人)を43人上回った。3月期では2013年から5年連続で増加し、最多人数を更新した。2年連続で役員報酬1億円以上の311人のうち、半数を超える170人(構成比54.6%)は前年より役員報酬額が増加した。
役員報酬の最高額は、ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長の103億4,600万円。前年記録した自身の最高額(64億7,800万円)を抜き、役員報酬の最高額を更新した。
個別開示人数の最多は、三菱電機の22人だった。前年同期の23人より1人減少したが、4年連続でトップを守った。
役員報酬1億円以上の個別開示制度は2010年3月期から開始され、2017年3月期は8回目。同制度の開始から8年連続で個別開示された役員は81人だった。


  • 本調査は、全証券取引所の3月決算の上場企業2,430社(AKIBAホールディングス、UKCホールディングス、東芝、富士フイルムホールディングス、郷鉄工所、近畿車輛を除く)を対象に、有価証券報告書から役員報酬1億円以上を個別開示した企業を集計した。上場区分は2017年7月3日時点。
  • 2010年3月31日に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正」で、上場企業は2010年3月期決算から取締役(社外取締役を除く)、監査役(社外監査役を除く)など役職別及び報酬等の種類別の総額、提出企業と連結子会社の役員としての連結報酬1億円以上を受けた役員情報を有価証券報告書に記載が義務付けられた。内閣府令改正は、上場企業の「コーポレート・ガバナンス」(企業統治)に関する開示内容の充実を目的にしている。

役員報酬のランキング(トップ5)

開示人数の最多は三菱電機の22人

 役員報酬1億円以上で個別開示された457人の役員報酬総額は941億900万円。前年同期(211人、843億4,800万円)より97億6,100万円増加した。
役員報酬の主な内訳は、基本報酬が445億3,900万円(構成比47.3%)、賞与が168億6,800万円(同17.9%)、退職慰労金(引当金繰入額含む)が33億3,800万円(同3.5%)だった。
開示人数の最多は三菱電機(東証1部)の22人。前年同期(23人)より1人減少したが、引き続き20人台を維持した。次いで、伊藤忠商事の11人(前年同期3人)で大幅に増加した。10人は、ファナック(同11人)、ソニー(同3人)、パナソニック(同1人)の3社、9人は東京エレクトロン(同11人)で、電機関連が上位に並んだ。
役員報酬1億円以上が2人以上は92社(構成比41.6%)で、前年の87社を5社上回った。

開示人数ランキング(トップ3)

(役員報酬ランキングの詳細な分析は、会員制サイト「tsr-van2」で公開中)

tsr-van2とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ