• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「チャイナリスク」関連倒産調査(12月、2016年)

 2016年の「チャイナリスク」関連倒産は110件(前年比8.9%増)で、集計を開始した2014年以降で最多となった。3月に単月として最多となる16件を記録し、11月も13件発生するなど1年を通してチャイナリスクが国内企業を翻弄した。
 負債総額は718億4,300万円(同69.9%減)だった。2015年は9月に第一中央汽船(株)(東京都、民事再生)が1,196億700万円の負債を抱えて倒産したが、2016年は負債100億円を超える倒産は1件にとどまり、負債総額は約7割減少した。
 12月の倒産件数は7件(前年同月比30.0%減)、負債総額は20億2,900万円(同75.2%減)だった。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他
    ※ 2016年4月の発表分から、より実態に即した集計とするため、集計基準に「7.価格競争」、「8.その他」を追加した。2016年3月以前の発表分についても遡って計上している。
    ※ 「チャイナリスク]関連の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「破産申請の準備中」などは、倒産とは区別し「実質破綻」としている。
  • 倒産の定義(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)
    A. 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
    B. 手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
    C. 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
    ※「チャイナリスク」関連倒産の集計開始は2014年1月。

チャイナリスク関連倒産月次推移

 チャイナリスクの影響を受けて倒産した企業を従業員数別でみると、10名以上が51件(前年比59.3%増)と前年の32件から約6割増えた。一方、10名未満は59件(同14.4%減)と前年より減少し、チャイナリスクの影響は中堅企業にシフトしている。
 また、チャイナリスクの影響で倒産した企業の従業員数合計は、2014年が595人、2015件が656人、2016年が1,638人と、初めて1,000人を突破した。
 産業別で、最多は卸売業の63件(構成比57.2%)だった。次いで、製造業の33件(同30.0%)で、この2産業で全体の約9割(同87.2%)を占め、中国への製造依存を裏付けた。
 業種別では、「繊維・衣服等卸売業」、「繊維工業」、「なめし革・同製品・毛皮製造業」などのアパレル関連が54件(同49.0%)と突出、全体の半数を占めた。コスト削減を目指して中国への進出は収益アップの観点から自然だが、販売基盤の拡充やコスト変動に対応できるだけの付加価値の創造をないがしろにした企業は、生き残りが難しいことを示している。
 1月10日、中国国家発展改革委員会の徐紹史主任は2016年の中国の国内総生産(GDP)が6.7%前後になる見通しを示した。政府が掲げる成長目標の6.5-7.0%の範囲内だが、2015年の6.9%を下回り、6年連続で下落することになる。民間投資の伸びが精彩を欠き、公共投資でGDPを底上げしている面もある。2010年までの好況期に中国に進出や投資を決めた日本企業は、中国の成長率の鈍化と産業構造の変遷にどう対応するか注目される。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ