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銀行114行「2016年3月期 預証率調査」(単独決算ベース)

 銀行114行の2016年3月期の預証率は31.0%で、4年連続で前年同期を下回った。要因としては、大手銀行を中心に国債残高を減らしていることが挙げられる。「国債」残高は2009年3月期以来の100兆円割れで、約8割の銀行で預証率が低下した。ただし、「貸出金」の増加より「現金預け金」の増加が目立つなど、預証率の低下が必ずしも貸出金の拡大につながっていない。


  • 本調査は、国内銀行114行を対象に2016年3月期単独決算ベースの預証率を調査した。預証率は預金残高に対する有価証券残高の比率で、金融機関の資金運用状況を示す指標の一つ。預証率=有価証券÷(預金+譲渡性預金)で算出し、有価証券は貸借対照表の資産の部に計上されている「国債」、「地方債」、「社債」、「株式」、「その他の証券」を合計した。「預金」と「譲渡性預金」は、貸借対照表の負債の部から抽出し、合計した。
    なお、2012年4月1日に住友信託銀行・中央三井信託銀行・中央三井アセット信託銀行の合併で発足した三井住友信託銀行は、過去データとの比較ができないため、調査対象に含まれていない。

2016年3月期の預証率31.0%、4年連続減少

 銀行114行の2016年3月期単独決算ベースの預証率は31.0%で、4年連続で前年同期を下回った。預証率を3月期決算でみると、2012年は歴史的な円高水準により大手企業の設備投資意欲が減退し、急速な市場悪化から株式、社債の比率も低下した。また、銀行の中小企業向け貸出も慎重になったことで、資金が一挙に国債へ流入したため、預証率が42.4%まで上昇した。
 しかし、2013年4月に日銀が2年間でマネタリーベースの量を2倍の270兆円を目標にするなどの「質的・量的金融緩和」を発表。銀行などから積極的に国債を買い入れて、その代金を金融機関の日銀当座預金に振り込むという形で実施した。さらに2014年10月30日には、長期国債の買い入れ拡大などの追加金融緩和を決定したことで、大手銀行を中心に国債残高を軒並み減らし、預証率の低下が続いているとみられる。

銀行114行 預証率と有価証券残高推移

「国債」残高は97兆円、7年ぶりの100兆円割れ

 銀行114行の2016年3月期の資産運用、投資目的で保有する「有価証券残高」は、234兆4,573億7,900万円(前年同期比6.8%減)で2年ぶりに前年同期を下回った。
 内訳をみると、「国債」(構成比41.3%)が97兆176億9,900万円(前年同期比19兆3,052億8,200万円減、16.5%減)と大きく前年同期を下回り、3月期として100兆円を割り込んだのは2009年以来7年ぶりの低水準。これに対して、外国証券などの「その他の証券」は74兆9,692億2,200万円(前年同期比4兆6,323億6,400万円増、6.5%増)と残高を増やした。

銀行114行 国債他の残高推移

「有価証券残高」、大手銀行が13兆円減らす

 業態別の「有価証券残高」では、大手銀行9行が138兆6,976億4,000万円(前年同期比8.8%減、同13兆4,585億8,000万円減)、地銀64行が79兆1,235億8,300万円(同3.8%減、同3兆1,351億3,700万円減)、第二地銀41行が16兆6,361億5,600万円(同3.4%減、同5,990億5,700万円減)と三業態すべてで前年同期より残高が減少し、減少幅は大手銀行が最大だった。

約8割の銀行で預証率低下

 個別の預証率でみると、114行のうち90行(構成比78.9%)で前年同期を下回った。
 比率低下行では、みずほ信託銀行の14.9ポイント低下(58.6→43.7%)を筆頭に、東京スター銀行13.5ポイント低下(37.6→24.1%)、福島銀行11.0ポイント低下(33.7→22.7%)、みちのく銀行8.8ポイント低下(30.7→21.9%)の順。
 一方、前年同期より預証率が上昇したのは23行(構成比20.1%)、同率が1行だった。
 個別では、徳島銀行の3.7ポイント上昇(31.8→35.5%)を筆頭に、東北銀行3.4ポイント上昇(32.7→36.1%)、十六銀行2.7ポイント上昇(30.8→33.5%)など。

三業態のすべてで預証率ダウン

 業態別の預証率をみると、地銀64行が30.6%(前年同期32.4%、前年同期比1.8ポイント低下)で、前年同期より預証率が低下したのは51行(構成比79.6%)になった。第二地銀41行の預証率は25.1%(前年同期26.5%、前年同期比1.4ポイント低下)で、前年同期より低下が30行(構成比73.1%)だった。また、大手銀行9行の預証率は32.2%(前年同期36.6%、前年同期比4.4ポイント低下)で、9行すべてで前年同期より比率が低下した。

「国債」残高が100億円以上減は75行

 「国債」残高の個別前年同期比では、114行のうち101行(構成比88.5%)で前年同期を下回った。減少額が最も大きかったのは、三菱東京UFJ銀行の6兆9,699億900万円減。次いで、三井住友銀行の4兆1,727億4,800万円減、みずほ銀行1兆7,876億500万円減、りそな銀行8,082億4,100万円減、埼玉りそな銀行5,202億8,300万円減の順で、大手行が目立った。減少額が100億円以上になったのは75行(同65.7%)を数えた。


 銀行114行の2016年3月期決算の預証率は、4年連続で前年同期より低下した。これは貸出増加によるものでなく、主に日銀の国債買い入れの影響が大きい。114行の2016年3月期の「貸出金残高」が前年同期比2.7%増だったのに対し、「現金預け金」(日銀当座預金や通貨、手形など)の総額は同12.9%と増加が目立った。銀行は、日銀の買いオペに応じた国債売却や預金などで流入した資金を現金預け金の形で積み上げていて、預証率の低下が必ずしも貸出金の増加につながっていないことがうかがえる。「マイナス金利」政策が実施されているなかで、今後の預証率と銀行貸出の推移が注目される。

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