2013年度 都道府県別「赤字法人率」調査
2013年度の赤字法人率は3年連続で前年度より改善をみせた。震災復興事業の本格化や公共工事の拡大が影響したとみられる。全国9地区すべてで赤字法人率が改善をみせたが、産業別では、建設業の改善幅が最大だった。
- ※本調査は、2015年3月公表の国税庁統計法人税表(平成25年度分)に基づき、2013年度の都道府県別の赤字法人率(普通法人)をまとめた。赤字法人率は、普通法人を対象に赤字(欠損)法人数÷普通申告法人数×100で算出し、小数点第3位を四捨五入した。なお普通法人は、会社等(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人などを含む。
全国9地区すべてで改善
地区別の赤字法人率では、9地区すべてで前年度より改善した(全国平均1.68ポイント改善)。このうち、赤字法人率が最も低かったのは東北の65.42%だった。前年度より2.05ポイント改善(前年度67.47%)した。次いで、北海道69.2%、九州69.42%、北陸70.56%、近畿71.12%、中国72.51%、関東72.84%、中部73.97%と続き、四国が74.97%で最も高率だった。
47都道府県すべてで、赤字法人率が改善
都道府県別では、前年度よりすべてで赤字法人率が改善した。このうち27道府県で全国の赤字法人率(71.82%)を下回った。
赤字法人率が最も低かったのは、7年連続で沖縄の63.72%(前年度64.65%)だった。沖縄の建設業は公共工事への依存度が高く、赤字決算では公共事業の受注が難しくなることから、黒字捻出に重点を置くという地域事情も影響した。
次いで、青森63.75%(同65.66%)、福島64.03%(同66.7%)、岩手64.05%(同66.81%)、宮城65.83%(同67.04%)と続き、前年度と同じランキングになった。
これに対し、赤字法人率が最も高かったのは、徳島の78.91%で7年連続の首位。次いで、長野77.07%、群馬75.69%、静岡75.45%、香川75.17%と続く。
赤字法人数 45都道府県で減少
都道府県別の赤字法人数では、45都道府県で減少した。減少率が最も高かったのは、新潟が前年度比4.1%減(28,705→27,529社)。次いで、北海道が同3.9%減(77,450→74,385社)、福井が同3.8%減(11,943→11,480社)、岩手が同3.5%減(11,471→11,061社)と続く。
一方、増加したのは沖縄の前年度比1.7%増(12,556→12,781社)、宮城が同0.2%増(25,720→25,772社)の2県だけだった。
沖縄は、赤字法人数の増加率(1.7%)に比べて、普通申告法人数の増加率(3.2%)が大きかったことが赤字法人率を低率に抑制したとみられる。このほかに普通申告法人数の増加率が高かったのは、福島2.0%増、宮城2.0%増、福岡1.3%増、佐賀1.1%増など。
産業別赤字法人率 建設業の改善幅が最大
産業別の赤字法人率では、2年連続して10産業すべてで前年度より改善した。改善幅が最大だったのは建設業の3.98ポイント改善(72.8→68.82%)だった。景気対策としての公共工事拡大が影響したとみられる。次いで、情報通信業が1.69ポイント改善(73.52→71.83%)、金融・保険業が1.67ポイント改善(73.09→71.42%)と続く。これに対して改善幅が最少だったのは、小売業の0.95ポイント改善(78.45→77.5%)で、厳しい価格競争を反映した。
2013年度の赤字法人率調査では、アベノミクスによる大胆な金融緩和と公共事業拡大などから、赤字法人率が全国的に改善をみせた。ただし、依然として全体の7割の会社が赤字という状況に変わりはなく、地方経済の景気回復のピッチが「まだら模様」であることに留意しなければならない。