上場企業 希望・早期退職者募集 半年で41社
2013年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業は41社を数え、前年同期とほぼ同水準(40社、7月5日現在)だった。今年は年初から1カ月余りで前年の4割にあたる26社に達し、先行きが懸念されていた。しかし、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安・株価上昇に伴う収益回復期待から、人員削減の動きに急ブレーキがかかっていることがわかった。
- ※本調査は、上場企業を対象に2013年1月以降、希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた企業を抽出した。希望・早期退職者の募集予定を発表したものの実施に至らない企業、および上場企業の子会社(未上場)は対象から除いた。資料は、原則として会社情報適時開示の『会社情報に関する公開資料』(2013年7月5日公表分まで)に基づく。
希望・早期退職者募集実施の上場企業 41社
2013年に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は、具体的な内容を確認できた分で41社が判明した。前年同期(40社)とほぼ同水準で、上場企業の希望退職募集には一服感がみられるようになった。景気回復の動きが見え始めたことから、2012年1年間の63社を上回るか微妙になってきた。
産業別で最も多かったのは、富士通、ルネサスエレクトロニクス、パイオニアなど電気機器の10社だった。次いで、機械・非鉄金属・輸送用機器が各4社、化学とサービスが各3社と続く。
募集人数100人以上 半数の21社
募集人数の最多は、ルネサスエレクトロニクス(グループ会社を含む)の3千数百人。次いで、日本無線の650人(応募495人)、パイオニア(グループ会社を含む)600人(同716人)、NTN(グループ会社を含む)の600人(同406人)、シチズンホールディングス(グループ会社を含む)400人(同399人)。富士通の300人(同491人)、ショーワの300人と続く。募集人数が100人以上は、判明した41社の半数の21社だった。
2013年の上場企業の希望・早期退職者募集は、年初から一転、4月以降は急ブレーキがかかり大きく潮目が変わった。4月がゼロ、5月2社、6月5社にとどまっている。しかし、まだ円安効果は輸出企業が中心で、内需型産業には必ずしも業績に直結していない。また、デフレからの脱却も遅れている。上場企業の希望退職募集など人員削減策は一服しているが、コスト削減と不採算事業の見直しは、景気動向を踏まえた経営戦略に基づくため、まだ流動的な部分を残している。