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マツオインターナショナル(株)ほか1社

マツオインターナショナルの大阪本社が入居するビル

 マツオインターナショナル(株)(大阪市中央区、登記上:渋谷区)と、関連の松尾産業(株)(大阪市中央区備後町3-4-9、登記上:大阪市西区)は12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請し同日、保全管理命令、調査命令、弁済禁止の保全処分命令及び包括的禁止命令の各命令を受けた。
 申請代理人は北野知広弁護士(弁護士法人大江橋法律事務所、大阪市北区中之島2-3-18)ほか。保全管理人には中森亘弁護士(北浜法律事務所・外国法共同事業、同市中央区北浜1-8-16、専用ダイヤル06-6202-9557)が選任された。
 負債総額は、マツオインターナショナルが76億8194万円、松尾産業が34億3000万円。2社合計で約111億1194万円。

 婦人服の企画から製造、販売まで手がけ、「慈雨(じう)」「t.b2」など幅広いブランドを展開。また、世界的デザイナーブランド「ヴィヴィアン タム」の国内展開を手掛けることでも知られる。当初は自社ブランドの卸売を中心としていたが、1998年に小売にも参入。同業から店舗の譲渡も受けて国内外約400店舗に拡大し、ピークの2019年8月期は売上高176億655万円をあげた。しかし、コロナ禍での休業や販売不振から業況が急激に悪化。2021年8月期は売上高134億5995万円に対して、8億6001万円の最終赤字を計上し、債務超過へ転落した。

 以降、売上の伸び悩みに加えて2024年8月期まで5期連続の最終赤字が続くなか、政府系金融機関の資本性ローンや返済猶予などの支援を受けたほか、一部ブランドの取り扱いの廃止、棚卸資産の圧縮など財務内容の改善を進めた。また、2025年8月にはバンクミーティングを実施。中小企業活性化協議会の支援を仰ぎ、金融債務のリスケジュールで資金繰りを維持していたものの業況悪化が続き、今回の事態となった。

 なお、当社グループは事業の再建に向け、上記申立て前に名証ネクストの (株)バルコス(鳥取県倉吉市)をスポンサー候補として選定し、アパレル事業の継続に必要な支援を受けることで基本合意した。
 また、三井住友銀行との間でDIPファイナンス契約を締結予定。

※マツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、法人番号:3011001012402、大阪市中央区備後町3-4-9、登記上:渋谷区千駄ヶ谷4-20-10、設立1985(昭和60)年12月、資本金5000万円)
※松尾産業(株)(TSRコード:570190592、法人番号:1120001047481、大阪市中央区備後町3-4-9、登記上:大阪市西区阿波座1-4-14、設立1958(昭和33)年5月、資本金2850万円)
※(株)バルコス(TSRコード:730073904、法人番号:8270001005096、鳥取県倉吉市)

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