• TSR速報

(株)秀和システム

秀和システムの入居ビル(TSR撮影)

秀和システムの入居ビル(TSR撮影)

秀和システムが法的手続き、船井電機を一時支配していた

 (株)秀和システム(江東区)は、債務超過に陥り、出版事業の継続が困難となり、法的整理を弁護士に一任したことを7月1日、取引先などに通知した。出版事業は他社に引き継ぐ手続きを進める意向。
 負債総額は約18億9300万円(2024年3月期決算時点)。

 実用書や資格、ビジネス関連の書籍を中心とした出版社。特にIT関連の書籍や入門書などに定評があり、相応の実績と知名度を有し、ピークの2002年7月期は売上高27億2134万円をあげていた。しかし、その後は出版不況などの影響を免れず、年間売上高は20億円を割り込む水準となっていた。
 こうしたなか、2015年12月には上田智一氏が当社を買収後、M&Aを積極的に展開し、当社を中心とした企業グループを形成していた。また、グループを通じて2021年5月には船井電機(株)(大東市、現:FUNAI GROUP)に対しTOB(株式公開買い付け)を実施して傘下に収め、船井電機は2021年8月26日付で東証1部上場を廃止した。この間、船井電機は船井電機・ホールディングス(株)(現:FUNAI GROUP)に商号を変更のうえ、持株会社へ移行。会社分割で船井電機(株)(大東市)を2023年2月に設立していた。
 しかし、2023年4月に船井電機グループが買収した「ミュゼプラチナム」運営会社は広告会社とトラブルが発覚したほか、液晶テレビ事業の不振も続いていた。

 船井電機グループとのシナジー効果があげられないなか2024年9月、上田氏は船井電機の代表取締役を辞任。翌10月24日、船井電機が東京地裁より破産開始決定を受けた。グループの中心的存在である秀和システムの動向にも注目が集まっていたが2025年1月、当社が債権者としてFUNAI GROUPに対して東京地裁へ民事再生法の適用を申し立てた。だが、2月に取り下げるなど不安定な経営が続き、信用が大きく低下。
 これに前後して、当社が出版した本の返品などにより、資金繰りがひっ迫。私的整理も模索していたが、今回の措置となった。
 7月1日夜、東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し上田智一氏は、「(法的申請について)答えられない」とコメントした。

※(株)秀和システム(TSRコード:292007680、法人番号:1010401013986、江東区東陽2-4-2、設立1974(昭和49)年12月)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

銀行員の年収、過去最高の653万3,000円 3メガ超えるトップはあおぞら銀行の906万円

国内銀行63行の2024年度の平均年間給与(以下、年収)は、653万3,000円(中央値639万1,000円)で、過去最高となった。前年度の633万1,000円(同627万5,000円)から、20万2,000円(3.1%増)増え、増加額は3年連続で最高を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

3

  • TSRデータインサイト

「調剤薬局」 中小・零細はリソース不足で苦戦 大手は戦略的M&A、再編で経営基盤を拡大

 調剤薬局の大型再編が加速するなか、2025年1-8月の「調剤薬局」の倒産は20件(前年同期比9.0%減)で、過去最多の2021年同期と2024年同期の22件に迫る多さだった。今後の展開次第では、年間初の30件台に乗せる可能性も高まっている。

4

  • TSRデータインサイト

りそな銀行、メイン取引先数が増加 ~ 大阪府内企業の取り込み加速 ~

関西や首都圏で大企業から中堅・中小企業のメインバンクとして確固たる地位を築くりそな銀行。「2025年全国メインバンク調査」ではメインの取引社数は3メガバンクに次ぐ4位の4万511社だった。東京商工リサーチが保有する全国の企業データを活用しりそな銀行がメインバンクの企業を分析した。

5

  • TSRデータインサイト

メインバンク調査で全国5位の北洋銀行 ~圧倒する道内シェアで地域経済を牽引~

「2025年全国メインバンク調査」で、北洋銀行(2万8,462社)が3メガ、りそな銀行に次ぎ、調査開始の2013年から13年連続で全国5位を維持した。北海道に169店舗、都内1店舗を構え北海道内シェアは約4割(37.9%)に達する。

TOPへ