MPH(株)(TSRコード:036547190、 法人番号:3010401184925、大田区蒲田5-28-4、設立2024(令和6)年9月、資本金1000万円)は8月18日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には島田敏雄弁護士(LM虎ノ門南法律事務所、港区虎ノ門1-15-12)が選任された。
負債総額は、未施術の顧客を含めた債権者約20万名に対して約260億円。
MPHは、国内最大級の脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の運営会社。元々は、(株)ジンコーポレーション(現:(株)M&Fアセットパートナーズ、福島県)が「ミュゼプラチナム」を運営し、安価なサービスや通い放題などで注目された。積極的な広告展開で知名度の上昇とともに事業が急拡大し、全国に約170店舗を有し、2014年8月期には売上高386億7127万円をあげた。
しかし、顧客が支払った前払金について、預り金として施術ごとに売上計上する処理ではなく、一括で売上計上していたことが表面化。急成長のあおりで会員の予約の取りにくさも増し、解約が急増した。こうしたなか、2015年12月、(株)ミュゼプラチナム(現:(株)MIT、大田区)に「ミュゼプラチナム」事業を移管し、東証2部上場(当時)の(株)RVH(東京都港区)の子会社となった。
さらに、2020年4月には「たかの友梨ビューティクリニック」運営会社を傘下に持つ(株)G.Pホールディング(新宿区)の子会社となった。
親会社の変更が続くなか2023年4月、船井電機(株)(大阪府)の親会社の船井電機・ホールディングス(株)(現:FUNAI GROUP(株)、大阪府)が、別途設立したミュゼプラチナシステムズ合同会社(横浜市神奈川区)を通じて、ミュゼプラチナムの株式を承継していた。
こうしたなか、2024年5月には(株)ミュゼプラチナム(東京都港区)が、MITから全事業を承継し2024年9月、ミュゼプラチナムから新設分割で当社が設立された。以降は当社がミュゼプラチナム事業を引き継いでいたが、業況悪化に歯止めが掛からず、従業員への給与未払いなども発生。2025年2月には経営権を巡り対立が発生し、3月には全店の一時休業を発表していた。
その後、ミュゼプラチナム事業は、MPHのほか、新生ミュゼプラチナム(株)(千代田区)、どこでもミュゼプラチナム(株)(千代田区)の3社でフランチャイズ(FC)展開などを進めていた。5月16日にはMPHが債権者から破産を申し立てられていたが6月2日、MPHは株主総会の決議により解散し、通常清算や特別清算の選択を検討していた。債権者側と対立が深まるなか、今回の措置となった。
(株)N企画(TSRコード:270179828、法人番号:1070001002566、前橋市南町1-4-7、設立1997(平成9)年9月、資本金5000万円)は7月29日、前橋地裁より特別清算開始決定を受けた。
負債総額は46億7800万円。
1982年に「パティジョーク」の屋号で創業し、1990年代に服飾雑貨店「ハンプティーダンプティー」をスタート。その後、ロードサイド型の出店を続け、1997年9月に法人化。関連会社も複数設立し、当社を中核とするグループを形成するほか、フランチャイズによる店舗展開にも注力して40店舗以上に拡大した。
2017年8月期には売上高80億1193万円を計上したが、採算面は精彩を欠き、内部留保の蓄積は進まなかった。さらに2020年8月期以降は「新型コロナウイルス」感染拡大による影響や不良在庫の処理などで赤字決算が続き、債務超過に転落。また、競合店やECサイトとの競争、多額の借入金による支払利息の負担から業績低迷が続いた。
こうしたなか、2024年3月1日付でファンドが出資する新会社へ事業を移し、当社は(株)ハンプティーダンプティーから現商号に変更。2024年12月20日、株主総会で解散して債務整理を進めていた。
(株)アール工業(TSRコード:740412302、法人番号:8240001016609、広島市安芸区船越南4-11-28、設立1987(昭和62)年4月、資本金1000万円)は8月7日、広島地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には中田憲悟弁護士(はばたき法律事務所、広島市中区八丁堀6-7)が選任された。
負債総額は22億5800万円。
1986年に創業した金型の製造業者。当初は自動車関連企業を主体に受注基盤を築いていたが、2003年頃からは家電分野にも販路を拡大。2008年3月期には売上高8億2690万円を計上したが、同期は採算を確保できず赤字となり、債務超過に転落した。
その後も不採算経営が続いていたなか、業績回復が進まず、資金繰りが逼迫し先行きの見通しも立たないことから、今回の措置となった。
(株)NCITL(TSRコード:025002600、法人番号:4010001184382、渋谷区神宮前1-6-15、設立2017(平成29)年6月)は7月30日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
負債総額は18億3500万円。
「BODYLINE」のブランドでコスチューム製品やロリータファッション衣装の販売を手掛け、投資ファンドから出資も受けていた。大手量販店などへの卸売や、原宿などに構えていた自社店舗、ECサイトなどで製品を販売し、2020年2月期は売上高約10億円をあげていた。展開していたブランドは一定の知名度を有していたが、2023年2月期は3億2519万円、2024年2月期は3億4339万円の赤字を計上し、厳しい経営状況が続いていた。
こうしたなか、2024年6月には展開していたブランドなど一部事業を吸収分割で(株)ジェーシーインターナショナルワークス(TSRコード:035533137、法人番号:4020001156810、横浜市中区、2024年4月設立)に譲渡し、当社は2024年10月に(株)ジェーシーインターナショナルトレードから現商号へ変更。2025年2月28日、株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。
(株)やまぜんホームズ(TSRコード:522024912、法人番号:6190001013299、桑名市多度町下野代900、設立2003(平成15)年6月、資本金5750万円)は8月6日、名古屋地裁に破産を申請した。
申請代理人は大島真人弁護士ほか2名(弁護士法人すばる、名古屋市中区錦2-19-1)。
負債総額は18億円。
1978年に創業し、建築リフォーム業を手掛けていた「やまぜん開発」が前身。戸建住宅事業を柱とし、積極的な営業やPR活動によりブランド力を高め、三重県下有数のハウスビルダーに成長。愛知県、滋賀県でも展開するほか、飲食事業にも進出し、2017年3月には東京証券取引所「TOKYO PRO Market」に株式上場を果たし、2019年7月期はピークとなる売上高約67億7200万円を計上した。
しかし、飲食事業では不採算店舗が目立つなど、採算面は不安定に推移。さらに、住宅業界ではウッドショックの影響で住宅部材の価格が高騰し、得意としていたローコスト住宅の展開が厳しくなり受注が低迷。飲食部門の縮小もあり、減収で推移していた。2024年3月には上場廃止を決断。同年7月期はグレードアップした商品ラインアップや大型分譲により挽回を図ったが、人員減少による営業力の弱体化もあって競合により苦戦を強いられ、同期の売上高は約20億8900万円まで激減したうえ、約3億9200万円の赤字を計上し、債務超過に転落した。
2025年6月27日には資金繰りの悪化から協力業者への説明会が予定されていたが、急遽中止となり動向が注目されていたなか、今回の措置となった。
(株)ジェニイ(TSRコード:571185320、法人番号:8120001080872、大阪市中央区安土町1-5-8、設立1986(昭和61)年12月、資本金1050万円)は8月19日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には渡邊一誠弁護士(弁護士法人大江橋法律事務所、同市北区中之島2-3-18)が選任された。
負債総額は16億円。
子供服や子供向け服飾雑貨の企画・デザイン・販売を展開していた。小学生女子を主なターゲットとし、ブランド知名度の高さと全国の商業施設に店舗を構えることで毎期相応の引き合いを得て、2013年7月期はピークとなる売上高約42億円を計上していた。
しかし、少子高齢化が進むにつれ、当社の業容も縮小傾向が続いていた。こうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響により当社が入居する商業施設も休業を余儀なくされ、当社の業容はさらに縮小。その後、新型コロナの影響は緩和されたものの、資金繰りの改善には至らず、今回の措置となった。
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