(株)君津ロックウール(TSRコード:571308228、法人番号:2010401058320、木更津市築地2-2、登記上:東京都中央区八丁堀1-6-1、設立1992(平成4)年2月、資本金2億2000万円)は6月3日、東京地裁へ特別清算を申請した。
負債総額は87億5000万円(2025年3月期決算時点)。
ニチアス(株)(TSRコード:291138870、法人番号:9010401021486、東京都中央区、東証プライム上場)の連結子会社としてロックウールの製造および販売を手掛けていた。設立当初は新日鐡化学(株)(現:日鉄ケミカル&マテリアル(株)、TSRコード:290567670、法人番号:9010001098041、東京都中央区)の子会社として本社と大阪の2工場でロックウール製造を手掛け、ピーク時の2000年3月期売上高は112億7376万円を計上していた。
2005年7月、ニチアスが当社ほか2社を買収し、大阪の工場を別法人化したことで当社の業容は一時的に縮小したが、積極的な設備投資や新工場の稼働などにより業容は改めて拡大をたどった。
しかし、製造コストを吸収できず、不安定な推移を強いられ、大幅な債務超過に陥っていた。さらに、昨今のエネルギー・原材料コストの高騰などの影響も重なり、今後の回復が見込めないことから2024年3月末をもってロックウール製品の生産を停止。当社が所有する生産設備等の処分が完了したことで、当社の解散および特別清算開始の申し立てを行うことと、ニチアスが債権を放棄する旨を2025年5月19日、ニチアスの取締役会において決議していた。
コーワ(株)(TSRコード:310459036、法人番号:3030001026278、狭山市上奥富36-1、設立1996(平成8)年1月、資本金8000万円)と、関連のオーシャンポリ(株)(TSRコード:130476250、法人番号:3030001129592、北葛飾郡杉戸町下高野771-6、設立2019(平成31)年2月、資本金2000万円)は6月23日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
申請代理人は山川萬次郎弁護士(山川・藤原法律事務所、東京都千代田区麹町3-2)ほか。
負債は、コーワが債権者161名に対して29億4458万円、オーシャンポリが9億2395万円(2024年12月期決算時点)で、2社合計38億6853万円。
コーワは、建築資材販売や内装工事を手掛けていた。2018年6月にはポリ合板を生産する宮崎工場(宮崎市)を開設し、ピーク時の2019年12月期には売上高41億330万円をあげた。しかし、コロナ禍での需要減退や、ウッドショックによる木材の品薄などから業績が悪化。2024年12月期は売上高24億3034万円に落ち込んだ。本社敷地内に倉庫を増設して業績回復を目指したが、運転資金や投資負担がかさみ過剰債務の解消が見通せず、自力での再建を断念した。
オーシャンポリは、東京都内の建築資材販売会社の事業を継承して設立。コーワが生産したポリエステル化粧合板を販売し、2024年12月期に売上高22億594万円を計上したが、コーワに連鎖した。
タッパーウェアブランズ・ジャパン(株)(TSRコード:291159486、法人番号:8010401022956、千代田区紀尾井町3-12、設立1963(昭和38)年4月、資本金4億5000万円) は6月11日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には澤野正明弁護士(シティユーワ法律事務所、千代田区丸の内2-2-2)が選任された。
負債総額は債権者13名に対して38億6525万円。
機密性の高いプラスチック保存容器で知られる「タッパー」を製造するタッパーウェアグループの日本法人で、国内での販売活動を展開。販売代理店を通じてデモンストレーターが商品を紹介するネットワークビジネスを採用していた。ピーク時の2000年12月期は売上高約250億円をあげていたが、低価格製品との競合激化などから販売が落ち込み2015年12月期は売上高20億9355万円に対し、10億1244万円の赤字を計上し、債務超過が拡大していた。
その後もグループでの経営悪化が続くなか2024年9月、グループ中核会社のタッパーウェア・ブランズ(米国フロリダ州オーランド市)が、米連邦破産法の適用を申請し、当社の動向が注目されていた。
(株)まきのとコーポレーション(TSRコード:890055700、法人番号:3320003001357、玖珠郡九重町田野230、設立1959(昭和34)年6月、資本金600万円)は6月3日、大分地裁に民事再生法の適用を申請した。
申請代理人は名倉啓太・金大燁弁護士(弁護士法人淀屋橋・山上合同、大阪市中央区平野町4-2-3)。
負債総額は29億円。
1956年に創業。「九重観光ホテル」を運営するほか、1998年からは同温泉の蒸気を活用した地熱発電事業も手掛けていた。登山客を中心に学校関係の合宿利用なども多く、かつては2億円台の年間売上高で推移していた。しかし、施設の老朽化などにより年々宿泊客が減少。さらに、コロナ禍の影響で団体利用がほぼ消失し、業績は大きく悪化した。
アフターコロナとなった2023年12月期以降も、素泊まりプランのみに限定したことで客単価が低下したほか、人手不足により火曜~木曜は宿泊受け入れを停止するなど、業績回復には至らなかった。この間の2020年8月には地熱発電の増設を行ったものの稼働には至らず、債務が拡大する結果となり、債務圧縮による事業再生を図るため、今回の措置となった。
飛驒酪農農業(協)(TSRコード:472004760、法人番号:8200005009728、高山市新宮町3369、設立1949(昭和24)年4月、出資総額1億6130万円)は5月28日、岐阜地裁高山支部より破産開始決定を受けた。
破産管財人には飯田洋弁護士(飯田洋法律事務所、同市上岡本町4-218-3)が選任された。
負債総額は24億8500万円。
1929年5月、牛乳および乳製品製造販売を開始。ブランド牛乳「飛騨牛乳」を扱う乳製品メーカーで、組合員・一般顧客、岐阜県・愛知県のスーパーマーケット等に納入され、2015年3月期には売上高42億3449万円を計上していた。
北陸および関西地区にも販路を拡大していたが、2009年2月に建設した工場の設備投資負担が重く、収益確保に苦戦。近年は酪農農家の減少や資材高騰から経営環境は一段と厳しくなり、2025年3月20日に全ての製品の生産を終了した。
解散したうえで新たな法人設立を目指していたが、スポンサー企業が現れず事業継続を断念し、今回の措置となった。
阪神管財(株)(TSRコード:292116187、法人番号:4130001038972、京田辺市三山木野神86-1、設立1980(昭和55)年11月、資本金8350万円)は5月20日、京都地裁より特別清算開始決定を受けた。
負債総額は21億7300万円。
1976年6月、東京都保谷市(現:西東京市)で創業し、(株)佐藤電子の商号で設立。1987年11月、(株)オプト・システムに商号を変更し2000年9月、京田辺市に移転した。
半導体検査装置のほか電子ディスプレイ検査装置、チップ加工装置などの設計・開発・製造を手掛けていた。国内大手電機メーカーや総合商社、自動車部品メーカーなどに受注基盤を築き、2004年10月期にはピークとなる売上高43億6784万円を計上した。
しかしその後は、同業他社との競争激化による単価下落と得意先の生産調整などもあって、減収で推移。2013年10月期は売上高10億2520万円に対し7億581万円の赤字を計上し、債務超過に転落した。生産能力を向上させるためM&Aを積極的に展開し5社を吸収合併するほか、国内外含め工場機能の拡充を図り、多額の投資を実施したものの、想定した受注を獲得することができず、たびたび赤字を計上していた。
多額の債務を抱え経営改善策を模索していたなか、金融機関からの協力に加え、日本ベアリング(株)(TSRコード:202006409、法人番号:9110001025448、新潟県小千谷市)がスポンサーに就くことが決定。新たに(株)オプト・システム(TSRコード:014706725、法人番号:9130001055071、同所)を設立し2016年4月、事業を移管した。
当社はその後、保有資産の売却を進め2024年12月30日に現商号に変更して12月31日、株主総会の決議により解散していた。
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