丸住製紙(株)(TSRコード:810006448、法人番号:5500001014778、四国中央市川之江町826、設立1946(昭和21)年2月、資本金12億円) は2月28日、民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
申請代理人は大川剛平弁護士(長島・大野・常松法律事務所、千代田区丸の内2-7-2)。
負債総額は590億円。
1919年7月創業の業歴100年を超える老舗企業。手漉き和紙の製造で創業し、その後新聞用紙など出版・印刷・情報・加工用の様々な用紙の製造を手掛けてきた。四国中央市内に2カ所の主力工場を設置し、地元を代表する製紙会社として知名度を有し、ピークの2008年11月期には売上高約743億3500万円をあげていた。
しかし、電子書籍やオンラインニュースなどのデジタル媒体の需要が高まる一方、当社が扱う新聞や出版物などの紙媒体の需要減など市場環境の変化から業績は次第に低迷した。そのため2019年以降、ペーパータオルやウエットティッシュなど衛生用品のほか、コスメ分野への新規進出といった新商材の取り扱いを強化した。この間、積極的な設備投資も実施し、2023年4月には約90億円を投じて大江工場に設置した衛生用紙抄紙機および加工設備が稼働していた。
一方で、近年は「新型コロナウイルス」感染拡大に伴う経済活動の停滞に加えて原材料、エネルギー価格の高騰なども重なり、多額の損失が発生。2022年11月期は約117億1100万円、翌2023年11月期も約150億円の最終赤字を余儀なくされた。リストラ実施や金融機関からの支援、スポンサー支援などを模索して経営改善を目指した。こうしたなか、2025年2月に入って主力の用紙事業からの撤退を取引先に通知するなど動向が注目されていた。
2024年11月21日、東京地裁から破産手続きにおける保全管理命令を受けていたFUNAI GROUP(株)(旧:船井電機・ホールディングス(株)、TSR企業コード:570182948、法人番号:2122001015871、大東市中垣内7-7-1、登記上:東京都千代田区外神田4-11-5、設立1951(昭和26)年1月、資本金1億円)は1月7日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には竹山拓弁護士(飯沼総合法律事務所、中央区銀座2-7-17)が選任された。
負債総額は262億1543万円(2024年9月末時点)。うち253億3660万円は子会社の船井電機(株)(TSR企業コード:697425274、法人番号:3122001036719、大東市)からの借入金。
2024年10月24日に東京地裁より破産開始決定を受けた船井電機の持株会社。
当初は事業会社として展開し、「FUNAI」ブランドでリーズナブルな価格帯の液晶テレビなどを供給するAV機器メーカーとして、2000年3月には東証1部(当時)に上場。特に北米での高いシェアを誇り、2005年3月期には単体売上高3535億9200万円をあげた。
しかし、その後は中国・台湾などのメーカーとの競合激化もあって低迷。2016年には、現(株)ヤマダデンキ(TSR企業コード:134237650、法人番号:2070001036729、高崎市)への独占供給を柱とする業務提携などで再起を図ったが、この間の2017年に創業者が死去。事業の再建と承継を模索するなかで2021年5月、(株)秀和システムホールディングス(TSR企業コード:136862659、法人番号:2010601058062、江東区)が株式公開買付を実施し、同社の完全子会社となり、2021年8月26日に上場を廃止した。
その後、同社の親会社である(株)秀和システム(TSR企業コード:292007680、法人番号:1010401013986、江東区)の傘下となり、2023年3月末に会社分割により船井電機へ事業を移管。当社は船井電機・ホールディングス(株)へ商号を変更し、中間持株会社となった。
2023年4月には脱毛サロン運営の(株)ミュゼプラチナム(現:(株)MIT、TSR企業コード:300036639、法人番号:3011001092832、大田区)を買収。しかし、事業多角化の裏で多額の資金が関連会社への貸付金などとして流出し、グループの資金繰りは急速に悪化した。また2024年3月に当社名義の本社と東京支店の不動産に対して創業家より100億円を超える根抵当権設定仮登記が設定され、5月には役員構成が入れ替わるなかで、当社より明確な説明がなされず、信用不安が高まった。
ミュゼプラチナムはネット広告企業に対する債務約22億円の支払いが滞る事態も発生。債務を連帯保証していた当社の保有する船井電機株式に対して仮差押が申し立てられ、5月2日に仮差押決定の発令を受けた。
船井電機では10月3日に経営体制の刷新を発表したものの、支払遅延が発生し、材料仕入なども困難となり10月24日、東京地裁に準自己破産を申請し同日、開始決定を受けていた。当社はこの間、9月27日に現社長が就任(登記は10月11日)。10月31日、現商号に変更し同日、登記上本社を大阪府大東市から東京都千代田区の現在地に移転。社長らは船井電機の破産開始決定に対して東京地裁に即時抗告を申し入れ、12月2日には船井電機に対して東京地裁に民事再生法の適用を申請する書類を提出するなどしていた。その後、即時抗告は12月26日に棄却されていた。
なお、当社は1月8日、債権者の秀和システムから民事再生法の適用を申し立てられている。
日興電子(株)(TSR企業コード:290230578、法人番号:8011001017099、府中市府中町1-10-3、登記上:渋谷区恵比寿4-22-21、設立1961(昭和36)年12月、資本金8000万円)は1月9日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には内藤滋弁護士(はぜのき法律事務所、中央区築地2-3-4)が選任された。
負債総額は債権者129名に対して75億8075万円。
電気通信関係の部品として取り扱われる水晶振動子、水晶フィルター、水晶発振器等の製造販売を手掛けていた。大手メーカーに受注基盤を築き、2023年9月期は売上高58億4194万円を計上するなど、増収基調で推移していた。しかし、原料価格の高騰や減価償却負担などで採算面は悪化し、同期は642万円の黒字にとどまった。研究開発への投資負担も重く、借入総額は46億円を超えるなど資金繰りも逼迫し、立て直しは困難との判断から今回の措置となった。
(株)さきしまコスモタワーホテル開発(TSR企業コード:026591189、法人番号:2120001209758、大阪市中央区北久宝寺町4-4-15、設立2017(平成29)年11月、資本金3000万円)は12月24日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には山形康郎弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪市中央区北浜2-5-23)が選任された。
負債総額は72億円。
ホテルや飲食店、商業施設の開発および運営受託などを目的に設立され、2019年1月に大阪府が所有する大阪府咲洲庁舎(通称:さきしまコスモタワー)の7~17階で「さきしまコスモタワーホテル」を開業した。当社をホテルの事業主とし、運営を関係会社の(株)さきしまコスモタワーホテル(TSR企業コード:026587939、法人番号:1120001209759、大阪市)が担う形態で事業を展開。インバウンド需要を中心に集客していたが、「新型コロナウイルス」感染拡大により宿泊需要が急速に収縮。国内需要へと対象顧客をシフトし、立地を生かしてスポーツ団体の合宿需要や修学旅行の取り込みを強化していた。しかし、金融機関に借入金返済のリスケジュールを要請していた。
また、ホテル開業に際して大阪府との賃貸借契約後の点検で、利用するエレベーターの騒音が法令に定める基準値(65デシベル)を超過する事実が判明。開業にあたっては簡易的な防音措置を実施し営業を開始したが、約4億円とされる改修費用の負担を大阪府に求めるほか、当初の賃貸借契約に瑕疵担保責任があるとして大阪府への賃借料支払を停止した。
こうしたなか、2020年7月に大阪府が2019年10月~2020年7月までの賃料約3億2000万円の滞納を理由として当社との賃貸借契約を解除。同年8月には占有移転禁止の仮処分が執行され、当社は大阪府に対して損害賠償請求訴訟を反訴した。しかし、2023年3月に大阪地裁が客室部分の明け渡しおよび賃料・損害金など約27億円の支払いを命じる判決を下し、2024年10月末をもって退去。
この間、2024年8月22日に強制執行を免れるために資産を隠したとして、大阪府警に社長らが強制執行妨害目的財産損壊等(財産の隠匿)容疑で逮捕されるなど、動向が注目されていたところ、今回の措置となった。
(医)福慈会(TSRコード:520074700、法人番号:3190005006244、名張市東町1901-1、設立1990(平成2)年1月)は2月5日、東京地裁に破産を申請した。
申請代理人は阿部信一郎弁護士(霞ヶ関国際法律事務所、東京都千代田区霞が関3-2-5)。
負債総額は66億7900万円。
1980年9月、名張市に胃腸科内科・外科等の診療所を開院。その後、一般病院、老人介護施設を展開するほか、近年は神奈川県、埼玉県、東京都、静岡県、新潟県など県外にも積極的に診療所等を開設していた。相次ぐ事業所の開設により、2019年3月期に12億8956万円だった売上高は、2024年3月期には40億1001万円まで拡大していた。
しかし、急速な事業拡大に伴い多大な設備投資負担が生じたことから、金融債務は年商を上回る水準まで膨張していた。また、人件費や諸経費などもかさみ、2023年3月期以降、2期連続で赤字を計上。多忙な資金繰りに陥り、今回の措置となった。
(株)PQR(TSRコード:270132783、法人番号:3070001013446、伊勢崎市三和町2718-3、設立1982(昭和57)年3月、資本金1億円)は3月10日、前橋地裁より特別清算開始決定を受けた。
負債総額は62億円。
設立当初はオーディオ関連品の製造が中心だったが、1988年5月に液晶パネル関係の受注を始め、カーナビ向けの薄型ガラスのタッチパネルの生産ラインを構築した。2003年初旬には量産化を開始させて業容を拡大。またこの間、2015年5月にはSHOEI U.S.Aを開設するなど海外展開も図り、2015年6月期には売上高110億5204万円を計上した。
その後は、タッチパネルの「抵抗膜方式」から「静電容量方式」への移行対応や、その量産化に伴う設備投資を進めたが、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響を受けて業績が悪化。2023年3月期は売上高29億4194万円に対して12億9823万円の大幅赤字を計上した。
こうしたなか、開発費の高騰もあり、事業譲渡を決意。スポンサー企業が新会社を設立し、2023年9月には一部事業を除く主要事業を譲渡。当社は2024年12月31日、株主総会の決議により解散。その後、(株)翔栄から現商号へ変更し、今回の措置となった。
(株)アルカディア(TSRコード:930096622、法人番号:9290001050024、久留米市宮ノ陣3-3-28、設立1989(平成1)年3月、資本金1000万円)は3月21日、福岡地裁久留米支部より破産開始決定を受けた。
破産管財人には白水由布子弁護士(からたち法律事務所、同市原古賀町18-11)が選任された。
負債総額は54億200万円。九州・沖縄の結婚式場運営会社としては過去最大。
1973年12月、大川市のパン製造業者がホテル事業へ進出したのがはじまりで、同社から分離独立する形で(株)ロイヤルパークホテルとして当社を設立した。しかし、ホテル事業の業績が低迷したため、2002年9月に欧米様式の結婚式場「ロイヤルパークアルカディア」をオープン。「邸宅ウェディング」の商標登録も行い、ハウスウェディング事業に転換した。
以降、小倉や佐賀、太宰府に結婚式場を開業して業容を拡大。2015年12月には福岡市天神に旗艦店となる「QUANTIC(クアンティック)」を開業し、2017年8月期にはピークとなる売上高約46億8000万円を計上した。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で挙式の延期や中止が相次いだため、2020年8月期の売上高は約24億3500万円に落ち込み、約6億円の赤字を計上。2021年8月期はさらに利用客が減少し、売上高は約12億9300万円に落ち込み、約2億3400万円の赤字となった。
2022年8月期以降は、挙式の延期や中止は減少したものの、少子化による市場縮小や婚姻数の減少など取り巻く環境は厳しく、2024年8月期は売上高約21億円に対して、約5億2700万円の赤字を計上し、同期末時点で約6億円の債務超過に陥っていた。
雇用調整助成金などで資金繰りを繋いでいたが、2025年2月、元社長を含む幹部が従業員の休業日数を水増しし、新型コロナの雇用調整助成金を不正に受け取った疑いにより逮捕。2月25日には福岡労働局が当社に対して、違約金などを含め約12億円の返還を命じたことを公表。事業継続が困難となり、2月26日以降の挙式・披露宴・宴会がすべて実施できなくなっていた。
(医)和伸会(TSRコード:400475812、法人番号:6180005002720、名古屋市千種区今池南25-5、設立1989(平成1)年3月)と、(医)社団御幸会(TSRコード:910238103、法人番号:1330005001348、熊本市南区御幸笛田2-15-6、設立1989(平成1)年6月)は2月13日、東京地裁に破産を申請した。
申請代理人は阿部信一郎弁護士(霞ヶ関国際法律事務所、東京都千代田区霞が関3-2-5)。
負債は和伸会が30億8789万円、御幸会が19億6278万円。
和伸会は、名古屋市千種区の「和田内科病院」などの医療機関や福祉施設を経営していた。M&Aなどで事業を拡大し、2024年3月期は売上高26億2235万円をあげていた。しかし、借入に依存した資金繰りが続いたほか、営業権(のれん)償却などが響いて赤字が続き。2024年3月期末には債務超過額が5億162万円に達していた。
御幸会は、夢眠ホスピタルくまもと(旧病院名:熊本循環器科病院)などを経営。内科や循環器科、外科を中心とし地域に根ざした運営展開で、2023年3月期は売上高13億3293万円をあげていた。しかし、2019年3月期から恒常的に赤字を計上。2020年3月期には債務超過へ転落し、2024年3月期の債務超過額は4億9717万円に広がっていた。
こうしたなか、(医)福慈会(TSRコード: 520074700、法人番号: 3190005006244、三重県名張市)が経営不振により2月5日、東京地裁に破産を申請。同じグループの病院運営会社の動向が注目されていた。
井上通商(株)(TSRコード:870005430、法人番号:7290001006283、福岡市中央区草香江2-3-32、設立1961(昭和36)年6月、資本金1000万円)は2月14日、福岡地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には佐藤至弁護士(佐藤・林法律事務所、同市中央区大名2-4-22)が選任された。
負債総額は41億7871万円。
1961年創業の貿易商社。中国などアジアから活鰻、飼料、繊維製品などを輸入し、過去には関係省庁から貿易振興の表彰を受けるなど、豊富な実績を築いてきた。
2015年2月よりEC事業を開始。アパレル関連の扱いが急増し、2020年1月期の売上高は123億5670万円を計上した。2021年1月期は「新型コロナウイルス」感染拡大のなかで約3000万枚のマスクを中国から仕入販売したことで、100億円台の売上高を維持。しかし、2022年1月期は反動減もあり、売上高は51億6105万円にまで落ち込んだ。
こうしたなか、不良債権の発生により資金繰りが悪化。福岡県中小企業活性化協議会に支援を依頼し、金融機関に対してはリスケを要請するとともに、不動産の売却により借入金の返済を進めていた。2023年1月にはアパレルの企画販売を手掛ける関連会社の(株)I.T.ラボ(TSRコード:016684893、法人番号:5290001072402、福岡市中央区)を吸収合併し、アパレル事業の強化を図っていたが、2024年1月期の売上高は約20億円にとどまり、円安の影響もあって業況は改善せず、今回の措置となった。
(株)船井興産(TSRコード:571644031、法人番号:8120001104870、大阪市中央区本町2-1-6、登記上:同市中央区森ノ宮中央1-16-22、設立1987(昭和62)年12月、資本金2000万円)は2月3日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には竹山拓弁護士(飯沼総合法律事務所、東京都中央区銀座2-7-17)が選任された。
負債総額は34億1400万円。
船井電機(株)(TSRコード:697425274、法人番号:3122001036719、大東市)の創業者である船井哲良氏が、千葉県松戸市において「松戸サニーランド」の経営を開始するにあたり設立。松戸サニーランドはボウリング場、バッティングセンターなどの遊技施設だったが、2006年9月に閉鎖。同時期に実質的に船井電機グループの資産管理会社へ業態を変更した。
以降は関連会社向けの不動産の賃貸管理や、企業への出資を目的とした有価証券の運用を手掛けていたが、親会社である船井電機の業績不振や信用不安を受け、2024年7月5日に登記上本社の不動産を売却。同年10月24日には、船井電機が東京地裁より破産開始決定を受けるなどの事態が発生し、当社は2025年1月15日、破産手続きにおける保全管理命令を受けていた。
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