「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ
~ 2025年「全国社長の出身大学」調査 ~
2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。
都道府県別で、日本大学は最多の13都県でトップを占めた。だが、地元志向の高まりを反映して、前年より1県減少した。複数の都道府県でトップに立ったのは、日本大学、近畿大学、福岡大学の3校だった。
また、40歳未満の若手社長は慶応義塾大学が最多で、高年齢層では日本大学がトップだった。高齢化で世代交代が進むと、「日大1強」が続く社長の出身大学ランキングにも変動が生じるかもしれない。
国立大学では、最多は東京大学の4,700人で上位10位に入った。このほか、京都大学が2,700人で続き、前年19位から18位に順位を上げた。
創業100年超の老舗企業も、最多は日本大学の1,198人で、慶応義塾大学が1,112人で後を追う。この他、全体ランキング9位の同志社大学が499人で5位に入り、東西の伝統校が老舗企業の跡取りとなる子女の進学先として選ばれる人気を裏付けた。
※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、代表者データ(個人企業を含む)で公開された出身大学を抽出、集計した。同一人物が複数の企業で社長を務める場合、売上高の上位1社を集計対象とした。
集計対象外となった企業は32万9,830社。
※ 出身大学が校名変更、統合した場合、存続大学で集計した。本調査は2010年に開始し、今回が15回目。
日本大学が15年連続トップも2年連続の2万人割れ
社長の出身大学は、15年連続で日本大学がトップを飾った。だが、社長数は1万9,587人(前年1万9,974人)で、初めて2万人を下回った前年より387人減少した。2位の慶応義塾大学1万819人(同1万737人)が、82人増加したのと対照的だ。
3位は早稲田大学が1万625人で慶応に迫る。上位3校だけが1万人を超えた。4位以下は、明治大学8,035人、中央大学7,325人、法政大学5,876人と“MARCH”が追いかける。次いで、東海大学、近畿大学、同志社大学、東京大学、関西大学、青山学院大学、立命館大学、専修大学、立教大学が続き、上位15校の順位に変動はなかった。
16位には関西学院大学が前年17位から1ランク上昇、18位の京都大学も前年19位から上昇した。関東、関西以外の地域では福岡大学が17位に1ランクダウン、愛知学院大学が19位に入った。
国公立大学では、東京大学4,700人が7年連続で10位に入った。前年の4,454人から246人増加した。次いで、18位に京都大学、21位に大阪大学、23位に北海道大学、25位に九州大学、29位に東京科学大学、30位に神戸大学と、旧帝大を中心に7校が上位30校に入った。
東京科学大学は東京医科歯科大学(前年62位)と東京工業大学(同92位)が統合し、2024年10月1日に誕生した。両校出身社長を合計した結果、一気に順位を上昇させた。

年代別 40歳未満の若手社長は慶応義塾大学が最多、高齢層は日本大学がトップ
年齢が判明した社長の出身大学は、40歳未満の“若手社長”では慶応義塾大学がトップだった。以下、早稲田大学、日本大学が続き、4位に東京大学が入った。
一方、40代より上の年代では日本大学がトップに立つ。2位以下は早稲田大学、慶応義塾大学が続くが、50代、60代、80代以上では早稲田大学が2位に入った。また、80代以上では3位に明治大学が入り、慶応義塾大学は5位にとどまった。
全体ランキングとは対照的に、社長の年齢が若いほど、慶応義塾大学が多く、日本大学は高齢層の社長に多いグラデーション傾向を鮮明に表した。
各大学が学生やOBなどを対象とした起業支援に取り組むが、慶応義塾大学はOBのネットワークも強く、起業意欲の促進に寄与しているのかもしれない。
社長の世代若返りが進むと、全体の出身大学ランキングにも変化が生じる可能性がみえてきた。

老舗企業は日本大学出身が最多、慶応義塾大学が僅差で2位 西は同志社大学が存在感
ことし2025年に創業100年を超えた老舗企業は全国で4万6,601社あり、出身大学が判明した社長数のトップは日本大学の1,198人だった。全体ランキングと同様、2位は慶応義塾大学1,112人が入ったが、トップとの差が小さい。1858年創立の名門大学として老舗企業の後継者や子女から人気を集め、付属校からの内部進学も多いとみられる。
このほか、5位に京都の同志社大学が入った。1875年に創立された西日本を代表する名門大学で、全体ランキングは9位にとどまったが、老舗社長の出身大学では存在感を大いに示した。
国公立大学では、12位に東京大学、19位に京都大学と日本を代表する2校が上位20位に入った。

都道府県別 日本大学が東日本の13都県でトップも2年連続で減少
都道府県別では、東日本の21都道県のうち、13都県で日本大学がトップを占めた。だが、秋田で地元国立大学の秋田大学に1位を譲り、前年に続き2年連続で1県減少した。ただ、東日本では宮城と愛知を除く19都道県で3位までに入り、存在感を維持している。東日本に所在する23校の付属高校も含めて全国から学生を集め、卒業生は128万人(出典:同校ホームページ)を超えて日本一を誇る同校は、全国に社長を多く輩出している。
一方、日本大学がトップだった13都県のうち、8県では地元の国公立大学が2位に入った。
このほか、北海道、秋田、新潟、岐阜、三重では地元の国立大学がトップで、岩手、宮城、愛知では地元の私立大学がそれぞれトップを守った。

西日本では16県で地元国立大学がトップ 近畿大学、福岡大学が存在感高い
西日本の26府県では前年に続き、日本大学出身の社長がトップの県はゼロだった。だが、15県で上位3校以内に入り、西日本でも存在感を残している。
西日本は26府県すべて、県内あるいは同じ地域の大学がトップを占めた。このうち、16県では地元の国立大学がトップに立つ。一方、私立大学が多く所在する近畿は、2府4県すべて私立大学がトップを占めた。また、この2府4県は日本大学が3位以内に入らず、代わって近畿大学が大阪、奈良、和歌山でトップと存在感を示した。近畿大学は卒業生が56万人超(出典:同校ホームページ)と西日本を代表するマンモス校で、近畿と中四国の7府県で3位以内に入った。
九州では福岡大学が、福岡と佐賀でトップだったほか、長崎、大分、宮崎の3県で3位以内に入った。複数の都道府県でトップに立ったのは、全国で日本大学と近畿大学、福岡大学の3校だけだった。
