内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~
内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチ(TSR)の企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。
2025年1-10月の内装工事業の倒産は145件(前年同期比11.5%増)発生している。過去20年でみると、ピークは2010年で、その後22年まで減少をたどった。ところが、コロナ禍の支援策が終了と同時に増勢に転じている。
資材高や人手不足は内装工事業も飲み込む。さらに内装工事の元請は小口が多く、大型工事では下請け、孫請けで入ることが一般的で工事進捗にも左右されやすい。
内装工事業界は資金力が脆弱な小・零細規模が多く、受注が増えると資金繰りが多忙になりやすい。コロナ禍を経て、受注が活発な時期だけに、自社の資金力に見合う選別受注をできるかが問われている。

業容拡大のなかに落とし穴も
内装工事業(全体)の業績は近年上向いている。TSRの企業データベースから、主業種を内装工事とする企業を分析した。
コロナ禍前の2019年(18年8月期~19年7月期)から25年(24年8月期から25年7月期)までの決算が比較可能な1万376社の売上高は 19年が3兆1,227億5,200万円だった。しかし、同年を底に25年は3兆5,516億9,900万円とコロナ前を大きく上回った。
利益(最終利益)は、2019年が735億800万円だったが、22年は436億8,500万円に約4割落ち込んだ。だが、25年は1,111億4,300万円まで回復し、コロナ前を上回った。
ただ、受注の急拡大は資金需要が活発になる。受注に資金調達が追いつかず、倒産に追い込まれるケースが目立つようになった。
ある内装工事業者(東京)の2021年10月期の売上高は1億8,000万円だったが、23年10月期は大口受注も寄与して2億9,000万円へ1.6倍に伸ばした。一方で、利益は21年10月期に80万円の赤字を計上したが、22年10月期はわずかだが100万円の黒字を計上。23年10月期は800万円と約8倍の増益を果たした。だが、急激な受注増に加えて、焦付が発生したことで資金繰りが悪化。破産に追い込まれた。決算上の黒字と実態が乖離していたケースだ。
建設業は他業種に比べて、資金繰り弾力性が求められる。なかでも内装工事は後工程のため、前工程で遅延が生じると、さらに回収が遅れるリスクがある。
近年は人手不足に加え、働き方改革で週休2日制への取り組みが強化され、遅延リスクが高くなっている。そのため、自社の資金事情に合わせ、計画的な受注に取り組むことが重要になっている。
ゼロゼロ融資と物価高が
2025年1-10月の内装工事業の「新型コロナウイルス」関連倒産は25件(前年同期比19.3%減)だった。ただ、コロナ禍のゼロゼロ融資などで過剰債務を抱えた企業も多い。このため、資金調達力のない企業の受注増は、むしろ資金繰りがきつくなりやすい。
飲食店向け内装工事に強みを持つ内装工事業者は、コロナ禍で受注が激減し、ゼロゼロ融資で凌いでいた。その後も受注は低迷が続いたが、さらにコロナ禍が収束に向かうなかで物価高に見舞われ、破産に追い込まれた。
こうした例は少なくない。商業施設や宿泊施設など、コロナ禍で打撃を受けた業種を主な受注先にしていた業者への目配せが特に必要だ。
小・零細規模の内装工事業者は、突発的な修繕など小さな工事にも柔軟に対応できるだが、大型工事に入ると工期の最終仕上げを担当し、小規模なほど資金繰りは不安定になりやすい。
内装工事業の倒産増は、活況が続く建設業界の裏側で、人手不足や資材高騰の煽りを受けたピラミッド構造のシワ寄せかもしれない。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年11月27日号掲載「取材の周辺」を再編集)