こうして倒産した

2022年(令和4年)7月度こうして倒産した・・・
ディー・エー・ピー・テクノロジー(株)
  • 福岡
  • プラズマディスプレイパネル用背面板製造
負債総額
130億円
 

 ディー・エー・ピー・テクノロジー(株)(TSR企業コード:880553375、法人番号:3290801004201、北九州市戸畑区牧山5-1-1、設立2001(平成13)年7月、資本金1億円、代表清算人:西山昌氏)は7月11日、福岡地裁小倉支部より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は約130億円。
 大日本印刷(株)(TSR企業コード:291068090、法人番号:5011101012069、東京都新宿区、東証プライム)と旭硝子(株)(現:AGC(株)、TSR企業コード:290001560、法人番号:2010001008650、東京都千代田区、東証プライム)の合弁会社として設立。大日本印刷の背面板と旭硝子のガラス基板の技術を結集して薄型テレビ向けのプラズマディスプレイパネルの生産を担っていた。旭硝子北九州工場内に自社工場を開設し、大手電機メーカー向けを主力に、2007年3月期は約200億円の売上高を計上した。
 しかし、競争激化や需要減、景気後退の影響を受けて商況は悪化。2008年3月期に約133億4000万円まで縮小した売上高は、2009年3月期には約111億6600万円にとどまり、同期は約64億4200万円の赤字となった。その後も売上減少に加え、たびたび特別損失を計上したことで連続赤字から脱せず、株主2社などから運転資金を借り入れて補填していた。
 こうしたなか、主力顧客の事業撤退に加え、2009年頃に旭硝子北九州工場が閉鎖となったこともあり、2010年頃までに事業を停止。2022年4月21日開催の株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

(株)オフィスエフエイ・コム
  • 栃木
  • システム構築・ソフトウェア開発
負債総額
60億6554万円
 

 (株)オフィスエフエイ・コム(TSR企業コード:262040085、法人番号:4060001014881、小山市楢木293-21、設立1999(平成11)年10月、資本金8500万円、飯野英城社長)は7月29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は相澤豪弁護士(TMI総合法律事務所、東京都港区六本木6-10-1、電話03-6438-5391)ほか8名。
 負債総額は60億6544万円。
 1997年に創業した独立系のIT・FAベンダー。自社で物流部門までカバーできることや、産業機械の製造を一部内製化している点、高い課題解決能力などにより知名度は全国区に広がり、東名阪および九州地区に営業拠点を設置し、大手から中小規模事業者まで幅広く受注基盤を築いていた。これまでに手掛けた省力化・無人化・効率化案件は、物流・組立・製造現場を中心として国内外3000工場に及び、特にロボットメーカーの取扱社数ではトップクラスを誇り、2016年12月期に29億2043万円だった売上高は、2020年12月期には76億9031万円まで伸長していた。
 しかし、急速な事業拡大により在庫資金や売掛金などの立替資金需要が活発化。加えて、2021年7月にロボコム・アンド・エフエイコム(株)(TSR企業コード:033099863、法人番号:7010401140635、東京都港区)の南相馬工場内に開設した「スマートファクトリーラボMINAMISOMA」への設備投資負担も重く、借入依存度は高まっていた。
 こうしたなか、ロシアによるウクライナ侵攻などに伴う部品供給遅延、半導体不足などにより納期遅延が発生し、入金が遅れたことで資金繰りが急速に悪化。厳しい資金繰りが続き、取り巻く環境に改善の兆しも見えないことから、民事再生により再建を目指すこととなった。

(株)ホテルショコラ
  • 東京
  • チョコレート販売ほか
負債総額
51億円
 

 (株)ホテルショコラ(TSR企業コード:028957962、法人番号:3440001008359、渋谷区渋谷2-24-12、設立2018(平成30)年7月、資本金500万円、代表者:長瀬寛幸氏ほか)は7月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、保全命令が下りた。申請代理人は渡辺宗彦弁護士(ブレークモア法律事務所、千代田区霞が関1-4-1、電話03-3503-5571)。
 負債総額は51億円。
 イギリスで100カ所以上の店舗とチョコレートスクールなどを展開し、知名度を有していたイギリス企業「ホテルショコラ」が、自社チョコレートブランドの本格的な日本進出を目的に設立した。
 日本国内では当社設立後、商業施設などにチョコレート販売店を設置。一部店舗ではカフェも併設し、カカオドリンクやアイスクリームなども提供して積極的な出店を進めるほか、オンラインショップにも注力していた。
  「新型コロナウイルス」感染拡大による一部店舗の休業などを余儀なくされたものの、コロナ禍のなかでも新規出店を重ね、全国で約30店舗まで拡大し、2021年6月期は売上高約10億円をあげていた。しかし、事業の急拡大で資金需要が増していたうえ、コロナ禍の長期化や為替変動などから事業環境が悪化。イギリス企業からの支援も弱まり、資金繰りが逼迫し、今回の措置となった。

(株)考建
  • 愛知
  • 建築工事
負債総額
37億4600万円
 

 (株)考建(TSR企業コード:401227634、法人番号:2180001046683、名古屋市名東区上社4-89、設立1998(平成10)年2月、資本金8600万円、清水丈裕社長)は6月30日、名古屋地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には朴憲洙弁護士(名城法律事務所、同市中区丸の内3-5-10、電話052-961-3071)が選任された。
 負債総額は37億4600万円。
 建築工事を手掛け、一時期はログハウス建築に注力していた。しかし、当時取引のあったQTKHG(株)(旧:(株)BESS-ZERO、TSR企業コード:322598788、法人番号:5040001078969、東京都千代田区)が2019年7月に破産開始決定を受けたことで約3億円の焦付が発生し、資金繰りの余裕を欠いた状況が続いていた。
 いくつかの金融機関が態度を硬化させるなかで、固定資産や有価証券の売却、子会社の吸収合併などで資金の捻出や体力強化を図ってきたが、折からのコロナ禍もあり思うような改善効果を得られずにいた。
 2022年に入ると、「支払延期のお願い」として1月4日付支払い分を同月末に繰り延べる旨の要請を関係各所に送付し、厳しい資金事情を露呈。1月31日までに事業を停止していた。

アイコムズ(株)
  • 福岡
  • 店舗内装設計、デザイン・企画立案
負債総額
35億円
 

 アイコムズ(株)(TSR企業コード:872361381、法人番号:3290001052117、福岡市中央区白金1-5-22、設立2010(平成22)年11月、資本金2000万円、植木理美社長)は7月1日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は片山裕二朗弁護士(西村あさひ法律事務所、東京都千代田区大手町1-1-2、電話03-6250-6200)ほか4名。
 負債総額は35億円。
 老人福祉施設を運営するウェルビス悠愛(株)(TSR企業コード:872075826、法人番号:3290001057025、福岡市南区)を中心とするグループの1社。店舗の設計デザイン・企画立案や内装工事を手掛けるほか、ウェルビス悠愛や当社を中核に企業買収を行い、業容を拡大した。後発ながら、大手ファストフードチェーン店や葬儀場の内装・建築などで多くの実績を重ね、2017年3月期には売上高17億8986万円に対し、1億4735万円の黒字を計上した。
 2020年3月期には売上高が約19億5200万円まで伸長するなど好調に推移していたが、その後、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響で案件の延期などが発生し、2021年3月期の売上高は約14億9000万円まで減少した。このため、中小企業再生支援協議会(現:中小企業活性化協議会)に支援を要請するほか、ノンバンクを利用するなどして凌いでいた。
 こうしたなか、ウェルビス悠愛が資金繰りに行き詰まり2022年2月28日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請。当社の動向も注目されていたが、連鎖して今回の措置となった。

相馬建設(株)
  • 福島
  • 土木工事ほか
負債総額
15億2133万円
 

 相馬建設(株)(TSR企業コード:162049331、法人番号:5380001021374、南相馬市原町区大甕字十日迫4、設立2012(平成24)年4月、資本金2000万円、大内健生社長)は7月1日、福島地裁郡山支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には細川卓也弁護士(細川卓也法律事務所、須賀川市東町62-11、電話0248-94-2456)が選任された。
 負債総額は15億2133万円。
 土木建築工事を目的に設立。大手ゼネコンから受注を確保するほか、除染作業も手掛けていた。2013年6月には郡山事業所を開設するなどして業容を拡大し、ピークとなる2016年3月期には売上高28億7409万円を計上した。しかし、2017年3月期以降は復興需要の落ち着きに伴い、除染作業の受注量が減少。大手ゼネコンなどから土木工事や建築工事の受注確保に努めたものの、一部取引先とのトラブル発生等もあって減収傾向に歯止めが掛からずにいた。加えて、人件費や外注費が嵩み低採算での案件が多く、利益確保にも苦戦していた。
 近時は「新型コロナウイルス」関連の制度資金を調達し、資金面の下支えを図っていたが、復興需要の収束や新型コロナ感染拡大、建設需要の落ち込み等の影響を受けて業績悪化が続き、資金繰りも限界に達したことから、事業継続を断念した。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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