(株)高尾(TSR企業コード:400505967、法人番号:7180001019965、名古屋市中川区中京南通3-22、設立1979(昭和54)年12月、資本金1200万円、内ヶ島隆寛社長)は5月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は小幡朋弘弁護士(PLAZA総合法律事務所、東京都中央区日本橋2-1-14、電話03-6262-7720)ほか。監督委員には佐長功弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)が選任された。
負債総額は債権者319名に対して66億7996万円。
パチンコ機器の製造を手掛けていた。遊技台「カイジ」シリーズがヒットしたほか、「一騎当千」シリーズや「銭形平次」シリーズなど人気機種を順次リリース。2002年12月期にはピークとなる売上高約240億8300万円をあげたが、以降はヒット機種の有無により業績の波は大きかった。また、2017年4月に当時の社長がフィリピン・マニラで銃撃され、2018年10月には名古屋市内の車庫で刺殺される事件が発生。さらに同年、「カイジ」のスペックや性能に関する不正問題も発覚し、回収や補償問題に発展する事態となっていた。
2019年12月期はG20サミットやラグビーワールドカップなどの開催による新台リリースの自粛で売上高が約75億6000万円まで落ち込んだうえ、2020年12月期は「新型コロナウイルス」感染拡大の影響が重く、売上高は約83億6300万円にとどまり、大幅な赤字を計上した。
2021年12月期には「カイジ5」をリリースしたが、パチンコホールが新台への投資を控えるなかで販売台数は低迷。旧規制機種(みなし機)の入替需要を見込んだ「らんま1/2」も特需には繋がらず、売上高は約47億9100万円と大幅に減少した。事業所や人員の整理などを進めたが、同期は約34億400万円の赤字となり、3期連続の赤字を余儀なくされた。
従前からの新台開発費用などによる多額の借入金の返済負担が重く、資金繰りが悪化。先行きの見通しが立たず、自力での再建を断念し、今回の措置となった。
(有)伊勢農場(TSR企業コード:575363398、法人番号:3190002013466、伊賀市諏訪字千谷2600、設立2005(平成17)年2月、資本金300万円、伊勢彦信社長)は4月28日、東京地裁より会社更生開始決定を受けた。管財人には髙井章光弁護士(髙井総合法律事務所、東京都港区西新橋1-15-5、保全管理室:電話03-6758-6936)が選任された。
負債総額は34億214万円(2021年1月期決算時点)。
イセ食品(株)(TSR企業コード:311024971、法人番号:8030001061642、東京都千代田区)グループの成鶏農場として展開。伊賀市、いなべ市で100万羽以上を飼育し、2016年1月期は売上高57億4317万円をあげていた。
しかし、近年は鶏卵相場の落ち込みや特別損失などで業績が悪化。2020年以降は「新型コロナウイルス」感染拡大の影響で需要が落ち込み、2021年1月期は売上高が48億3730万円にとどまり、3期連続の赤字計上から債務超過額が拡大していた。
こうしたなか、イセ食品が取引金融機関との間でバンクミーティングを実施し、私的整理を目指していたが調整が難航。株主と金融機関から会社更生法を申し立てられ、3月25日に会社更生開始決定を受けた。
当社はイセ食品以外の者が株式を有し、実質的に経営者不在の状態が続いていたため、イセ食品の管財人が債権者の立場で会社更生手続を申し立てた。
オンキヨーホームエンターテイメント(株)(TSR企業コード:576419524、法人番号:3120001154326、東大阪市川俣1-1-41、設立2010(平成22)年10月、資本金1億円、林亨社長)は5月13日、大阪地裁へ破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。破産管財人には小松陽一郎弁護士(小松法律特許事務所、大阪市北区中之島2-2-2、電話06-6221-3355)が選任された。
負債総額は債権者262名に対して32億776万円。
1946年9月に「大阪電気音響」として創業した老舗音響機器メーカー。高品質を売りに「ONKYO」ブランドとして浸透し、日本を代表する音響機器メーカーのひとつとして知られていた。1992年3月期には売上高511億6285万円を計上。その後、オーディオ機器市場の低迷から業績不振に陥ったが、ホームシアター関連機器へ注力するなどして持ち直し、2004年12月にジャスダック市場に上場。2010年10月には会社分割により持株会社体制に移行した。
しかし、スマートフォンの普及や音楽鑑賞スタイルの変化など取り巻く環境が悪化。売上低迷による経営不振が続くなか、主力のホームAV事業の譲渡を模索したが、計画は頓挫した。生産を縮小・停止して経営計画の練り直しに取り組んだものの、「新型コロナウイルス」の感染拡大以降、販売がさらに低迷し、生産活動も停滞した。
2020年3月期末には延滞債務が約65億円まで膨らみ債務超過を脱せず、2021年8月1日をもって上場廃止となった。その後、債務超過の解消と遅延債務の完済を目指し、主力事業を譲渡して事業継続を目指していたが、資金繰り悪化から2022年3月には子会社2社が破産を申請。当社は、ホームAV事業の譲渡に伴う手数料収入を得ながら事業を継続していたが、限界に達し今回の措置となった。
(株)エンプレイス(TSR企業コード:296381160、法人番号:8011501013944、朝霞市栄町2-1-40、登記上:東京都荒川区西日暮里2-25-1、設立2005(平成17)年6月、資本金5900万円、代表取締役:金成鎬氏)は5月27日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は清水靖博弁護士(明哲綜合法律事務所、東京都中央区日本橋茅場町3-12-2、電話03-3527-2121)。監督委員には石本哲敏弁護士(石本哲敏法律事務所、東京都千代田区丸の内1-8-2、電話03-6268-0068)が選任された。
負債総額は債権者約95名に対して28億149万円。
カーナビゲーションおよびドライブレコーダーの開発・販売を手掛けていた。カーナビゲーションの自社ブランドとして「DIANAVI(ディアナビ)」等を立ち上げ、低価格を強みに販売を伸ばしたほか、近年はドライブレコーダーの扱いも増やし、2016年3月期には売上高38億2019万円をあげていた。また、同期にフィフティとアムスを買収し、2020年6月にもM&Aを行うなど、積極的に展開していた。
しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大に伴い海外メーカーからの物流が滞ったうえ、半導体不足により、原材料の調達にも苦戦。コロナ禍の外出自粛を背景に国内旅行などが縮小したことでカーナビゲーションの需要も落ち込み、2021年3月期の売上高は16億1829万円にとどまっていた。
一方、M&A資金の調達によって多額の債務を抱え、以前よりバンクミーティングを行っていたが、M&A後の売上水増し等の不適切な会計処理もあって交渉が不調に終わり、今回の措置となった。
(株)丸美屋商会(TSR企業コード:290193150、法人番号:1010001029499、千代田区神田須田町1-10、設立1953(昭和28)年12月、資本金1000万円、代表取締役:丸山和美氏)は5月27日、東京地裁に破産を申請した。申請代理人は村尾治亮弁護士(東啓綜合法律事務所、千代田区神田須田町1-2、電話03-5296-7676)ほか。
負債総額は25億円。
デジタルカメラなど各種カメラおよび感光材料、写真材料等、光学機器商材などを取り扱っていた。ディスカウントストアやホームセンターなどを主力販売先として、2015年5月期には売上高約91億5200万円をあげていた。しかし、その後はデジタルカメラ需要の減退の影響などで減収推移が続いていた。また、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響による得意先店舗の営業自粛もあり、減収に拍車が掛かっていた。そうしたなか、2022年4月に前代表が死去。経理処理を前代表が手掛けていたため、今後の資金繰りのめどが立たず、今回の措置となった。
(株)スガイディノス(TSR企業コード:035121947、法人番号:1430001077968、札幌市中央区南3条西5-1-1、設立2018(平成30)年12月、資本金1000万円、三浦尚久社長)は5月30日、札幌地裁へ民事再生法の適用を申請した。申請代理人は小林晃弁護士(札幌シティ法律事務所、同市中央区大通西5、電話011-271-5305)。
負債総額は23億円(2022年4月末時点)。
SDエンターテイメント(株)(TSR企業コード:010040854、法人番号:6430001008290、札幌市白石区、東証スタンダード)のエンターテイメント事業を事業分割し、投資ファンドの出資により設立された。札幌市内を中心に、北海道内18カ所で映画館やボウリング場、ゲームセンターなどのアミューズメント施設を運営し、2019年11月期には売上高35億990万円を計上していた。
しかし、2020年に入ってからは「新型コロナウイルス」感染拡大により、施設の臨時休業や時短営業を余儀なくされたことで来店者数が減少し、2020年11月期の売上高は約25億円にとどまり赤字を計上。以降も新型コロナの影響が続き業況の改善が遅れていたことから、経営再建を図るため今回の措置となった。
関連サービス
人気記事ランキング
2024年の「学習塾」倒産 件数、負債が過去最多 少子化と競争が激化、淘汰の時代に
大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は、2024年は53件(前年比17.7%増)に達し、2000年以降では2023年の45件を超えて、過去最多を更新した(速報値)。 また、負債総額も117億4,400万円(同827.6%増)で、2023年(12億6,600万円)の9.2倍増と大幅に増え、2000年以降で過去最多となった。
2
2025年の展望=2024年を振り返って(11)
2025年は「私的整理の法制化」が本格的に動き出すが、企業倒産は厳しい見方が有力だ。企業自ら自立し、将来ビジョンをしっかり地に足をつけて描くことが求められる。
3
2025年の“周年企業”最長の900周年は「冠稲荷神社」 「100周年」は2,000社、創業100年超は4万6,601社
2025年は巳年。金運の象徴といわれる蛇にまつわる縁起の良い年と言われる。そんな年に創立900周年(1125年創業)を迎えるのが 「冠稲荷神社」(群馬県)だ。そして、800周年(1225年創業)は、「くじ取らず」の鉾として京都祇園祭で山鉾巡行の先頭を行く「長刀鉾保存会」が名を連ねる。
4
脱毛サロン「ミュゼプラチナム」3度の運営会社が変更 ~「船井電機」倒産余波の真相~
船井電機(株)が破産開始決定を受けて以降、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」への関心が高まっている。これまでの運営会社の変遷をまとめた。
5
倒産増加と審査部の真価=2024年を振り返って(5)
審査担当者は長らく、肩身の狭い思いをしてきた。リーマン・ショックの影響が収まらない2009年12月、中小企業金融円滑化法が施行された。これは窮境状態にある企業に金融機関がとどめを刺すことを戒める法律で、返済猶予の件数報告が義務化された。これ以降、企業倒産は減少をたどった。