こうして倒産した

2022年(令和4年)4月度こうして倒産した・・・
バンブーマテリアル(株)
  • 熊本
  • 新建材製造販売ほか
負債総額
28億円
 

 バンブーマテリアル(株)(TSR企業コード:016426681、法人番号:9330001022282、玉名郡南関町下坂下4668-6、設立2015(平成27)年11月、資本金1000万円、代表清算人:山田浩之氏)は3月28日、熊本地裁玉名支部より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は28億円(2021年3月期決算時点)。
 民間ファンドや地元企業、大手電力会社などの出資を受けて設立し、熊本県南関町などで伐採された竹を加工して新建材の製造を手掛けていた。グループ3社で包括的な竹資源の活用を目指し、利用が難しい竹を独自技術で利用することで、新たな地域産業に育成する計画で、2018年2月には敷地面積約4万2900㎡の大型工場を竣工した。
 チップや繊維状に砕いた竹を接着剤と混ぜ、3000トンの圧力をかけて加工する技術で建材の実用を可能にした。板材にした場合、曲げの強さは日本産業規格(JIS)の1.7倍、剥離に対する強さは4.2倍になるといわれていた。
 国内の竹ビジネスの先駆者として、マスコミからの注目も浴びていたが、導入した中国製の製造機械の不調などを要因に生産計画が頓挫。2020年3月期の売上計画31億円に対し、同期の売上高は465万円にとどまり、多額の赤字計上で債務超過に転落した。
 設備の一部を日本製に交換するなどして本格稼働を目指したが、2020年初旬以降の「新型コロナウイルス」感染拡大の影響で計画通りの受注を確保できず、同年6月以降は工場がほとんど稼働できない状況となっていた。
 地元企業からの借入金を利用するなどして事業継続を図ったが、売上不足が続いたことで資金繰りが逼迫し、2021年2月末をもって事業を停止した。

土山印刷(株)
  • 京都
  • 商業印刷ほか
負債総額
27億4300万円
 

 土山印刷(株)(TSR企業コード:641057709、法人番号:4130001011186、京都市南区吉祥院向田東町14、設立1953(昭和28)年10月、資本金3000万円、土山雅之社長)は4月25日、京都地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は北野知広弁護士(弁護士法人大江橋法律事務所、大阪市北区中之島2-3-18、電話06-6208-1500)。監督委員には池上哲朗弁護士(京都総合法律事務所、京都市中京区河原町二条南西角、電話075-256-2560)が選任された。
 負債総額は27億4300万円。
 1911年3月創業の老舗企業。チラシやカタログ等のオフセット印刷を主業務としていた。近年はデジタル化による紙媒体の需要縮小を受け、IT化にも注力。企業のホームページ制作、営業支援のシステム開発も手掛けるなど新規事業にも注力していた。
 地元京都のほか大阪や東京でも積極的に営業を行い、上場企業を中心に受注基盤を築き、1998年1月期には売上高35億9039万円を計上した。しかし、その後はデジタル化の進展で売上は徐々に低下。主力得意先との取引縮小もあって、2016年12月期の売上高は17億325万円に減少し、1920万円の赤字となった。
 2018年12月期には売上高が一時的に20億円台に回復したものの、その後は再び減収で推移。過去よりたびたび赤字を計上していたことに加え、設備投資も負担となり、借入金に依存した資金繰りが続いていた。
 こうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大により、イベント集客に伴う販促チラシの受注が減少、2020年12月期は売上高が16億1244万円まで落ち込み、1億5867万円の赤字を計上した。その後も厳しい業況が続き、長引くコロナ禍もあって自力による経営の立て直しは困難との判断から今回の措置となった。

グリーン関西(株)
  • 兵庫
  • ゴルフ場向け緑化資材等販売ほか
負債総額
26億円
 

 グリーン関西(株)(TSR企業コード:660320630、法人番号:4140001036802、三木市吉川町稲田字山ノ上241-29、設立1983(昭和58)年1月、資本金1000万円、赤松正樹社長)は再度の資金ショートを起こし4月5日、行き詰まりを表面化した。3月31日、事業を停止し、破産手続きを中島宏樹弁護士(中島宏樹法律事務所、京都府京都市中京区烏丸通六角下る七観音町623、電話075-741-8904)に一任した。
 負債総額は26億円。
 ゴルフコース芝生管理用農薬・肥料などの緑化資材の販売を主軸として展開。2016年には飲食事業をスタートし、以降も医療機器販売などウェルネス事業に参入。事業の多角化を進めてきた。しゃぶしゃぶ店や焼肉店のFCへの積極的な展開が業容拡大に寄与し、2019年9月期には売上高20億3292万円を計上していた。
 しかし、2020年に入って「新型コロナウイルス」感染拡大による業況悪化を受け、主力のゴルフ場向け事業が大きく後退。飲食事業も同様に厳しい展開を余儀なくされた。その後も長引くコロナ禍で取り巻く環境はさらに悪化し、2021年1月には飲食店の一部店舗を休業、4月には一部を閉店していた。また、ウェルネス事業の病院・クリニック向け見守り支援システムも提供停止となり、2021年9月期には売上高が18億9629万円まで減少した。
 既往の事業多角化に伴って過大な金融債務を抱えるなか、2022年2月末には資金ショートを起こし資金繰りの逼迫を露呈。この間、金融機関との協議のなかで粉飾決算が判明するなど信用が失墜し、支援を受けることもできず、事業継続を断念した。

(株)三宝商会
  • 愛知
  • 遊技機器販売ほか
負債総額
20億円
 

 (株)三宝商会(TSR企業コード:401296466、法人番号:2180001050578、名古屋市中川区服部1-306、設立1999(平成11)年7月、資本金1000万円、梁好信社長)は4月13日、名古屋地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には森美穂弁護士(森法律事務所、同市中区丸の内2-10-19、電話052-202-5155)が選任された。
 負債総額は20億円。
 1994年創業。パチンコ機器の販売を中心に手掛けていた。パチンコメーカー各社の機器を扱えることを強みとし、周辺機器の取り扱いや設置工事にも対応。24時間体制で機器の保守管理を手掛け、さらにイベント集客、店舗開発やファイナンスも行うなど、パチンコに関する様々な案件に対応していた。東京・大阪・静岡にも拠点を開設し、2014年5月期の売上高約42億2600万円に対し、2016年5月期は約63億100万円、2017年5月期には約67億6900万円と業容を拡大してきた。
 しかし、内部留保の十分な蓄積には至らず、借入金は膨らんでいたうえ、近年は社内トラブルによる経営混乱などで業容が縮小。遊技人口の減少によるパチンコホールの苦戦もあって、赤字が連続するようになり、債務超過に陥っていた。
 借入金の返済に苦慮するなか、近時はサービサーから訴訟を提起されるなど、厳しい資金繰りを露呈。支えきれなくなり、今回の措置となった。

ハートケアライフ佐久(株)
  • 長野
  • 有料老人ホーム経営
負債総額
18億9700万円
 

 ハートケアライフ佐久(株)(TSR企業コード:412109867、法人番号:6100001009405、佐久市長土呂793-12、設立2009(平成21)年7月、資本金1100万円、岩井伸幸社長)は3月31日、長野地裁佐久支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には森泉邦夫弁護士(森泉邦夫法律事務所、同市岩村田5037-6、電話0267-68-4535)が選任された。
 負債総額は債権者25名に対して18億9700万円。
 他社から有料老人ホームを買収し、事業を開始。デイサービスや訪問介護に加え、佐久市内でサービス付高齢者住宅の運営も行い、2020年6月期は売上高約4億円を計上していた。しかし、設備投資負担による事業収益を上回る借入金が重荷となり、資金繰りはひっ迫していた。
 サービスの充実により経営再建を図ったものの、業績改善には至らず、資金繰りが行き詰まり、2021年11月29日までに事業を停止した。

(株)SEHIRO
  • 大阪
  • 一般貨物自動車運送業
負債総額
18億6600万円
 

 (株)SEHIRO(TSR企業コード:576801062、法人番号:4120001175552、門真市下馬伏町2-28、設立2013(平成25)年2月、資本金1400万円、有元浩世史社長)は4月22日、大阪地裁に破産を申請した。申請代理人は小寺史郎弁護士(フェニックス法律事務所、大阪市中央区北浜4-7-28、電話06-4706-1550)。
 負債総額は債権者184名に対して18億6600万円。
 2003年に創業。一般貨物自動車運送業を主体に、物品保管などの倉庫業務、発送代行サービスなども行っていた。大手企業を中心に営業基盤を構築し、徐々に業容を拡大。2021年1月期には売上高が9億4918万円にまで伸長していた。
 しかし、業容拡大に伴う人員の増強や増車などの設備投資、その他の経費の負担増を金融機関からの借入で資金繰りを維持してきた。こうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大に伴い受注環境が悪化。「実質無利子・無担保融資」により資金繰り維持していたが、2021年11月には返済のリスケジュールを金融機関に要請した。
 その後は人員削減や減車などにより合理化を図ってきたが、最近の原油価格高騰に伴う燃料費負担が重く圧し掛かり、資金繰りが限界に達したことで、今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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