FEP(株)(TSR企業コード:571301622、法人番号:9120001110059、大阪市中央区南本町3-3-5、設立1990(平成2)年1月、資本金5000万円、木下直義社長)は8月3日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には鈴木達郎弁護士(鈴木達郎法律事務所、大阪市北区梅田1-1-3、電話06-4796-7000)が選任された。負債総額は債権者20名に対し30億6000万円。
IT関連のハードウェア・ソフトウェア開発、販売を行っていた。また、国際戦略として中国製液晶モニターの輸入や中国進出企業サポート事業にも注力し、業容は次第に拡大。さらに近年は、山梨県内に工場を新設し、自社ブランドの液晶テレビの扱いを増やした。13型から50型までを扱い「メイド・イン・ジャパン」を謳い文句に大手家電量販店や病院施設、宿泊施設に販路を拡大したなどとして、2019年5月期には売上高95億5768万円にまで急伸していた。
しかし、業容拡大の一方で運転資金需要も膨張。外部資金への依存度が高まり、近時は売掛債権を担保に資金調達を重ねていた。また、2018年頃からは粉飾決算や循環取引を指摘する声が増えていた。こうしたなか、ともに業容を拡大させていた親密先の企業が2019年末に連絡難に陥り、同時に当社も資金繰りの逼迫を露呈。複数の企業との架空循環取引が発覚し、信用が失墜。債権者より破産を申し立てられ、今回の措置となった。
(株)渡辺自動車(TSR企業コード:400837765、法人番号:6180001009711、名古屋市昭和区白金3-1-9、設立1986(昭和61)年4月、資本金5000万円、生山忠夫社長)は8月31日、名古屋地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は鈴木学弁護士(西村あさひ法律事務所、東京都千代田区大手町1-1-2、電話03-6250-6200)。負債総額は金融債務を中心に30億円。
1934年2月創業、欧州高級車を中心に扱う独立系の自動車ディーラー。シトロエン、マセラティ、フェラーリ、ランチアなどのメーカーを扱い、特にシトロエン、マセラティについては正規販売店となっていた。また、これに付帯して車検・整備業務や保険代理業務を手掛けていた。ピーク時の2017年12月期は売上高約41億円を計上。しかし、人件費の負担が重く過去から赤字を散発していたうえ、同期も3億2630万円の赤字を計上し、債務超過に転落した。
2018年12月期は売上が減少に転じたものの、関連会社の合併に伴い引き受けた土地などの評価益により黒字を計上。さらに、埼玉県の輸入車販売業者と資本提携し、傘下に入り、体制の改善を図っていた。しかし、2019年12月期は販売不振から売上高30億円を下回り、再び赤字に転落し資金繰りが逼迫。金融機関への返済にも窮する事態となり、自力再建を断念した。
(株)大見屋(TSR企業コード:820000345、法人番号:3500001015349、宇和島市新町1-4-6、設立1948(昭和23)年6月、資本金5000万円、谷本正博社長)は8月31日、松山地裁に破産を申請した。申請代理人は野城大介、貞嘉徳、上新優斗・各弁護士(きっかわ法律事務所、大阪府大阪市北区中之島3-2-4、電話06-4708-5671)。負債総額は22億円。
1924年、谷本商店の屋号で雑貨店を創業。1948年4月、現本社地で「大見屋人形店」を開設し、1959年頃に「新橋サービスセンター」の店名でスーパーマーケット業に転換、1965年には店名を「しんばし」とした。地域に密着したスーパーマーケットとして高い知名度を有し、県内南予地区に積極的に店舗を展開し、1994年7月期にはピークとなる売上高約85億9400万円を計上。しかし、その後は県内大手同業者の攻勢に加え、隣県同業者の進出やドラッグストアの乱立から厳しい業況に陥り、不採算店舗を閉鎖するなどして合理化を図っていた。
2016年3月には「しんばし保手店」を閉鎖、以降5店舗での運営となり、各種イベント等を実施するなどして客足確保に努めていたが、2019年7月期の売上高は約39億700万円と40億円を割り込み、採算性も悪化していた。多額の有利子負債を抱えるなか、今後の業績好転も見込めず、2020年8月末の決済資金のめども立たないことから、事業継続を断念した。
GAS JAPAN(株)(TSR企業コード:296603104、法人番号:4010401098579、渋谷区渋谷2-10-15、設立2006(平成18)年1月、資本金1億円、代表清算人:松本晋延氏)は8月11日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。負債総額は20億円。
イタリアの「GROTTO S.p.A.」(以下、GROTTO社)の日本法人で、カジュアルファッションブランド「GAS(ガス)」の販売を手掛けていた。商品はジーンズがメインで、そのほかTシャツ、パンツ、ニット、ワンピースなどのメンズ、レディスカジュアルウェアや服飾雑貨を取り扱っていた。東京や大阪、名古屋などの百貨店や商業施設に店舗を展開し、さらに自社ECサイトでも販売。2007年12月期には売上高約12億円をあげていた。
しかし、近年は消費の低迷などから、販売不振に陥っていた。そのため、GROTTO社が日本市場からの撤退を決定。当社は2020年4月30日、株主総会の決議により解散していた。
(株)rs(TSR企業コード:294438564、法人番号:2010001075591、千代田区麹町3-3、設立1989(平成1)年1月、資本金1億円、代表清算人:権田修一弁護士)は7月21日、東京地裁に特別清算を申請し8月3日、特別清算開始決定を受けた。負債総額は18億6800万円。
キッチン家電の販売を中心に事業を展開。一時、自社サイトや提携サイトを通じた小売にも進出したが、2009年に撤退。中国に商品開発、生産拠点を構えて自社ブランド製品を企画。コーヒーメーカーやオーブントースター、電気圧力鍋などを、通信販売会社やディスカウントストア、家電量販店などに販売し、2018年1月期は売上高44億4464万円をあげていた。
しかし、2017年製・2018年製の「速暖マイカヒーター」の不具合で2019年2月、対象製品の回収などを発表。リコールの負担が嵩み、業績が急速に悪化した。再建を目指し金融機関に支援を要請し、借入金の元本棚上げを行う一方、債権放棄などの再建計画を金融機関に提出して、11月15日までに全金融機関から債権放棄などの再建計画が承認された。12月25日、会社分割の方式でシロカ(株)(旧:siroca(株)、TSR企業コード:130976393、法人番号:9010001200333、千代田区)に事業を譲渡し同日、当社はシロカ(株)から現商号に変更。2020年4月28日、株主総会の決議により解散していた。
関連サービス
人気記事ランキング
2024年の「学習塾」倒産 件数、負債が過去最多 少子化と競争が激化、淘汰の時代に
大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は、2024年は53件(前年比17.7%増)に達し、2000年以降では2023年の45件を超えて、過去最多を更新した(速報値)。 また、負債総額も117億4,400万円(同827.6%増)で、2023年(12億6,600万円)の9.2倍増と大幅に増え、2000年以降で過去最多となった。
2
2025年の展望=2024年を振り返って(11)
2025年は「私的整理の法制化」が本格的に動き出すが、企業倒産は厳しい見方が有力だ。企業自ら自立し、将来ビジョンをしっかり地に足をつけて描くことが求められる。
3
2025年の“周年企業”最長の900周年は「冠稲荷神社」 「100周年」は2,000社、創業100年超は4万6,601社
2025年は巳年。金運の象徴といわれる蛇にまつわる縁起の良い年と言われる。そんな年に創立900周年(1125年創業)を迎えるのが 「冠稲荷神社」(群馬県)だ。そして、800周年(1225年創業)は、「くじ取らず」の鉾として京都祇園祭で山鉾巡行の先頭を行く「長刀鉾保存会」が名を連ねる。
4
脱毛サロン「ミュゼプラチナム」3度の運営会社が変更 ~「船井電機」倒産余波の真相~
船井電機(株)が破産開始決定を受けて以降、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」への関心が高まっている。これまでの運営会社の変遷をまとめた。
5
倒産増加と審査部の真価=2024年を振り返って(5)
審査担当者は長らく、肩身の狭い思いをしてきた。リーマン・ショックの影響が収まらない2009年12月、中小企業金融円滑化法が施行された。これは窮境状態にある企業に金融機関がとどめを刺すことを戒める法律で、返済猶予の件数報告が義務化された。これ以降、企業倒産は減少をたどった。