(株)エム・テック(TSR企業コード:310340748、法人番号:8030001001169、さいたま市浦和区高砂3-7-2、設立昭和63年10月、資本金4億6637万5000円、向山照愛社長、従業員237名)は10月1日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には北秀昭弁護士(北秀昭法律事務所、港区虎ノ門4-1-14、電話03-6435-6802)が選任された。負債総額は253億4900万円。
PC橋梁、土木、建築、解体工事などを手がける総合建設会社。主に関東地区での建築工事や官公庁案件などを積極受注し業績を伸ばしていた。平成17年9月には民事再生法を申請した中堅ゼネコンの勝村建設(株)(当時、東証1部)の受け皿会社を吸収するなど、複数の破綻企業を傘下に入れるなどして業界中堅に成長していた。
その後、営業エリアを全国に拡大、東日本大震災の復旧工事などでさらに完工高を伸ばし、29年7月期の完工高は約244億2700万円を計上した。こうしたなか、29年12月に民事再生法を申請した(株)PROEARTH(TSR企業コード:363795677、法人番号:6021001039417、厚木市、その後破産に移行)に約10億円の大口焦付きが発生して動向が注目された。一時はPROEARTHのスポンサー企業になることを表明したが、不適切会計の発覚からスポンサー企業を辞退して話題になった。
30年3月には、一部の公共工事で手続きの不備や施工上の問題が発生し、東京地検から港則法違反で起訴されたことで200以上の自治体から指名停止処分を受ける不祥事が発生。これを機に新たな公共工事を受注できなくなったほか、金融機関の姿勢も硬化したことから資金調達も限界に達し、自力再建を断念した。
その後、スポンサー企業の支援を得て再建に取り組むとしていたが、支援を得ることが難しくなったことから、10月22日、再生手続き廃止決定を受け同日、保全命令を受けた。保全管理人には北秀昭弁護士(北秀昭法律事務所、港区虎ノ門4-1-14、保全管理人室03-6264-4793)が選任された。
TS商事(株)(TSR企業コード:620019476、法人番号:7150001015760、五條市住川町1297、登記上:大阪府羽曳野市羽曳が丘西3-5-12、設立昭和40年1月、資本金9000万円、代表清算人:貝本冨作氏)は10月10日、大阪地裁から特別清算開始決定を受けた。負債総額は約64億800万円(平成29年3月期決算時点)。
戦後まもなく銘木商として創業。日本でいち早く集成材の製造に取り組み、小学校体育館や木造施設、橋梁、モニュメントなど大型木造建築物の建築施工、接着剤や外国木材の輸入販売などを手掛けてきた。長年にわたる実績により集成材業界をリードし、ピークの平成8年12月期には売上高102億1059万円を計上した。
しかし、新築住宅着工件数の減少により業績は長期にわたり下降線をたどり、最近の輸入材のコスト高などもあって採算性が悪化していた。さらに、4年1月に現本社工場を開設した際の借入負担が重く、減収推移が続くなかで経営面での大きな足かせとなっていた。市況が改善しないなか、28年3月期(決算期変更)、29年3月期と連続赤字を計上した。
このため、単独での収益改善による生き残りは厳しいとの判断から29年5月30日、メインバンクである南都銀行と商工中金、スポンサー企業となる村地綜合木材(株)(TSR企業コード:650036565、法人番号:5160001011117、滋賀県竜王町)の連名により、関連会社の奈良県大規模木造(協)(TSR企業コード:622078321、法人番号:7150005007168、五條市)とともに地域経済活性化支援機構(REVIC)に対して支援を要請し、再生支援の決定を受けた。
29年9月1日、スポンサー企業の100%子会社である新設のトリスミ集成材(株)(TSR企業コード:025013637、法人番号:1150001021590、五條市)に事業移管し、当社は現商号に変更。30年6月1日、登記上本社を大阪府に移して、同日に株主総会の決議により解散していた。
(株)朋栄工業(TSR企業コード:260032123、法人番号:7060001001209、宇都宮市不動前2-2-46、設立昭和33年5月、資本金3000万円、加治康正社長、従業員38名)は10月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には小畑英一弁護士(LM法律事務所、東京都千代田区永田町2-11-1、電話03-6206-1310)が選任された。負債総額は約23億5200万円(平成30年4月期決算時点)。
金属表面処理では栃木県内有数の設備を整備し、平成1年には日本で数少ない米国ボーイングの特殊行程認証を取得し、航空機部品の治具の設計から加工、表面処理(メッキ)、組み立て、検査に至るまで一貫した生産体制を確立した。
加工では5軸制御マシニングセンターを駆使するほか、表面処理・塗装では高度な品質点検システムを導入し、国際特殊工程認証システムのNADCAPを取得した。
平成24年4月期にはボーイングが台湾で進める航空機部品工場整備について直接契約を締結し、栃木県内有数の航空機部品製造業者に成長。しかし、相次ぐ投資に連動して金融債務が急速に肥大化していたうえ、対外的な信用を維持するために以前から在庫の調整などによる不鮮明な会計処理が行われ、これが数年前に表面化して信用が失墜した。
このため、栃木県中小企業再生支援協議会の支援を仰ぐとともに、再建スキームとして金融債務を劣後ローンに切り替えるほか、(株)とちぎネットワークパートナーズ(TSR企業コード:262222205、法人番号:9060001025032、宇都宮市)を引受先とする優先株式を発行するなどして、栃木県も含めて各方面からの強力な支援体制が整えられた。
しかし、27年4月期~29年4月期には連続して赤字を計上するなど、経営計画とは大きな乖離が生じるようになったため、第二会社形式による再建を模索。スポンサーとして米国企業が名乗りを挙げ、29年9月に受け皿を設立し、29年12月には加治金属工業(株)から現商号に変更した。だが、米国企業の支援計画が実行に移されることはなく、経営資源を主力の金属表面処理・メッキ加工に集約させ、付帯事業として行っていた機械加工から撤退したことに加え、人材の流出などで正常な経営を行えなくなり、30年4月期の売上高は約6億7200万円まで落ち込んだ。資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。
現在、スポンサー候補として(株)新潟事業継承パートナー(TSR企業コード:200319990、法人番号:3110001003698、新潟市東区)との間で基本合意書を締結し、同社の支援・協力の下で事業の再生が図れるよう具体的な協議を継続している。
かぶちゃん農園(株)(TSR企業コード:296009326、法人番号:2100001023203、飯田市川路7592-1、設立平成16年5月、資本金1億円、鏑木武弥社長、従業員50名)は10月1日、東京地裁に破産を申請した。破産管財人には内田実弁護士(虎ノ門南法律事務所、港区虎ノ門1-15-12、破産管財人室03-5577-5808)が選任された。負債総額は21億8600万円(平成29年8月期決算時点)。
(株)ケフィア事業振興会(TSR企業コード:298080745、法人番号:7010001127512、東京都千代田区、鏑木秀彌社長)のグループ会社で、「市田柿」など食品の加工販売を手掛けていた。設立当初はケフィアたね菌を利用したヨーグルト製造を主力とし、その後に地元特産品の「市田柿」の製造加工、販売へシフト。「柿蔵姫」や「柿照姫」などブランドをもち、積極的な広告や鏑木社長がメディア露出したことで知名度が上昇し、平成22年8月期は売上高約34億7300万円をあげていた。
こうしたなか、23年8月期中に採算性の悪化から支払遅延が生じ、信用が低下。同期の売上高は約13億2000万円まで落ち込み、7億1612万円の赤字を余儀なくされ、財務内容も悪化した。このため、ケフィア事業振興会に市田柿販売部門を移管し、食品加工に業態変更するなどリストラ策を講じていた。その後、ケフィア事業振興会が会員向けに高利回りの買戻特約付売買契約「オーナー制度」で売上高を伸ばし、当社もその恩恵を受け業況が回復。29年8月期は売上高32億5922万円をあげていた。
しかし、ケフィア事業振興会が29年11月ごろから会員への配当など支払遅延が表面化。30年7月にケフィアグループ被害対策弁護団が組成され、同年8月には消費者庁が「ケフィアが債務の履行遅延」などを理由に注意喚起する事態となり同年9月3日、ケフィア事業振興会と関連3社が東京地裁から破産開始決定を受けた。また、以降もグループ企業が破産開始決定を受けていた。
一部の報道では当社の鏑木社長は事業継続の意欲を示していたが、信用が大きく失墜し事業継続を断念。10月20日付で従業員約50人の整理解雇を予定していた。
(株)メイクソフトウェア(TSR企業コード:570843006、法人番号:6120001008818、大阪市北区西天満4-3-18、設立平成1年11月、資本金5000万円、山本廣社長、従業員117名)は10月24日、大阪地裁に破産を申請した。申請代理人は野上昌樹弁護士(弁護士法人大江橋法律事務所、同市北区中之島2-3-18、電話06-6208-1500)。負債総額は20億9600万円。
当初は家庭用ゲームソフトの受託開発を主体に事業を展開していたが、平成9年頃に写真シール機市場に参入し、「スゥーニィービィー」など数々のヒット商品を打ち出してきた。その後は、携帯用コンテンツサイト「CAN・Pらくがき@写真メール」がキャリア公式サイトとして採用されたほか、同サイトからコンビニ経由でのプリント出力サービスを開始するなどコンテンツサービスの強化を図り、会員数を増やし、ピーク時の平成24年7月期には売上高71億1993万円を計上した。
しかし、その後は同業他社との競合が激しく減収推移が続き、29年7月期は売上高が32億1204万円まで低下。写真シール機のブームの低迷や、既存携帯コンテンツの課金収入が頭打ちとなるなかで、新たにファミリー層向けとして子供の雑貨にこだわるオンラインショップ「mamanon(ママノン)」やカラーコンタクトのECサイト「カラコンジョリー」を開設。シール機の代わりとなる事業にも積極的に取り組んできたが、過去の開発費用が重く圧し掛かり、事業継続のめどが立たなくなったことから、今回の措置となった。
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