こうして倒産した

2018年(平成30年)6月度こうして倒産した・・・
日本海洋掘削(株)
  • 東京
  • 海洋掘削事業
負債総額
904億7300万円
 

 日本海洋掘削(株)(TSR企業コード:290382459、法人番号:3010001095234、中央区日本橋堀留町2-4-3、設立昭和43年4月、資本金75億7200万円、市川祐一郎社長)は6月22日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。申請代理人は丸山貴之弁護士ほか(弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所、千代田区丸の内2-2-1、電話03-5224-5566)。監督委員兼調査委員には片山英二弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)が選任された。負債総額は約904億7300万円(平成30年3月31日現在)。
 上場企業の倒産は、平成29年9月に取引停止処分を受けた(株)郷鉄工所(TSR企業コード:471004715、岐阜県、東証2部・名証2部)以来、9カ月ぶり。負債額は今年に入って最大。 日本唯一の石油・天然ガスの海洋掘削事業として設立された。国内外の海域で海洋掘削リグ(海洋掘削の機能を備えた船舶または設備)を運用し、掘削サービスを提供。長年の業歴から高度な掘削技術、リグ操業ノウハウおよびリグの建造プロジェクトマネジメント力を蓄積するなど、顧客から一定の評価を受けていた。
 21年12月には東証1部に株式を上場し、26年3月期には連結売上高401億3400万円をあげた。しかし、近年は原油価格の下落に伴う石油会社の掘削意欲の減退から受注が減少。30年3月期まで3期連続で営業損失、経常損失、親会社に帰属する当期損失を計上した。31年1月31日に完成引渡し予定の「HAKURYU-15」において、将来損失が発生する可能性が高まったため、建造プロジェクト損失引当金繰入額171億円を特別損失で計上。さらに、リース運用しているジャッキアップ型リグ「HAKURYU-12」のリース契約損失引当金繰入額51億円を売上原価に算入し、30年3月期には親会社に帰属する当期損失454億円を計上したことで、債務超過に転落した。経営再建を模索したが、業況が厳しく自力再建が困難と判断し、今回の措置となった。なお、連結子会社のJapan Drilling(Netherlands)B.V.も6月22日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。負債額は321億500万円(平成30年3月31日現在)。

(株)サンメンテナンス
  • 大阪
  • ビルメンテナンス業
負債総額
35億5000万円
 

 (株)サンメンテナンス(TSR企業コード:571417213、法人番号:7120001080238、大阪市中央区常盤町2-2-5、設立昭和54年12月、資本金5000万円、深田良宏社長)は6月11日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には玉越久義弁護士(玉越法律事務所、同市北区中之島2-3-18、電話06-6209-2177)が選任された。負債総額は債権者215名に対し約35億5000万円(うち、金融債務は約34億円)。
 昭和50年6月創業のビルメンテナンス業者で、清掃や医療施設衛生管理、設備管理、保安管理、駐車場管理など多岐にわたる総合管理業務を手掛けていた。サービス強化や高い価格競争力で公立病院などに受注基盤を確立し、全国48カ所に拠点を設置。北海道から沖縄までをカバーし平成29年3月期には売上高約60億8700万円を計上していた。
 しかし、急激な業容拡大に伴う借入負担などから窮屈な資金繰りが続き、取引先に対する支払条件の変更要請がたびたび発生するなど、対外信用は低下していた。さらに、金融機関に対しても借入金返済のリスケジュールを要請したが、売上架空計上などの粉飾決算により、多額の債務超過に陥っていることが発覚した。こうしたなか、大阪府中小企業再生支援協議会のもと再建を図ってきたが、先行きの見通しが立たないことから法的手続きに踏み切った。

(株)室町販売委託
  • 東京
  • 化粧品販売ほか
負債総額
30億円
 

 (株)室町販売委託(TSR企業コード:296939889、法人番号:7010401078215、中央区日本橋室町4-1-21、設立平成18年11月、資本金1億円、岡昭宏社長)は6月27日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には石田惠美弁護士(日比谷見附法律事務所、千代田区有楽町1-6-4、電話03-3595-2067)が選任された。負債総額は約30億円。
 (株)ジャパンゲートウェイとして設立し、化粧品やシャンプー、衛生用品などの製造を手掛けていた。主力商品であるノンシリコンシャンプー「Reveur(レヴール)」などは、CMなどに有名女優やモデルを積極的に起用し、また新規商品の取り扱いの増加や商圏の拡大などにより、平成25年5月期には売上高約217億円を計上していた。
 しかし、26年7月、東京国税局から25年4月までの4年間でグループ会社を含め約3億円の所得隠しを指摘され、重加算税含め追徴税額1億円の修正申告を実施した。この影響から、同社ブランドのシャンプーなどの買い控えが一気に拡がり多額の在庫を抱え、急速に経営状態が悪化。このため、企業再生ファンドに支援を要請し、人的・資金的な支援を得て打開を図ったが、ノンシリコンシャンプー市場に大手の参入が相次ぎ、競合激化から売上減少に歯止めが掛からず、28年5月期の売上高は約80億円まで低下した。
 その後の業績回復の見込みが立たないことから企業再生ファンドが出資した(株)ジャパンゲートウェイ(TSR企業コード:013200801、法人番号:8010001164281、東京都港区)に商標とブランドを譲渡。当社は28年12月、(株)ジャパンゲートウェイ販売に商号を変更。29年12月、RIZAPグループ(株)(TSR企業コード:295695790、法人番号:2011201012987、新宿区)の子会社の(株)ジャパンゲートウェイ(旧:(株)Xio、TSR企業コード:296432849、法人番号: 9011101039620、東京都新宿区)に事業を譲渡し、当社は30年4月、現商号に変更して今回の措置となった。

(株)たかた荘
  • 京都
  • ホテル経営
負債総額
20億円
 

 (株)たかた荘(TSR企業コード:641422466、法人番号:6130001043500、舞鶴市浜2002-3、設立昭和35年5月、資本金1000万円、高田啓司社長)は6月14日、京都地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には三野岳彦弁護士(京都総合法律事務所、同市中京区河原町二条南西角、電話075-256-2560)が選任された。負債総額は約20億円。
 昭和19年に創業し、料理・仕出し業を積極的に展開していた。平成12年5月には約15億円を投じて「ホテルマーレたかた」を開業し、その後はホテル業を主力業務として展開。ホテルには結婚式場を併設し、料理に定評のあるホテルとしてレストランや宴会場も順調に稼働し、「舞鶴湾とれとれセンター」「舞鶴引揚記念館」などの観光施設への観光客需要も取り込み、ピークとなる19年7月期の売上高は約7億円を計上していた。
 しかし、ここ最近は地元企業の経費削減による宴会需要の低下、消費低迷に伴うブライダル・レストラン関連の苦戦が続き、29年7月期の売上高は約5億5000万円まで落ち込んでいた。ホテル新設時の投資負担が重く、採算性は低いことで窮屈な資金運営から脱せず、先行きの見通しが立たないため今回の措置となった。
 なお、ホテルは営業中で、今後はスポンサー企業の下で経営再建に着手する方針。

東建興業(株)
  • 三重
  • 土木工事
負債総額
18億4200万円
 

 東建興業(株)(TSR企業コード:520006372、法人番号:9190001004519、北牟婁郡紀北町東長島1145-5、設立昭和41年1月、資本金7000万円、東一昭社長)は6月14日、津地裁熊野支部より破産開始決定を受けた。 破産管財人には室木徹亮弁護士(三重綜合法律事務所、津市丸之内養正町4-1、電話059-229-6660)が選任された。負債総額は18億4200万円。
 昭和37年2月に創業し、土木工事を主体に建築工事、解体工事なども手掛けていた。国土交通省、三重県、紀北町など官庁発注の公共工事案件を中心に営業基盤を築き、大型工事を相次いで落札した平成3年10月期にはピークとなる完工高30億1275万円を計上した。
 しかし、近年は公共工事の減少により業況は厳しく、災害復旧工事や紀勢自動車道新設工事が一段落した28年10月期には完工高が3億5178万円まで低下。過去に手掛けた当地区山林などへの不動産投資も重荷となっていたうえ、たびたび赤字を計上して手元資金の流出が続き、多大な銀行借入に依存する資金繰りが続いていた。29年10月期は完工高が10億4506万円まで回復したものの、30年に入ってからの受注環境は再び厳しくなり、先行きの見通しも立たないことから事業継続を断念した。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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