(株)ヤマイ(TSR企業コード:912085959、法人番号:2330001004717、熊本市北区武蔵ヶ丘1-8-23、設立平成6年5月、資本金1000万円、辻野勇社長、従業員7名)は6月8日、熊本地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には建部明弁護士(建部・榎法律事務所、同市北区龍田3-32-18、電話096-245-7269)が選任された。負債総額は約71億円。熊本地震関連では初の倒産。
不動産取引会社で、なかでも競売物件の取り扱いを得意とし、全国の競売物件を落札して主に賃貸物件として活用。平成23年4月期には全国に750以上の自社物件を保有し、賃貸収入主体に売上高約1億5700万円を計上していた。一方、資金は一般個人や企業から調達。支払金利が15~18%であったため、多額の利払いが収益を圧迫。23年4月期は3億円余の支払金利負担があり、5億5000万円の赤字を計上、債務超過額は10億円に達した。その後も個人・法人などから追加の借入調達を図ることで資金繰りを維持し、27年4月期も賃貸収入を主体に売上高約1億6200万円を計上したものの、追加借入と利払いで負債は一気に膨張。さらに、熊本地震発生後は借入先からの借入返済請求が急増、今回の措置となった。
(株)エストゥ(旧:東昭建設(株)、TSR企業コード:260010731、法人番号:1060001013399、宇都宮市昭和1-7-10、昭和24年10月、資本金7100万円、前田光弘社長)は6月8日、宇都宮地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には杉田明子弁護士(弁護士法人佐藤貞夫法律事務所、同市滝谷町11-14、電話028-633-3840)が選任された。負債総額は約55億3400万円。
昭和22年創業の建設会社。業歴を重ねるとともに商業施設や工場の建築および舗装、各種設備工事に進出し、地場を代表する総合建設業者に成長した。また、関係会社を擁してエクステリア商品販売やスポーツ関連事業、飲食店やデイサービス事業へも進出。平成5年3月期には約80億円の完工高を計上していた。
しかし、リーマン・ショックや東日本大震災等の発生で経営環境は急速に悪化。完工高がピーク時に比べて4分の1以下に落ち込むほか、多額の赤字を計上したことで財務面も逼迫し、金融機関からの借入に依存する経営が続いていた。25年2月には主力金融機関がサービサーへ債権を譲渡したことで、資金環境の悪化が表面化。不良債権の発生や支払遅延が頻発するなか業況が改善することはなく、今回の措置となった。
5月11日に取引先向け説明会を開催し、12日付で広島建設(株)(TSR企業コード:320138909、法人番号:1040001066374、千葉県柏市)の子会社である(株)東昭建設(TSR企業コード:013063995、法人番号:5040001088209、矢板市)に事業を譲渡した。
(株)タスコシステム(TSR企業コード:010278532、法人番号:9430001010178、文京区本郷2-32-1、設立昭和63年10月)は6月15日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には児玉晃一弁護士(マイルストーン総合法律事務所、渋谷区上原3-6-6、電話03-5790-9886)が選任された。負債総額は約48億5000万円。
「北前そば高田屋」や「とり鉄」など飲食チェーンを展開し、順調に事業を拡大して平成13年9月には店頭市場へ株式公開した。「炭一鉄」などのフランチャイズ契約も開始し、15年12月期は売上高182億3754万円をあげていた。
こうしたなか、事業拡大に伴う従業員教育や店舗ノウハウの形成が遅れ、業績が急激に悪化。18年5月、会社分割により持株会社へ移行し、(株)東京タスコ(TSR企業コード:296676195、法人番号:5010401061817、解散)やプラスネット(株)(TSR企業コード:012148806、法人番号:6430001030930)に事業を移管するなど、回復策を講じた。
しかし、業況は改善せず、18年12月期は63億5486万円の赤字となったため、北前そば高田屋に経営資源を集中。その後も赤字が続いたため、債務超過へ転落した。 監査法人が20年12月期半期報告書において「意見を表明しない」と記載され、ジャスダック証券取引所から同年12月に上場廃止となった。その後、残っていた店舗やブランド、子会社の権利義務の移管などを行ったのち、実質的に休眠状態となっていた。
(株)セブンス・アベニュー(TSR企業コード:400703947、法人番号:2180001037344、名古屋市中区丸の内2-10-23、設立昭和52年1月、資本金2550万円、那部良修社長)は再度の資金ショートを起こし6月15日、行き詰まりを表面化した。 5月30日付で、事後処理を渡邊一平弁護士ほか2名(21世紀法律事務所、同市東区白壁2-4-30、電話052-963-8088)に相談していた。負債総額は約43億9000万円(平成27年11月期決算時点)。
ブラウスやニットなど婦人服の卸売を手掛け、業界では後発ながら積極的な拡販を進め、量販店や通販業者向けの販路を確立。ピーク時の平成22年11月期には約72億600万円の売上高を計上、高収益をあげていたが、以降は一部で手掛けていた小売部門の不振や通販業者向けの販売減で減収基調に転じた。26年11月期以降は円安の進行で利幅が縮小し、27年11月期には大幅な赤字を計上した。
27年末には中国の現地法人の業務を停止。28年11月期に入ってからもリストラなどで立て直しを図ろうとしたが、赤字により対行与信が低下し、資金調達のめどがたたなくなり5月末の手形決済が困難となり動向に注目が集まっていた。
日本リゾーツ(株)(TSR企業コード:642379769、法人番号:9130001051517、京都市東山区下河原町463-1、登記上:港区虎ノ門1-7-6、設立平成25年7月、資本金5000万円、梅野聖雄社長、従業員3名)は6月3日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は泊昌之弁護士(さくら共同法律事務所、千代田区内幸町1-1-7、電話03-5511-4400)。負債総額は約40億円。
主に京都市内を中心に土地売買を手掛け、26年9月期(9カ月決算)には売上高約1億5700万円を計上していた。ユネスコの世界遺産であり、大政奉還が行われた場所としても有名な「二条城」の北側に1万5293平方メートルの用地購入し、「京都二条院離宮構想」と称するリゾート建設を共同事業者とともに計画していた。しかし、建設計画が進まず、不動産売却に向けて交渉を進めていたが、買手との間でトラブルが発生し不動産が競売手続きに入る事態となった。手続解除に向けた交渉を行ってきたが合意に至らず、競売の開札期限である6月末を前にして今回の措置に踏み切った。なお、民事再生法の適用申請後、強制競売は原則として中止となるため今後、競売手続きが一定期間中止している間に今回の買手との売買契約を解消し、新たな候補先に不動産を売却し、その売却資金で債務を全額弁済する予定。
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