平成24年2月24日、金融庁から1カ月間の業務停止命令と業務改善命令を受け、預かり資産の運用状況などの調査を受けていた(株)MARU(TSR企業コード:292919441、中央区日本橋2-2-6、設立平成1年4月、資本金2億3000万円、浅川実社長、従業員12名)は12月16日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には坂井秀行弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所、港区元赤坂1-2-7、電話03-6894-6109)が選任された。27年8月、債権者から破産を申し立てられていた。なお、当社は平成25年5月、AIJ投資顧問(株)から社名変更した。年金基金約1850億円のうち1000億円以上については返済できなくなっており、これを含めた負債総額は債権者6名に対して約1313億円。
現実離れした高利回りをうたっていたこともあって、当社には多くの厚生年金基金が積立金を預け運用を委託していた経緯があり、年金詐欺事件として訴訟も起こされていた。資産運用の契約先の多くは中小企業となっているが、預かり資産の毀損状況によっては運用を委託している企業側による補填の可能性も指摘されていた。当社の預かり資産消失事件は社会的にも大きな問題となり、厚生年金制度の条件見直しにも繋がった。
(株)コマレオ(TSR企業コード:210051230、米沢市金池2-1-21、設立昭和31年12月、資本金4999万2500円、後藤秋信社長、従業員113名)は12月14日、山形地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は菅野修弁護士(晩翠法律事務所、仙台市青葉区大町1-2-16、電話022-215-6611)ほか。負債総額は約39億円。
当初はガソリンスタンド経営を主体とした事業展開となっていた。昭和57年11月に(株)レオ(TSR企業コード:160050421、福島市、ホームセンターおよびガソリンスタンド経営)、58年6月に(株)コマ(旧:東北三和ビジネス(株)、TSR企業コード:210132140、米沢市、ホームセンター経営)の関連会社を設立し事業を拡大。平成4年4月には関連2社を吸収合併し現商号となり、5年2月期には売上高115億5731万円を計上した。7年11月には多額の資金を投じて福島市内に自社運営によるパチンコ店・ホームセンターを中核とした複合型商業施設「コマレオプラザ」を開設。ピークとなる8年2月期には売上高153億8014万円をあげ、相応の知名度を確立した。
しかし、以降は消費低迷や競合激化などでガソリンスタンド・ホームセンター・パチンコ店ともに集客の維持に苦戦。「コマレオプラザ」への先行投資負担を吸収できず、9年2月期は売上高140億211万円に対して、5億5419万円の赤字となり債務超過へ転落。10年2月期も売上高106億2952万円へ低下し、3億946万円の赤字となり財務はさらに悪化した。
その後、業容維持のため、不採算店舗の統廃合などを推進、売上高は80~90億円台で推移し、黒字転換するなど改善の兆しが窺われた。そのようななか、「サンシャイン米沢店(パチスロ専門店)」を閉鎖したことで21年2月期の売上高は76億7600万円へ落ち込み、店舗閉鎖に伴う除却損などから6300万円の赤字となった。その後は売上後退に歯止めが掛からず、26年2月期の売上高は約65億5900万円となり、1億1400万円の赤字を計上し再び債務超過に陥った。27年2月期には関係者と不採算のホームセンター部門の統廃合を検討したが、具体策は講じられなかった。28年2月期に入っても業況は好転せず、自力での経営改善を断念し今回の措置となった。
(株)大通エステート(TSR企業コード:012067598、札幌市中央区南7条西12-4-27、設立昭和34年7月、資本金5500万円、杉本里子社長)は12月10日、札幌地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には開本英幸弁護士(開本法律事務所、同市中央区南1条西12、電話011-272-6789)が選任された。負債総額は38億2300万円。
平成17年頃より不動産売買に注力して業績を伸ばし、19年10月にはビジネスホテルを買収するなどして事業を拡大。20年9月期にはピークとなる約22億5000万円の売上高をあげていた。しかし、リーマン・ショック以降、不動産市況が急激に低迷し、21年9月期の売上高は約7億6000万円に落ち込んで赤字を計上し、債務超過に転落。22年には中小企業金融円滑化法を活用し、その後も借入返済条件の緩和を受けてきた。25年9月期にはビジネスホテルほか所有不動産の整理を進めたが、売上高約10億8000万円に対し売却損により約14億3000万円もの赤字を計上し、債務超過額が拡大した。
(株)ビューティ・ソリューションズ(TSR企業コード:298374277、港区赤坂4-2-3、設立平成22年4月、資本金4320万円、山蔭智也社長)は12月2日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には澤田和也弁護士(馬場・澤田法律事務所、港区虎ノ門1-4-2、電話03-5510-7703)が選任された。負債総額は32億4400万円。
エステティックサロン「ハート&ビューティ」やメンズ美容サロン「Gスタイル」などを運営。また、タレントの東原亜希さんプロデュースの薄型骨盤ベルトの販売などで知名度を有し、口コミや積極的な広告宣伝により平成26年3月期の売上高は32億4955万円をあげていた。
しかし、業績拡大の一方で店舗の出店に伴う投資負担が重く、借入金への依存度が高まり経営に行き詰まり5月12日、東京地裁に民事再生法の適用を申請していた。その後、5月26日に「(1)代表取締役の地位をめぐって争いがあること、(2)金融業者よりビューティ社の民事再生手続きに異議があるとの申し入れが裁判所にあった。これを受けて裁判所から民事再生手続きの取り下げを勧告されることとなり、「株式買い戻しにより代表者が交代すれば、融資を行うとする企業がある」として民事再生手続きを取り下げていた。
しかし、その後も建物明渡訴訟(3件)が提訴されるなど信用性の低下が露見するなか、事業継続が困難となり10月14日付けで事業を停止していた。
(株)ERSホールディングス(TSR企業コード:296776980、渋谷区東2-16-10、設立平成18年7月、資本金6000万円、岡田幸一社長)は12月16日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には田中章二弁護士(銀座通り法律事務所、中央区銀座6-9-7、電話03-5568-7601)が選任された。負債総額は債権者209名に対して約31億2500万円。
下水道料金がみなし料金設定となっていることに着目し、実際の排水量を計測することでコスト削減を図るという、独自の「ERSシステム」事業を主力としていた。下水道の流量を計測する競合他社が少ないことや、リース契約を導入して先行投資負担を低減させることができる点などから、病院やホテル、スポーツクラブなど大型施設での導入実績を増やしていた。また、近年は排水処理プラント事業や水量コントローラーの導入など給排水に関わるコンサルティング事業にも注力し、平成26年6月期は売上高約15億3400万円をあげていた。
業績は拡大傾向だったが設備投資にかかるリース料の負担が重かったうえ、メンテナンスサービスなどへの費用もかさみ採算が悪化。ここにきて流水計機器の不具合を発端としたトラブルも発生したことなどから経営が限界に達した。
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