ソフトウエア興業(株)(TSR企業コード:291854133、千代田区神田須田町2-9-2、設立昭和50年8月、資本金50億円、岡田雅春社長)は1月9日、再度の資金ショートを起こし行き詰まりが表面化した。事後処理を林康司弁護士(TMI総合法律事務所、港区六本木6-10-1、電話03-6438-5511)に一任した。負債総額は約180億円。会社側は、「今後は、所有不動産の売却を進めて任意整理に入る」と説明している。
各種ソフトウェアの開発を行い、大手電機メーカーや通信会社などと取引していた。また、業容拡大に伴い各地に事業所を設置するとともに、関連会社を設立し、ピーク時の平成20年3月期には売上高310億5400万円を計上した。しかし、リーマン・ショックに端を発する急激な景気後退の煽りを受け、システム関連の設備投資が低迷するなどして、同23年3月期には190億200万円まで落ち込んだ。
また、平成23年6月に関連会社のソフトウエア興業設備(株)(TSR企業コード:320795489、千代田区)が社員寮を建設する際の建設費の水増しや架空外注費などの計上で、法人税約2億3000万円を脱税した容疑で、創業者で実質的なオーナーであった丸山三郎氏が逮捕された。このため、同23年8月、別会社に事業を移管し事業立て直しを進めていたが、対外信用も失墜するなどして受注が落ち込んだ。
(株)沖縄うみの園(TSR企業コード:950163902、中頭郡読谷村高志保1040、設立昭和60年6月、資本金5000万円、豊野雅弘社長)は1月18日、那覇地裁に民事再生法の適用を申請した。
監督委員には当山尚幸弁護士(当山法律事務所、同市松尾2-16-52、電話098-869-2700)が選任された。負債総額は約179億円(うち親会社の(有)ジャパンホテルアライアンスが約178億円)。
県内トップゼネコンの関係会社として、同社と県外大手ゼネコンが経営を主導する形で読谷村西海岸沿いのリゾート開発を目的に設立した。当初はリゾートホテル5軒を誘致する計画だったが、バブル崩壊の影響でホテルの誘致は平成6年開業の1軒にとどまっていた。ほかにNHKの連続テレビドラマ「南国王国・琉球の風」で使用された観光施設も開発・運営していたが、同施設は経営不振から同11年に読谷村に無償譲渡した。
こうしたなか、開発面積約10万坪の用地の取得費や賃借料などリゾート開発に要した多額の借入金などが経営を圧迫した。県外大手ゼネコンが平成14年3月に会社更生法を申請してリゾート開発から撤退した後、同15年には外資の系列となり、同18年にはジャパンホテルアライアンスの子会社となって開発地域にあるホテルやチャペルからの賃貸料を主な収入源とし、経営を続けていた。
しかし、年間約1億2000万円の売上だけでは財務改善が進まず、平成20年12月期時点で171億円を超える債務超過となって債務軽減の見通しも立たず、法的手続による経営再建を目指すこととなった。
(財)日本労栄協会(TSR企業コード:290272238、中央区日本橋富沢町11-1、設立昭和42年1月、理事:佐々木勝幸氏)は1月7日、東京地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人には西野宣幸弁護士(西野・中山法律事務所、港区西新橋2-18-1、電話03-5405-1798)が選任された。負債総額は96億7200万円(平成24年3月期決算時点)。
住宅購入者に対する年金住宅融資とマンション分譲のほか、光触媒溶液も販売していた。平成12年3月期には売上高78億8558万円を計上していたが、その後のマンション事業を別法人に移管したことや市況低迷などの影響から事業規模は大幅に縮小していた。同24年3月期頃からは分譲事業も完了し、債権回収のみの事業となっていたが、多額の債務超過に陥っていたことから清算するにあたり今回の措置となった。
すでに、平成23年8月には、当社のすべての事業を(株)テラミクロス(TSR企業コード:332368432、青梅市)に継承することを公表した。今回、事業継承が終了したため、同24年11月7日の株主総会の決議により解散していた。
ソフトウェア生産技術研究所(株)(TSR企業コード:293168199、江東区潮見2-10-24、設立平成6年10月、資本金1000万円、代表清算人:甲斐隆文氏)は1月18日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。負債総額は約96億4700万円。
独自のソフト開発理論、「Lyee」事業の推進を目的に設立された。同事業はソフトウェア開発の工程や期間の大幅短縮が可能で、米国、日本他で特許を取得するなど将来性が有望視され、(株)システナ(旧:カテナ(株)、TSR企業コード:350619824、東証1部)の出資を得て、同社の100%出資連結子会社となっていた。
しかし、多額の開発投資の負担が重く、設立以降大幅な赤字が続いたうえ、販売実績も年間数億円程度にとどまっていた。平成14年3月期は年商約2億8000万円に対し、約13億円の最終赤字を計上、親会社からの支援を得ていたが大幅な債務超過となっていた。
その後は、特許権収入などの売上にとどまり事業は縮小していたが、こうしたなか親会社が同事業からの撤退を決定。平成22年8月30日の株主総会で解散を決議し清算を進めていた。
なお、債権は平成17年3月期に旧:カテナで全額引当済であるため、システナの損益に今回の特別清算の影響はない。
小野ホールディングス(株)(TSR企業コード:296394521、港区高輪2-15-21、設立平成17年6月、資本金1000万円、代表者:小野光太郎氏ほか1名)は1月21日、東京地裁へ会社更生法の適用を申請した。管財人には新保克芳弁護士(新保・髙﨑法律事務所、中央区日本橋3-2-9、電話03-3242-1781)が選任された。負債総額は約67億1100万円(平成23年12月期末時点)。
グループの資産管理などを目的に設立され、平成18年3月に子会社管理業務を開始した。グループ企業の持株会社としてワシ興産(株)(TSR企業コード:590070959、福井市)、ワシマイヤー(株)(TSR企業コード:590070932、福井市)などの主要グループ企業の株主として機能し、同23年12月期は業務委託料収入などで売上高1億3951万円を計上していた。
しかし、過去10年間にわたって総資産の過少申告や金融機関ごとに改ざんした複数の決算書を作成するなど悪質な粉飾決算が発覚。取引銀行である福井銀行から主要グループ企業のワシ興産(株)、ワシマイヤー(株)、(株)アサヒオプティカル(TSR企業コード:600076822、鯖江市)に対して会社更生法の適用を申請される事態が発生した。
3社は平成24年11月16日に更生手続開始決定を受け、こうしたなか持株会社の同社についても影響は避けられず、自ら法的措置をとることになった。なお、グループのローヤル電機(株)(TSR企業コード:291004695、福井市、JASDAQ上場)は「小野ホールディングスは当社の議決権の69.42%を所有しているが、資本関係のみであり人的関係も営業取引関係もなく、業績の影響はまったくない」としている。
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