こうして倒産した

2009年(平成21年)9月度こうして倒産した・・・
(有)折口総研
  • 東京
  • 資産管理、経営コンサルタント
負債総額
302億円
 

 (有)折口総研(大田区田園調布3-29-8、設立平成7年12月、資本金300万円、折口雅博社長)は、6月11日債権者より東京地裁に破産を申立てられ、9月1日開始決定を受けた。破産管財人には桑島英美弁護士(港区虎ノ門4-3-13、坂井・三村・相澤法律事務所、電話03-6721-3109)が選任された。負債総額は302億円。

 同社は元東証1部上場の人材派遣会社、旧:グッドウィル・グループ(株)の株主で代表の折口雅博氏個人(グッド・ウィルグループ(株)元会長)の資産管理会社。旧:グッド・ウィルグループ(株)の株価上昇と共に資産価値も増大、ピーク時の平成16年4月では1株14万6998円で、800億円以上の資産価値となり、それを元に自家用飛行機や軽井沢別荘、田園調布の自宅などを購入していた。

 ところが、グッド・ウィルグループ(株)が子会社の(株)コムスンの介護事業にかかる不正や、(株)グッドウィルの二重派遣問題などで急速に事業が悪化し、折口会長は平成20年3月経営責任をとる形で退任。グッド・ウィルグループ(株)の株価も下落し、資産も金融機関に担保提供していたため、資産性が大幅に劣化していた。このため取引銀行が債権処分などを進め、今回の事態となった。

 なお、折口雅博氏個人も同時に破産手続開始決定を受けている。申立書記載による負債総額は債権者1社に対し約10億円。同氏はグッド・ウィルグループ(株)から商号変更したラディアホールディングス(株)(東証2部)の0.73%(8位)、(有)折口総研は7.88%(4位)の株主(6月末時点)となっているが、事業上の関係は全く無くなっている。

白沢高原開発(株)
  • 群馬
  • ゴルフ場経営
負債総額
234億円
 

 白沢高原開発(株)(群馬県沼田市白沢町上古語父2440、設立昭和63年4月、資本金1億円、三ッ畑政雄社長、従業員57名)は、9月3日東京地裁へ民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は西村國彦弁護士(東京都千代田区内幸町1-1-7、さくら共同法律事務所、電話03-5511-4400)。負債総額は234億1920万円。

 同社は中堅ディベロッパーの(株)初穂の関連会社として昭和63年に設立され、平成4年に完成した初穂カントリークラブ・白沢高原コース(群馬県沼田市、18ホール)の運営を行ってきた。ゴルフ場建設はバブル最盛期に当たり、投じた資金は185億円。当初予定していた会員獲得が伸び悩んだことで初期投資負担が後の経営に重くのしかかっていたほか、諸般の事由により金融機関の不振を招き、同12年までに借入金がサービサーなどへ債権譲渡される事態に及んだ。以後は自己資金主体の運営を余儀なくされ、同13年より拡大路線に出たことによる採算悪化を経て、同17年から緊縮路線に切り替え、キャッシュフロー確保により資金繰りを行ってきた。

 平成21年2月期は宿泊サービスが好調で、前年の売上落ち込みをカバーし5億3400万円を計上した。売上確保の施策を進める一方でスポンサーを探していたが、預託金償還や金融債務の弁済に窮して今回の事態に至った。

雑賀屋不動産(株)
  • 神奈川
  • 不動産賃貸
負債総額
174億円
 

 雑賀屋不動産(株)(横須賀市大滝町1-10、設立昭和3年3月、資本金4億4713万200円、岡本康英社長、従業員11名)は、8月4日開催の取締役会において解散を決議し、特別清算手続開始を申し立てた。負債総額は174億55百万円。

 同社は東証2部上場で県内大手百貨店の(株)さいか屋(川崎市川崎区)の筆頭株主として、不動産賃貸業を主業にさいか屋横須賀店の物件賃貸事業を行っていた。平成2年には従来の大通り館に加えて、新館と南館を増築、3館の店舗体制をとってきた。しかし、バブル崩壊から百貨店の売上高が伸び悩み、設備投資に見合う収益が生み出せない状況が長らく続いていた。また、藤沢駅北口に大型商業施設の建設を目的とした用地を取得したものの、再開発の遅れから駐車場の利用等にとどまり、低収益に推移していた。

 こうしたなか、(株)さいか屋についても個人消費低迷から平成21年2月期には29億円の赤字を計上し、今年に入り経営改善計画を実行してきたものの、経営環境は厳しさを増す一方であったため、8月4日事業再生実務家協会に対し「事業再生ADR」を申請して再建を目指す事となった。このため、当社については多額の金融債務の弁済が見込めなくなり、解散を決議するに至った。

平成総合サービス(株)
  • 山梨
  • ゴルフ場経営
負債総額
142億円
 

 平成総合サービス(株)(甲斐市団子新居1927-4、設立昭和59年9月、資本金2億5000万円、小松孝明社長、従業員44名)は、9月8日甲府地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には古屋俊仁弁護士(甲府市北口1-1-8甲府北口ビル4階、古屋法律会計事務所、電話055-254-3915)が選任された。負債総額は142億8700万円で大半が預託金である。

 同社は、芙蓉グループ20社の出資を受け峡北開発(株)として設立し、平成2年10月甲斐芙蓉カントリー倶楽部をオープン。同12年11月現商号に変更している。法人会員約380社を抱え、同21年3月期年商は約7億500万円を計上していたが、経常利益で7000万円超の赤字を計上するなど厳しい経営を余儀なくされていた。

 こうした中、平成20年12月、同21年3月に約200件の預託金の償還期限を迎え、返済猶予などの調整を行っていたが、一部会員との間で返還請求に絡む訴訟も発生。他の会員への影響もあって当措置を取る事となった。なお国際興業(株)(東京都中央区)がスポンサーとして名乗りを上げており、今後は同社の支援のもとで建て直しを図っていく予定。

トモエ電機工業(株)
  • 東京
  • 蓄電池式機関車、同各種搬送車製造他
負債総額
97億円
 

 トモエ電機工業(株)(品川区南大井6-28-6、設立昭和32年9月、資本金9000万円、望月政美社長、従業員107名)は、9月28日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は厚井乃武夫弁護士(千代田区神田須田町1-16、みどり法律事務所、電話03-3256-8434)。負債総額は97億9400万円。

 同社は、バッテリー式機関車・同各種搬送車の製造販売及びリース、モノレール各種無人車・FA/FMS装置等の製造販売、非常操作用電源装置販売などを行い、大手ゼネコンを対象に事業を展開していた。ここ数年は安定した受注を確保して、平成20年7月期には過去最高となる売上高71億4029万円を計上した。

 しかし、大型機械やレンタル車輌などの設備資金や支払先行から相応の資金需要が発生し、他人資本への依存度が高く、余裕を欠く資金繰りとなっていた。最近は市況低迷などの影響もあって受注が落ち込み、法的手続きによる再建の道を選択した。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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