2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明
~ 2026年1-9月「デイサービス事業者」倒産動向 ~
デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。
これまでの年間最多はデイサービスFCが約40社連鎖倒産した2022年の69件で、同年に次ぐ60件台も視野に入る高水準で推移している。
一方、ヘルパー不足や介護報酬のマイナス改定などで、2025年まで3年連続で倒産が最多を塗り替えた「訪問介護事業者」は、9月までに64件(同11.1%減)と一転して減少に転じた。ただ、過去2番目と高水準は変わらず、まだ油断できない。介護業界全体の「老人福祉・介護事業」は9月までに136件(前年同期同数)と過去最多タイで推移している。
2026年1-9月の「デイサービス事業者(通所・短期入所介護事業)」の倒産(負債1,000万円以上)は47件(前年同期35件)発生した。介護保険制度が始まった2000年に調査を開始以来、同期間(1-9月)の最多を更新した。原因別では、売上不振(販売不振)が37件(構成比78.7%)、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が5件(同10.6%)で、業績低迷が大半を占める。
主因以外では、「物価高」倒産が2件(前年同期1件)、「人手不足」倒産が11件(同3件)とそれぞれ増加。いくつかの要因が重なった複合倒産の増加につながっている。
なかでも「人手不足」は深刻で、11件のうち、「人件費高騰」が7件(同1件)、「後継者難」が2件(同1件)、「求人難」(同1件)と「従業員退職」(同ゼロ)が各1件だった。介護職員の処遇改善が進められるが、最低賃金の上昇などで他業界との人材獲得競争が激化している。
高市首相は10月5日、所信表明演説で介護業界に言及。「人手不足は、人口減少社会の最大の課題。医療・介護、物流・公共交通などのエッセンシャルサービスを守り、国内投資拡大にも対応するため、AX(AIトランスフォーメーション)の社会実装を大胆に進める」と発言、デジタル社会の形成に向けた取り組みを強化する意向を示した。
介護業界は労働集約型産業だけに、人手不足の解消に向けた抜本的対策は難しい。ただ、小規模事業者にもデジタル化支援が届くと職場環境は大きな変化が期待される。働く環境への効率化を実現できるかどうか、政府と業界の本気度が試されている。
※ 本調査は、日本産業分類(細分類)の「通所・短期入所介護事業」の倒産を集計、分析した。
※ 調査開始は介護保険制度が始まった2000年から。
