2025年の新設法人 最多の15万7,011社 宿泊業が続伸、建設や燃料小売は大幅減
~ 2025年「全国新設法人動向」調査 ~
2025年に全国で新しく設立された法人(以下、新設法人)は15万7,011社(前年比1.9%増、3,073社増)で、2008年に統計を開始以降、最多を更新した。2023年から3年連続で最多が続いている。
2018年まで年間12万-13万社で推移していた新設法人は、コロナ禍の2020年に落ち込んだ反動で、2021年に初めて14万社を突破した。政府も創業支援で、2022年に「スタートアップ育成5か年計画」を策定。経営者保証に拠らない融資の促進、商業登記規則改正による代表者の住所地の非表示などを進め、社数の面では一定の成果を見せている。ただ、地域間、業種間の格差が拡大し、新たな課題も浮上している。
新設法人の増加数を都道府県別でみると、課題が浮かぶ。2025年の増加数(3,073社)のうち、東京都が約6割(構成比57.5%、1,769社)を占めた。47都道府県では、増加は21都府県にとどまる。過半で新設法人数が減少し、大都市圏が法人設立を底上げしている。
業種別では、建設業や繊維、木材製造業などが昨年に続いて新設法人数が減少した。人口動態や業種の優劣など、新設法人は地域や業種の動向を反映している。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約440万社)から、2025年(1-12月)に全国で新しく設立された全法人を抽出し、分析した。
2025年の新設法人が過去最多を記録した。一方で、倒産、休廃業・解散も増加をたどっている。2025年の企業倒産は1万300社(前年比2.9%増)で、2年連続で1万社を超えた。また、休廃業・解散は6万7,210社(同7.2%増)と3年連続で過去最多を更新した。
コロナ禍で背負った過剰債務に加え、円安や原材料高騰、人手不足など外部環境が大きく変化しており、対応できない企業の淘汰が進んでいる。

新設法人の商号 「アシスト」がトップ
2025年の新設法人で最も多かった商号は、「アシスト」の58社(前年62社、前年1位)だった。変化の激しい環境下では、他社(者)をサポートすることが自社の業績にも繋がると考える起業家も多いようだ。「三方良し」の精神にも通じていると捉えることもできる。
次点は、結びつきや連結、連帯、絆などを想起させる「LINK」が52社(同49社、同3位)だった。以下、「縁」の48社(同47社、同4位)、「ONE」の46社(同50社、同2位)と続く。
過去との比較でみると、2023年は25社にとどまっていた「縁」の躍進が目立つ。2024年は22社増の47社で4位に急浮上し、2025年は48社でトップ3に躍り出た。
一方、商号ランキングでかつて上位が常連だった「サンライズ」は13位に沈み、「トラスト」も14位にとどまった。
産業別 減少は2産業にとどまる
産業別は、建設業と小売業を除く8産業で増加した。
増加率の最大は、農・林・漁・鉱業の12.8%増(2,540社→2,866社)だった。国際情勢が混迷を極めるなか、食料安全保障の確保が叫ばれている。また、スマート農業に代表されるように一次産業分野にテクノロジーの活用も進む。こうしたことも増加の背景にありそうだ。
一方、建設業は7.0%減(1万5,034社→1万3,968社)で昨年に続いて減少した。また、小売業は3.7%減(1万4,125社→1万3,589社)だった。労働集約型であり、産業構造上、原材料価格や仕入高騰の影響を大きく受け、価格転嫁が難しいなどが共通項だ。
人手不足が深刻化し、燃料価格高騰に苦しむ一方で、官民あげた価格転嫁に取り組み、荷主との対話も進む運輸業の2.5%増(2,593社→2,660社)とは対照的な結果となった。

業種別 宿泊業が大きく伸長
産業を細分化した業種の増減を分析した。45業種中、増加は32業種(前年19業種)、減少は13業種(同26業種)だった。
社数1,000社以上でみると、増加率トップは宿泊業の22.4%増だった。前年の33.4%増に続いて高い増加率となった。宿泊業は、コロナ禍後期の2022年は1.1%減と微減だったが、新型コロナの5類移行(2023年5月)やインバウンド増加で、2023年の46.8%増以降、伸長している。
一方、減少率(社数1,000社以上)は、その他の小売業が7.8%減でもっと高く、次いで建設業の7.0%減だった。
都道府県別の新設法人率 15年トップの沖縄県が陥落
2025年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(2024年度)で除した都道府県別「新設法人率」を算出した。
トップは東京都の7.38%だった。新設法人率を算出した2010年以降、15年連続で全国トップを維持していた沖縄県は7.25%で2位だった。以下、大阪府の6.63%、福岡県の5.60%と続く。半導体工場の誘致で湧く熊本県は、4.34%で15位だった。
一方、新設法人率が最も低かったのは、山形県の2.65%だった。以下、福島県の2.71%、青森県の2.85%と続く。
法人格別 合同会社の増加続く
法人格別の社数は、株式会社が10万558社(前年比0.1%減)だった。全体に占める構成比は64.0%で前年より1ポイント以上、低下した。
設立コストが安く、株主総会が不要など経営の自由度が高い合同会社は、4万4,991社(前年比6.8%増、構成比28.6%)で過去最多を記録した。合同会社の設立数は右肩上がりが続いており、今後も増加が続くとみられる。
このほか、一般社団法人が6,480社(前年比3.5%増、構成比4.1%)、医療法人が1,186社(同1.5%増、同0.7%)など。
2025年の新設法人は15万7,011社(前年比1.9%増)で、統計を開始した2008年以降で過去最多を更新した。同年の倒産が1万300社(同2.9%増)と2年連続で1万社を超え、休廃業・解散が6万7,210社(同7.2%増)で3年連続で過去最多を更新した。「新陳代謝」が加速している状況だが、こうした状況を肯定し、志向する際、企業の新陳代謝は経済活動の活性化に繋がるとの見立てがある。地域や産業を含めて、意図する状況になっているのか再確認が必要だ。
新設法人の増加数を都道府県別でみると、47都道府県のうち、増加は21都府県で過半で新設法人数が減少した。また、「新設法人率」で15年連続でトップだった沖縄県が陥落し、東京都に座を譲った。増加が続くのは、東京都や大阪府、愛知県、神奈川県など大都市圏が中心で、半導体に沸く熊本県は増加幅が拡大した。都道府県ごとの優勝劣敗が鮮明で、この傾向が続く場合には地域活性化に向けた取り組みを再考する必要もある。
また、新設法人数が増加する業種にも偏りがみられる。インバウンドを中心に活況を呈す宿泊業は引き続き高い増加率を示した。一方で、人手不足、担い手不足が続く建設業は2桁の減少で、今後のインフラ維持や民需の対応に不安を残す。減少率が高いその他の小売業(前年比7.8%減)をさらに細かくみると、燃料小売業(同12.5%減)や医薬品・化粧品小売業(同9.9%減)などで減少が顕著だ。仕入コストの増加に加え、需要の変動、プレイヤーの大規模・寡占化などが影響している可能性がある。地域の生活インフラに支障が生じないか、確認も必要だ。
新設法人数の増加は明るい材料と捉えられやすいが、再生可能な業種、企業への手当が疎かになってはならない。日本の企業支援は、金融や保証制度、支援団体、債務整理の在り方などが複雑に絡み合う。各機関のキャパシティや利益誘導などが優先されれば、最終的なゴールである経済活動の活性化は達成できない。