2025年度の「医療機関」倒産 20年で最多の71件 クリニック・歯科医院の淘汰が加速、「破産」が97%超
~ 2025年度「医療機関」の倒産動向 ~
2025年度に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院を合計した「医療機関」は、71件(前年度比20.3%増)だった。2006年度以降の20年間では、2024年度の59件を大幅に上回り、最多を更新した。
コロナ禍の2020年度は支援効果で25件にとどまり、2021年度と2022年度も37件と低水準で推移した。だが、コロナ禍が落ち着いた2023年度は53件に急増し、2024年度は59件、2025年度は71件と増勢をたどっている。
業態別では、クリニックが32件(前年度28件)、歯科医院が31件(同20件)と、いずれも20年間で最多を更新した。特に、歯科医院は1.5倍増で苦境が際立つ。一方、20床以上の入院設備のある病院は8件(同11件)で、前年度を下回った。ただ、コロナ禍以降では、前年度の11件に次ぐ2番目の高水準だった。
2025年度は、全業態の負債額別では負債1億円未満が76.7%を占めたが、医療機関は33件(構成比46.4%)と半数に満たず、中堅規模以上が多いことを示している。
原因別では、最多が「販売不振」の47件(同66.1%)で、「既往のシワ寄せ」が16件(同22.5%)と続く。この2要因で約9割(88.7%)を占め、患者の減少や診療報酬の改定で収益悪化に歯止めが掛かっていないことがわかる。
病院やクリニック、歯科医院は、人口減少に伴う患者数減、経営者の高齢化、人手不足、医療設備の老朽化など、課題が山積している。加えて、最近は光熱費や人件費、各種備品代も上昇しており、診療報酬とのバランスが崩れ、採算が悪化している。
形態別では、破産が69件(前年度比18.9%増)で、全体の97.1%に達した。一方、再建型の民事再生法は2件にとどまり、経営不振に陥った医療機関は再建が難しいようだ。
医療機関の倒産は、患者の受診機会の喪失にもつながり、高齢化の進む地方ほど影響が大きい。2026年6月に診療報酬が改定されるが、病院経営の改善につながるかは不透明だ。医療難民を作らないためにも抜本的な支援策と同時に、M&Aなど存続に向けた取り組みが加速する可能性が出てきた。
※本調査は、日本標準産業分類の「病院」「一般診療所」「歯科診療所」から2025年度の負債1,000万円以上の倒産を集計、分析した。
