• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「士業」の倒産、2年連続最多

 「士業」の倒産が目立ってきた。給付金の不正受給の指南や、顧客から預かった資金の流用など、近年はコンプライアンス違反が原因で倒産するケースも目立つ。
 また、代表者の体調不良や死去、後継者の不在による事業停止など、後継者問題も資格の有無もネックになり容易でない。
 難関資格でも、経営は決して平たんでない「士業」の動向を東京商工リサーチが追った。
◇    ◇    ◇
 企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、法律・特許・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・公認会計士・税理士・社会保険労務士などの事務所(企業)を抽出した。
 調査開始の1990年度(4-3月)から2010年度までの20年間の年間件数は、10件を下回っていた。だが、個人事務所が中心だった「士業」も、2000年代に入ると法人化が可能となり、大所帯の事務所も増えて競争が激しくなった。
 倒産は、2011年度に初めて11件と10件を超え、2019年度の15件まで緩やかに増勢をたどった。コロナ禍は資金繰り支援で大幅に減少したが、その反動も出た2024年度は18件と急増、2025年度も18件で調査開始から2年連続で最多件数だった。

倒産原因、売上不振と代表死亡
 倒産の原因では、2025年度の18件のうち、10件(構成比55.5%)が売上不振だった。次いで、「その他」の5件(27.7%)が続く。「その他」の5件の大半は代表者の死亡だった。「士業」は資格が最低条件だけに、高齢化でキーマンが死去や体調不良で事業が継続できなくなると、一気に倒産リスクが高まることを示している。

コンプライアンス違反
 さらに、最近はコンプライアンス違反も目立つ。コンプラ違反が2024年度は4件、2025年度2件が倒産の引き金になった。
都内で税理士業務を展開していた法人は、コロナ支援の持続化給付金の不正受給を指南したとして、税理士法人の代表(当時)が逮捕され、事業継続が難しくなった。
◇    ◇    ◇
 その道のプロでも、経営とは別の手腕が必要だ。また、AIの進歩で「士業」の一部が取って代わられる可能性も出てきた。
 だが、人の気持ちを汲み、ベストの回答を導き出すことはAIでは難しい。信頼の証である「士業」だが、代表の体調管理やコンプラ意識、そして経営内容を加味すると、競争が激しい中では、一定数の倒産は避けられないだろう。

「士業」倒産年度推移

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

年度上半期の「人手不足」倒産 過去最多の240件 深刻な“賃上げ疲れ”、『賃上げ倒産』が1.7倍に増加

2026年度上半期(4-9月)の「人手不足」倒産は、240件(前年同期比17.0%増)と過去最多を記録した。コロナ禍の2021年度同期の26件を底に、5年連続で前年同期を上回った。調査を開始した2013年以降の年度上半期では、これまで最多だった前年同期(205件)を抜いて最多を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

外国人「技能実習制度」認定取消しは累計754社 製造業と建設業で7割占める、ワーストは愛知県の46社

外国人技能実習制度で実習生を受け入れていた企業のうち、法令違反や不正などを理由に実習実施の認定取消処分を受ける企業が相次いでいる。 2017年11月の現行制度施行以降、累計754社にのぼり、2026年度も8月までに50社が公表され、前年度と同水準のペースで推移している。

3

  • TSRデータインサイト

再編が進むホームセンター、キーワードは「1兆円」 ~ 統合や提携、共同購買やPB商品の取り組み ~

ホームセンター業界で統合や提携で競争力を高める動きが加速している。店舗が増えながら1店舗の売上効率が低下する「オーバーストア」状態で、大手各社は次の一手を巡りしのぎを削っている。5期連続(最新期:2025年4月-2026年3月期)で決算比較が可能な48社を分析した

4

  • TSRデータインサイト

1-9月の上場企業「早期・希望退職募集」は22社 人数は5,345人、黒字企業が6割を超える

2026年1月-9月に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は22社(前年同期34社)、対象人数は5,345人(同1万1,909人)だった。社数は3割(35.2%)減少し、対象人数は半減(55.1%)した。

5

  • TSRデータインサイト

新型コロナ破たん、9月は133件発生

 9月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が133件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万4,700件に達した。2026年は3月に162件と3カ月ぶりの150件超えを記録。しかし、4月は一転して150件を下回り、5月は119件で、2021年1月以来の120件割れとなった。

TOPへ