• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2025年度の「農業」倒産 30年で最多の105件 円安で資材や飼料価格が上昇、小規模農業を直撃

~ 2025年度(4-3月)の「農業」倒産動向 ~


 2025年度(4-3月)の「農業」倒産は105件(前年度比14.1%増)で、4年連続で増加した。1996年度以降の30年間で、倒産が100件を超えたのは初めて。
 負債総額は、421億5,700万円(同143.7%増)だった。施設野菜生産などを手掛ける(株)サラ(岡山、負債157億6,700万円)など、負債1億円以上が41件(前年度比46.4%増)と増加し、負債総額は2.4倍に膨らんだ。
 野菜作農業43件(同7.5%増)、酪農業13件(同85.7%増)、肉用牛生産業8件(同60.0%増)、 園芸サービス業が7件(同133.3%増)米作農業6件(同20.0%増)など、幅広い分野に広がる。
 2022年度以降の円安で、資材や飼料価格が上昇し、小規模の農業法人等の収益悪化がうかがわれる。

 「農業」倒産の業種別は、最多が「野菜作農業」の43件(前年度比7.5%増)、次いで「酪農業」13件(同85.7%増)などが続く。形態別は、破産が83件(同12.1%増)と約8割(79.0%)を占めた。資本金別は、1千万円未満が82件(前年度比13.8%増、構成比78.0%)で、小・零細規模の農業法人等の経営が厳しい状況を浮き彫りにしている。
 円安で資材や飼料価格が上昇するなか、原油価格の高騰で暖房費用や物流費の増大を招いている。また、日本人の主食であるコメは価格上昇で、消費者のコメ離れも懸念されている。
 農林水産省では、燃油高騰時の補てん金支払い制度などの支援体制を整備するが、中東情勢の先行きは不透明で、二重、三重のリスクが農業倒産を押し上げる可能性がある。
※本調査は、 2025年度(4-3月)「全国企業倒産」(負債1,000万円以上)から、日本産業分類の「農業」(「耕種農業」「畜産農業」「農業サービス業」「園芸サービス業」)を抽出し、分析した。

農業の倒産 年度推移

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ