• TSRデータインサイト

2025年の「粉もん」倒産 過去最多の28件 物価高、人手不足が直撃、近畿が7割超える

2025年「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」倒産動向


 物価高がお好み焼き・焼きそば・たこ焼き店など、いわゆる「粉もん」を直撃している。2025年の「粉もん」店の倒産は、集計を開始した2009年以降、最多の28件(前年比33.3%増)を記録したことがわかった。
 粉もん文化が深く根付く大阪が11件で最も多く、京都4件、兵庫と滋賀の各2件を含めた近畿が20件(71.4%)を占めた。小麦、野菜などの食材や光熱費が軒並み高騰し、さらに人件費の上昇も重なり、好調なインバウンド需要でも日本人のソウルフードへの影響をカバーできていない。

 日本政府観光局によると、訪日外国人旅行者数は2025年11月時点で年間の過去最多を更新した。日本ならではの食文化は、訪日旅行者にとっても楽しみの一つになっている。「粉もん」は日本のソウルフードとして訪日旅行者にも人気の的になっている。
 だが、農林水産省の「食品価格動向調査」によると、卵や食肉、小麦粉、マヨネーズなどの粉もんに欠かせない主要食材の価格が軒並み平年を上回っている。そこに人件費や電気・ガス料金などの上昇も重なり、実態に即した値上げが難しい小・零細店舗は苦戦している。
 規模別にみると、資本金1千万円未満が26件と9割(92.8%)を超え、圧倒的に多い。小・零細店舗では、値上げが来店客数に直結するため、価格転嫁は容易でない。

 円安でインバウンド需要は拡大したが、その恩恵が一方では食材費を含むコストアップにつながるジレンマに陥っている。また、物価高が落ち着いても、現状のコストダウンは考えにくいため、小・零細事業者ほど、厳しい状況がしばらく続きそうだ。
※本調査は、日本標準産業分類の「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。

「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き店」倒産  件数・負債額推移



原因別:最多が「販売不振」の22件(前年比10.0%増、構成比78.5%)で、約8割を占めた。
次いで、「他社倒産の余波」が4件(前年ゼロ)、「事業上の失敗」(前年同数)と「設備投資過大」(同ゼロ)が各1件だった。
形態別:最多は「破産」の27件(前年比28.5%増)で、全体の96.4%を占めた。再建型の民事再生法は1件(前年ゼロ)だった。
資本金別:「個人企業他」が18件(前年比50.0%増、構成比64.2%)と突出している。次いで、「1百万円以上5百万円未満」7件(前年6件)で、1千万円未満が26件(同21件)と全体の92.8%に達する。粉もん倒産のほとんどは小・零細事業者になっている。
負債額別:「1千万円以上5千万円未満」21件(前年比16.6%増)で、7割(75.0%)を超えた。このほか、「1億円以上5億円未満」4件(前年2件)、「5千万円以上1億円未満」2件(同1件)。小資本で事業を始められ、負債規模も小さい。
地区別:近畿20件(前年比81.8%増)で71.4%を占めた。次いで、中部4件(同±0.0%)が続く。都道府県別では、大阪が11件(前年同期4件)と際立って多い。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ