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過去最多の6.72万件、赤字企業率は47.2% 代表者60代以上の退出が加速

~ 2025年「休廃業・解散企業」動向調査 ~


 2025年の「休廃業・解散」企業(以下、休廃業企業)は6万7,210件(前年比7.2%増)で、7万件が目前に迫ってきた。コロナ禍の2021年を底に、4年連続で増勢を強めている。過去最多の更新は3年連続。
 2025年の企業倒産は1万件を超える公算で、休廃業・解散と合わせた市場からの退出は7万7,000件台(前年7万2,701件)となり、過去最多を更新する見通しだ。企業倒産は金融支援や準則型私的整理手続きの拡充、利用促進などで増加幅は抑制されているが、休廃業・解散は天井知らずの状況だ。
 
 休廃業企業(2025年)の代表者年齢をみると、60代以上が90.6%に達し、初めて9割の大台に乗せた。特に80代以上の比率が34.0%と初の30%超となり、後継者不在のなかで事業を継続してきた企業の退出が本格化している。少子高齢化が進むなかで、この流れを止めることは難しく、代表者が高齢の企業を中心に休廃業・解散は2026年以降も増加する可能性が高い。事業承継に向けた取り組みは推進されているが、代表者が承継を望んでいないケースや支援する側のマンパワーの問題もあり、休廃業・解散の件数を抑え込むのは難しい状況だ。
 赤字企業率も5割程度が続き、休廃業企業は事業価値の毀損にも直面している。赤字累積は法的整理(=倒産)に繋がりやすく、業績が停滞し、代表者が高齢の企業への早期アプローチがこれまで以上に重要になっている。

※本調査は、東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出した。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で、事業活動を停止した企業と定義した。

休廃業・解散、倒産件数 年次推移


業歴別 業歴浅い企業の比率が上昇

 業歴別の構成比は、最多は30年以上40年未満の17.9%(前年19.7%)だった。5年未満は14.4%(同12.3%)で、前年より2ポイント以上増加した。

産業別 サービス業他が32.7%

 10産業のうち農・林・漁・鉱業、製造業を除く8産業で増加した。最多は、飲食業や娯楽業などを含むサービス業他の2万1,961件(構成比32.7%、前年比9.2%増)。次いで、建設業の1万283件(同15.3%、同9.5%増)、小売業の7,903件(同11.8%、同9.7%増)と続く。
 増加率トップは、情報通信業(4,189件)の15.2%だった。
 産業を細分化した業種別(中分類)では、ネット通販などの無店舗小売業が408件(前年比56.3%増)、ミニスーパーなどの各種商品小売業の217件(同30.7%増)で増加が目立った。

休廃業・解散 産業別

損益別 赤字率が高止まり

 休廃業、解散の直前期の決算(判明分)を分析した。
 2025年は損益(最終利益)が黒字の企業率は52.8%(前年比1.3ポイント増)、赤字率は47.2%だった。
 2024年に黒字率は過去最低、赤字率は最悪だったが、2025年は若干改善した。それでもほぼ半数が赤字に沈む厳しい状況が続いている。
 2000年に調査を開始以降、黒字率は70%前後を維持していたが、コロナ禍の2021年に初めて60%を割り込み、2022年以降は50%台前半が常態化している。
 賃上げ機運が続いていることや、原材料価格の高騰、金利上昇などを加味すると、2026年の黒字率は史上初めて50%を割り込み、赤字・黒字率が逆転する可能性がある。
※直前期は、休廃業・解散から最大2年業績を遡り、最新期を採用した。

休廃業・解散 損益別

代表者年齢 80代以上の構成比、過去最高を更新

 休廃業企業の代表者の年齢別(判明分)は、70代が最も多く38.6%(前年41.6%)を占めた。次いで、80代以上の34.0%(同26.2%)だった。80代以上が3割を超えたのは初めて。
 60代以上は90.6%(前年87.6%)となり、初めて90%を突破した。
 一方、20代以下は0.1%(前年0.1%)、30代は0.4%(同0.5%)にとどまった。
 休廃業企業の代表者の平均年齢は74.9歳(前年72.6歳)、中央値は76歳(同74歳)だった。
 

法人格別 最多は株式会社

 法人格別では、最多は株式会社の3万5,685件(構成比53.0%)だった。次いで、有限会社の1万4,085件(同20.9%)、合同会社の6,135件(同9.1%)と続く。
 株式会社は初の3万5,000件台に達した。2015年に1,092件だった合同会社は6,136件(構成比9.1%)に達し、6倍近くに膨らんだ。6,000件を超えたのは初めて。
 一般社団法人は1,778件(構成比2.6%)だった。



 2025年の「休廃業・解散」企業は6万7,210件(前年比7.2%増)で、過去最多を記録した。企業倒産は1万件超の公算で、倒産と休廃業・解散を合わせた市場からの「退出企業」は7万7,000件台と過去最多の見込みだ。

 春闘での賃上げ機運の継続や最低賃金の引き上げ、原材料価格の高騰、円安の常態化、日銀の金利引き上げなど、ここにきて企業の外部環境は激変している。このため、これまでの低金利時代に作られたビジネスモデルや収益構造では対応できなくなっている。
 経営者が高齢であったり業歴の長い企業ほど、大胆な事業変革に踏み切れないまま、事業価値の毀損に陥ることも少なくない。事業承継を希望しても買い手がつかなかったり、候補が現れても資産査定で長年滞留した在庫や売掛の評価替えから実態財務の劣化が表面化することもある。

 休廃業企業のうち、代表者年齢が80代以上の割合が初めて3割を超えた。経営にまい進しながら、事業承継やマーケットの変化に対応できず市場からの退出が本格化している。廃業後の生活保障と一体になった社会保障など「円滑な廃業」への取り組みが急務になっている。
 一方で、業歴5年未満の休廃業・解散が14.4%に達し、前年比2.1ポイント増加した。コロナ禍からポストコロナの時期にかけて創業した企業の脱落も顕著になっている。創業支援に向けた取り組みは盛んだが、事業計画や創業後の伴走支援に抜け穴はないかなど、振り返りも大切だ。

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