• TSRデータインサイト

2025年9月期 不良債権比率が過去最低の1.06% 貸倒引当金は7年ぶり減少、「返済猶予」の検証も必要

国内104銀行 2025年9月中間期「金融再生法開示債権」調査


 2025年9月中間期(単体)の国内銀行104行の不良債権(以下、開示債権)は、7兆8,991億円(前年同期比11.4%減)で、7年ぶりに前年同期を下回ったことがわかった。
 債権合計に対する開示債権の割合(開示債権比率)は1.06%(中央値1.66%)で、前年同期の1.25%から0.19ポイント低下。9月中間期では、過去最低になった。また、倒産などで生じる債権回収不能に備えた「貸倒引当金」は、3兆5,596億円(前年同期比14.1%減)で、約6割の63行で減少した。9月中間期で前年同期を下回ったのは7年ぶり。
 企業倒産は緩やかな増勢が続くが、銀行は保守的な積み増しを行っており、貸倒引当金が急増する可能性は低い。ただ、トランプ関税や日中関係の悪化、円安持続などで、景気の不透明感を払しょくできていない。
 企業の経営再建や成長に向けた持続的支援など、金融機関に求められている。

 国内104行のうち、開示債権が前年同期を下回ったのは57行(構成比54.8%)で半数を超えた。また、貸倒引当金の減少は63行(同60.5%)だった。コロナ禍が収束後、倒産は緩やかな増勢をたどっている。物価高、人件費上昇などが資金繰りを圧迫し、借入金の返済原資を確保できずに返済猶予(リスケ)で凌いでいる企業は少なくない。中小企業支援は資金繰り支援から再生支援に軸足を移しており、金融機関の対応次第で倒産の動向が変わる可能性も出ている。

※ 本調査は、国内104銀行の2025年9月中間期決算(単独)で、「金融再生法開示債権」(破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権)、および各銀行の「貸倒引当金」を集計し、分析した。
※ 銀行法の改正により2022年3月期から貸出金のほか、外国為替、未収利息、仮払金、支払承諾見返などを対象に、リスク管理債権が金融再生法開示債権に一本化された。
※ 1.大手行は埼玉りそなを含む7行、2.地方銀行は全国地銀協加盟行61行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行36行。


不良債権が7年ぶり減少、開示債権比率は2年ぶりに低下

 国内104行の2025年9月中間期の開示債権は、7兆8,991億円(前年同期比11.4%減)だった。不良債権の7兆円台は、2021年同期(7兆8,530億円)以来、4年ぶり。
 業態別では、大手行が2兆5,326億円(前年同期比26.4%減)、地方銀行が4兆1,799億円(同1.8%減)、第二地銀が1兆1,865億円(同2.9%減)で、全業態で前年同期を下回った。
 104行の「開示債権比率(金融再生法開示債権/債権合計)」は1.06%(前年同期1.25%)で、大手行が0.62%(同0.88%)、地方銀行が1.51%(同1.60%)、第二地銀が2.00%(同2.14%)とそれぞれ低下した。
 開示債権比率の最大は、スルガ銀行の7.83%(前年同期9.16%)。以下、長野銀行6.37%(同5.85%)、きらやか銀行5.90%(同6.15%)の順。最低はSBI新生銀行の0.23%(同0.31%)。金融再生法開示債権比率が5%以上は、前年同期と同数の5行。1%未満は10行(前年同期5行)で、前年同期の2倍に増えた。

金融再生開示債権・同比率推移(全体)

貸出金 過去最大の687兆3,329億円

 2025年9月中間期の「貸出金」は、687兆3,329億円(前年同期比4.1%増)に達した。大手行356兆9,152億円(同4.0%増)、地方銀行272兆77億円(同4.2%増)、第二地銀58兆4,099億円(同3.7%増)で、すべての業態で過去最大だった。
 大手行7行(前年同期5行)、地方銀行61行のうち58行(同49行)、第二地銀36行のうち30行(同27行)の合計95行(同81行)で、貸出金残高が増加した。

貸出金・増減行数推移

貸倒引当金は7年ぶりに減少

 2025年9月中間期の「貸倒引当金」は、3兆5,596億円(前年同期比14.1%減)で7年ぶりに前年同期を下回った。3兆円台は4年ぶり。大手行6行(前年同期1行)、地方銀行34行(同32行)、第二地銀23行(同25行)の63行(同58行)で前年同期を下回った。

貸倒引当金・増減行数推移

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

スーパー業界、業績は規模の格差が拡大 2年連続の増収増益も、物価高で利益鈍化

食料品の消費税減税の行方が注目されるが、全国のスーパー経営会社610社の最新決算(2024年10月期-2025年9月期、以下最新期)は、売上高合計が24兆9,484億6,300万円(前期比6.6%増)、利益合計は4,107億1,300万円(同4.4%増)と、2年連続で増収増益だった。

2

  • TSRデータインサイト

マイスHDがM&A総研側を提訴~M&A総研側は「全面的に争っていく」と反論~

中小企業庁は2026年度にM&Aに関するアドバイザリー資格を創設する。こうしたなか、M&A仲介大手が提案したスキームで損害を受けたとしてマイスホールディング(株)が2025年11月、損害賠償約1億2,000万円の支払いを求め東京地裁に提訴したことが東京商工リサーチの取材でわかった。

3

  • TSRデータインサイト

2026年度の「賃上げ」 実施予定は83.6% 賃上げ率「5%以上」は35.5%と前年度から低下

2026年度に賃上げを予定する企業は83.6%で、5年連続で80%台に乗せる見込みだ。 2025年度の82.0%を1.6ポイント上回った。ただ、賃上げ率は、全体で「5%以上」が35.5%(2025年8月実績値39.6%)、中小企業で「6%以上」が7.2%(同15.2%)と、前年度の実績値から低下した。

4

  • TSRデータインサイト

オンライン家庭教師の「メガスタ」運営、前払いの授業料に頼った資金繰り、口座凍結が判明=SNS炎上で事業継続を断念

2月16日、東京地裁から破産開始決定を受けた(株)バンザン(TSRコード:293197873、新宿区)が破産した経緯がわかってきた。

5

  • TSRデータインサイト

動物病院の倒産急増、2年連続の最多 ~ 熾烈な競争と高度化による機器投資が重し ~

飼い主のシビアな目による競争激化や高度化する医療機器への投資負担で業績が悪化、獣医師の高齢化や人手不足も深刻化している。2025年度(4-1月)は10カ月間で8件の倒産が発生し、2年連続で過去最多を更新した。

TOPへ