• TSRデータインサイト

上場の早期・希望退職募集41社 約8割がプライム 明治HDやオリンパスが実施発表、黒字リストラが恒常化 

2025年上場企業「早期・希望退職募集」状況(11月10日現在)


 2025年1月1日-11月10日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は41社(前年同期50社)で、約2割(前年同期比18.0%減)減少した。市場別では、約8割がプライム上場。パナソニックHDやジャパンディスプレイなど、大手メーカーの大型募集により、対象人数は1万1,045人(前年同期8,534人)と前年同期の約1.2倍に増加した。年間募集が1万人を超えた2024年(1万9人)を8月で上回っており、ことしは2019年(1万1,351人)を超える可能性が高まっている。

 黒字でも人員削減に取り組むケースが相次いでいる。2025年3月期の連結決算で847億200万円の黒字だった明治ホールディングス(明治HD)は10月28日、事業子会社の明治でネクストキャリア特別支援施策の実施を発表した。また、2025年3月期の連結決算で1,178億5,500万円の黒字だったオリンパスも11月7日、グローバルの人員適正化に関するお知らせを発表した。組織のあらゆるレベルで組織構造と人員の最適化を予定し、約2,000ポジションの削減が含まれる。資生堂は11月10日、2024年に続いて募集を発表した。

 年齢層の適正化や、中長期的な競争力強化のため、黒字でも構造改革が増えている。業績不振の企業を併せて、早期・希望退職の募集人数はさらに増勢が見込まれる。また、中高年を対象に実施する動きも加速している。9月に募集を発表した三菱電機の対象年齢は53歳以上、三菱ケミカルは50歳以上だ。明治HDも50歳以上が対象で、募集人数は定めていない。転職市場の活況などを背景に、大手企業の構造改革による早期・希望退職募集の流れが強まっている。

※ 本調査は、早期・希望退職募集の具体的な内容を確認できた上場企業を対象に集計した。
※ 2025年11月10日公表分までの『会社情報に関する適時開示資料』と東京商工リサーチの独自調査に基づく。

上場企業 早期・希望退職 推移


電気機器が最多

 2025年1月1日-11月10日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は41社だった。
 電気機器が17社(前年同期13社)と4割(構成比41.4%)を占めた。次いで、明治など食料品(前年同期2社)、金属製品(前年同期2社)、機械(同3社)、情報・通信業(同7社)が各3社で続く。

業種別(社数上位)

市場区分別 41社中、31社が東証プライム

  「早期・希望退職募集」が判明した上場41社の市場区分は、東証プライムが31社で、約8割(構成比75.6%)を占めた。東証スタンダードは9社(同21.9%)だった。
 市場区分別の募集人数は、東証プライムが1万450人で9割超(構成比94.6%)を占めた。東証スタンダードは595人(同5.3%)だった。

市場区分別

損益別 黒字企業が6割超

 「早期・希望退職募集」を実施した41社の直近決算期の最終損益(単体)は、黒字28社(構成比68.2%)、赤字13社(同31.7%)で、黒字が6割を超えた。
 黒字企業の募集人数は8,505人で、全体の7割(同77.0%)を超えた。黒字の28社のうち、22社が東証プライム上場だった。
 赤字13社の募集人数は2,540人で、ジャパンディスプレイやJUKIなど。

損益別

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

スーパー業界、業績は規模の格差が拡大 2年連続の増収増益も、物価高で利益鈍化

食料品の消費税減税の行方が注目されるが、全国のスーパー経営会社610社の最新決算(2024年10月期-2025年9月期、以下最新期)は、売上高合計が24兆9,484億6,300万円(前期比6.6%増)、利益合計は4,107億1,300万円(同4.4%増)と、2年連続で増収増益だった。

2

  • TSRデータインサイト

マイスHDがM&A総研側を提訴~M&A総研側は「全面的に争っていく」と反論~

中小企業庁は2026年度にM&Aに関するアドバイザリー資格を創設する。こうしたなか、M&A仲介大手が提案したスキームで損害を受けたとしてマイスホールディング(株)が2025年11月、損害賠償約1億2,000万円の支払いを求め東京地裁に提訴したことが東京商工リサーチの取材でわかった。

3

  • TSRデータインサイト

2026年度の「賃上げ」 実施予定は83.6% 賃上げ率「5%以上」は35.5%と前年度から低下

2026年度に賃上げを予定する企業は83.6%で、5年連続で80%台に乗せる見込みだ。 2025年度の82.0%を1.6ポイント上回った。ただ、賃上げ率は、全体で「5%以上」が35.5%(2025年8月実績値39.6%)、中小企業で「6%以上」が7.2%(同15.2%)と、前年度の実績値から低下した。

4

  • TSRデータインサイト

オンライン家庭教師の「メガスタ」運営、前払いの授業料に頼った資金繰り、口座凍結が判明=SNS炎上で事業継続を断念

2月16日、東京地裁から破産開始決定を受けた(株)バンザン(TSRコード:293197873、新宿区)が破産した経緯がわかってきた。

5

  • TSRデータインサイト

動物病院の倒産急増、2年連続の最多 ~ 熾烈な競争と高度化による機器投資が重し ~

飼い主のシビアな目による競争激化や高度化する医療機器への投資負担で業績が悪化、獣医師の高齢化や人手不足も深刻化している。2025年度(4-1月)は10カ月間で8件の倒産が発生し、2年連続で過去最多を更新した。

TOPへ